【第1回レポート】「丸ごと学ぶ! 基礎からわかるNPO会計&マイナンバー講座」
2016年09月12日 11:31
|
「丸ごと学ぶ! 基礎からわかるNPO会計&マイナンバー講座」
平成28年度第1回目のNPOプレゼント講座は、税理士でNPO会計税務専門家ネットワーク、ボランタリーネイバーズ理事の中尾さゆりさんをお招きして「丸ごと学ぶ! 基礎からわかるNPO会計&マイナンバー講座」 を実施しました。 中東遠地域としては、はじめての実務的な講座です。 具体的でわかりやすい内容の講座となり、はじめて会計を担当する方も、ふだんから会計を自分でしている代表者の方も、真剣なまなざしで聞いていました。 また、午後からは個別相談も行われました。 ポイントとなる説明をレポートします。 はじめに NPO会計の仕事をすることになったとき、通常の企業会計とはこんなに違うのかとびっくりした。経験と学ぶ機会が大切。 あと、会計担当者は裏方。活動を推進する仕事と比べて見えにくい(表に出にくい)仕事なので、「いつもご苦労様」という言葉をぜひかけてあげてほしい。 1.NPO法人会計基準の基礎知識 ■NPO法人会計基準とは NPO法人は、寄付する人、助成する企業・団体など、会員以外にも活動を支えてくれる人たちがいてこそ、活動が成り立っている。過去3年分の会計報告書をインターネット上から見ることができるので、誰が見てもわかるように作成指針を設ける必要があり、それが「会計基準」。 体系としては、「活動計算書」「貸借対照表」「財務諸表の注記」からなる。 ■「活動計算書」「貸借対照表」「財務諸表の注記」の事例を見ながら 今回の講座では2種類用意した。1年間の事業規模が100万円程度のところもあれば、数千万規模のところまであるので。 ○活動計算書と貸借対照表 ・活動計算書は一年間にどういう収益があり、どういう支出をしたかがわかるもので、貸借対照表は決算日時点の資産、負債がどれくらいあるかを示したもの。 ・両方を見ることで、どのような活動がされ、どのくらいの費用がかかったか、来年度どれくらいお金が使えるのか、などがわかる。 ○活動計算書と事業報告書 ・事業報告に記載してあるのに、その活動に関する費用などがない場合、簿外処理のお金があると思われかねないので注意が必要。 ○経常収益 ・受取会費、受取寄付金、受取助成金、事業収益、その他収益などの言葉は決まっている言葉なので、どれに当てはまるか考え、その言葉を使う。 ・例えば、イベントの参加費は「事業収益」になる。行政からの委託費は「事業収益」の中の「自治体受託事業収益」になる。 ○経常費用 ・経常費用は「事業費」と「管理費」に分ける。NPOの活動に関する費用が「事業費」 、NPOの維持管理に関する費用が「管理費」。 ・たとえば、イベントの案内発送料は「事業費」の「通信運搬費」となり、理事会の案内発送料は「管理費」の「通信運搬費」となる。 ○なぜ減価償却費が必要か ・100万円の車を購入した場合、全てを経費にしてしまうと、その年度だけ大きな赤字になってしまう。車は5年くらい使うものなので、数年に分けて経費に計上できる仕組みになっている。 ○財務諸表の注記について ・「事業別損益の状況」は、事業ごとの収支を見るときに役に立つ。ただ、普段から経費などを事業ごとに分けて記載していかないと、まとめてやるのは非常に大変なので、「多桁式出納帳」などを利用して、日々の記帳をすると、やりやすい。 ・「体育館の無償利用」や「弁護士相談無料相談」などがあった場合、事業規模を明確にするために、「施設の提供等物的サービスの受け入れの内訳」や「ボランティアの役務の提供の内訳」など記載する。 ○財産目録 ・役員借入金などは「理事○名」というように、プライバシーに配慮して名前は入れない。 (ホームページで公開しているため) 2.NPO法人の会計書類 作成のポイント ■事前準備 ○会計処理にかかわる組織体制 ・誰が会計の管理をしているか、金庫がいくつあるか、通帳が何冊あるか、事業の契約書など誰が管理しているかなど、明確にしておく。 ・理事長、事務局長、経理担当者の役割分担を決めておく。 ○不正を防ぐ ・毎日、毎月、半月など決めて、現金出納帳と現金が合っているか確認する。 ・現金の過不足があったときには、箱などに入れず、「現金過不足」の項目を作って処理をする。 ・印鑑と通帳は別のところで管理するなど、不正が起きにくい体制づくりをしておくことが重要。 ・経費といっしょに自分の買い物もして、レシートに赤線を引くなど、公私混同に取られるような処理はしない。 ○ルールを作る ・交通費は「1キロ○円」とか「市内の活動○円、市街の活動○円」など、ルールを決めておく。 ・帳簿の日付は「レシートの日」か「実際出金した日」か迷わないように、実際に出勤した日で統一する。そうすれば現金出納帳とも合う。 ・決算の流れとして、どちらの年度に入れるか迷う場合があり、「現金主義会計」か「発生主義会計」か事前に決める。 3.マイナンバーについて ■自団体でマイナンバーの提供を求めるのは 「社会保障」「税金」「災害対策に関して」など、マイナンバーの提供が求められる。具体的には給料、講師謝金(報酬)、家賃支払いなどある場合に必要。 ※給料支払いが一年間で30万円以下である者は必要ない。 ■マイナンバー収集前にやること ①マイナンバーの利用制限を知る ②個人番号の事務取扱担当者を決める(ほかの人はさわらない) ③保管方法を決める ④利用実績を記録する方法を決める ⑤廃棄のルールを決める ※中尾さゆりさんのブログはこちら ■NPO会計・税務リクツとコツ http://blog.canpan.info/sally_nakao/ |