NPOプレゼント講座2012の「【第3回レポート】地域福祉を支える担い手づくり」
「【第3回レポート】地域福祉を支える担い手づくり」の書込一覧です。
【第3回レポート】地域福祉を支える担い手づくり
【閲覧数】1,466
第3回のテーマは「福祉」です。
講師の皆さんの印象的な言葉をレポートします!

①ミニレクチャー「地域福祉の視点から住みよい地域づくりを考える」
静岡福祉文化実践研究所 代表 平田厚氏



【平田先生の言葉から】

今日は、「べき論」ではなく「実践」からくる地域福祉論をお話したい。「地域福祉」は、古くて新しい言葉です。昭和40年代の頃に比べ、今は多様なニーズが吹き出ている。
まず「昭和20年代~」のラジオ番組・テレビ番組のテーマ曲から、時代における家庭や近所、地域の捉え方を考えてみましょう。

「向こう三軒両隣り」
「一丁目一番地」
「隣組」
「バス通り裏」



こうして歌詞を聴いてみると、昔は専門家はいなかったけれど、様々なことを地域で解決してきたことがわかる。ご近所の距離が近く、隣近所の安否確認などする必要がなかったということ。

福祉の原点は家族。今、家族の機能が外部化してしまっている。
そもそも「家族の機能とは何か」を考える必要がある。
①生み育てる機能
②福祉的機能(包み込む)
③支え合う機能
④子どもを育む機能(「ただいま」と言って「おかえり」と答えてくれる人がいる)
⑤学ぶ機能(小さなちゃぶ台で7人で食べる、そのあとは宿題の場に、教えあうなど)
⑥経済的機能(働く尊さが気づきにくくなっている)

今、家族の機能が外部化してしまっているので、「おかえり」という言葉も地域で掛けてあげなくてはいけない。「知らない人には声をかけられても返事をしてはいけません」という時代の中で、せめて顔の見える関係の中では声を掛け合いたい。それが「語れる環境」ということ。

地域福祉についても、顔の見える範囲(小学校区や中学校区)の中で、自分のこととして考えて行動できるかが大事。今の時代、専門家集団と市民集団と協働でやっていくべき。でなければ、制度の中で専門家集団に頼るだけになってしまう。「自助」「家族の支えあい」、そして「制度」の中で「いかに知ろうとするか」「いかに関わろうとするか」が大事になっている。あらためて「専門性と市民性の融合」を考えたい。


②事例報告(1) 「地域の絆を大切にした総合的な活動」
磐田市田原地区社会福祉協議会 事務局長 山下幹種 氏



取り組んでいる地域福祉活動
・子育て支援活動(親子交流の会、サロンづくり、伝承遊びの普及)
・青少年児童福祉活動(地域内挨拶運動展開、防犯・福祉標語の募集、街頭指導)
・高齢者、障害者の支援・生きがい活動の推進(健康維持のための文化活動、子どもと支援者の見守り活動、地域内サロンづくり、趣味サークルづくり)

青少年児童福祉活動では、週4回の防犯啓発活動を行なっています。青パトの登録者数は現在65人です。防犯啓発のアナウンスをしながら、地域を回っています。

公民館を拠点にした福祉活動は、①環境美化・保全の観点、②伝統文化の継承、調和ある生活文化推進の観点、③住民の親睦・交流の観点の3つを基本に行なっています。

今後の取り組みとしては、「地域づくりは絆づくり」という基本のもと、
①地域に根ざした活動を毎年地道に継続して底辺を拡大していくこと
②福祉の活動は自治会活動そのものという認識で大勢が関わること
③地域福祉を支える担い手づくりは、田原地区社会福祉協議会・田原地区自治会・田原公民館が連携していくこと
を展開していきます。


③事例報告(2) 「みそづくりを通じた世代間交流」
掛川市そこがみそ原田企業組合 理事長 草賀章吉 氏 



原田地区にある様々な地域資源。しかし、資源は手を入れなければお荷物になってしまうこともある。今回は、自然資源である農作物と、味噌づくりをしている家庭女性が多いという人的資源、NPO法人いやし処ほのぼの(デイサービス)と旧幼稚園の施設があるという施設資源を活用した事例としてお話します。

閉園後の幼稚園を「福祉の拠点」として活用したいと方向性が決まり、国の交付金を探し、日本財団助成金が決定した。「原田ふくし館の構想」として、①世代間交流スペース、②学童保育、③デイサービスの三つの機能とした。「デイサービス」はNPOいやし処ほのぼのが介護認定事業所として運営することが決まり、地域と地元NPOが地域の課題を共有する形での運営が始まった。

懸念された課題としては、世代間交流スペースの運営コストをどうするかということ。そこで、いやし処ほのぼのが独自事業として10年以上続けてきた「手づくり味噌」や「万能たれ」の製造販売ノウハウを譲り受け、「そこがみそ原田企業組合」として製造販売し、運営コストを捻出することにした。掛川では初の起業組合となった。

今後の課題としては、やはり販売拡大と収益確保。現在、10ヶ所での委託販売を行なっているが、マージンが10%~35%と大きいので、直接販売する道も探りたい。豆を3~4時間煮込んで、甘みと旨みを出した万能たれもオススメですよ(笑)。



④グループワーク
静岡福祉文化実践研究所 代表 平田厚 氏

【平田先生流:グループワークの進め方】
①まず、一分間で自己紹介スピーチを行い、誰がリーダーにふさわしいか指を刺す。遊び感覚、リクリエーション感覚でリーダーを決める。
②住みよい地域づくりを目指すうえで、自分が住んでいる地域で感じることや課題を出し合う。





【平田先生の言葉から】
ボランティア活動のアクセスの原点として
①こうした講習会で自分自身の感心ごとに到達したとき
②条件が整った(子どもが幼稚園に入って一日2~3時間手が空くようになった等)
③長寿者問題や子育て問題が身近な問題として近々にある
④やむにやまれず(今を逃したら福祉の仕事に関われないと、30代で福祉大学に社会人入学する人等)

自分の問題として関われること、一人一人が担い手であるという意識が大切。「自治活動」が「福祉活動」にならなければいけない。関係のない住民は部外者となってしまい、一部の関係者だけのものになってしまう。

専門の施設整備の時代から、地域在宅福祉の時代になっている。地域組織化を図る必要性がある。

地域活動の基本は、地域づくりに参加できる「場」を作ること。支援するだけで終わりではなく、当事者の活動につなげていくことが大事。

今日のような場こそ大切。今日は常葉大学の学生もボランティアで来ているが、行政も、関係者も、市民も、若者も、女性も、みんなが奇譚のない意見を出し合い、課題を整理し、解決につなげていくことこそ、協働。

書き込み数は1件です。
[ 日付順 ] [ 投稿者順 ]
Re: 【第3回レポート】地域福祉を支える担い手づくり
【返信元】 【第3回レポート】地域福祉を支える担い手づくり
2013年02月21日 11:22
当日参加させていただきました。
平田先生のお話はとてもわかりやすく、「福祉」が身近なものに感じられました。「福祉」は生きること、暮らすことのベースにあることなのだと思いました。