フライの作成 Fly Making これまでに出たフライの作成法を解説した本では、最後に必ず付け加えていることがあります。それは、本を読んでも技術は身につかないので、練習が必要だということです。ここでも、フライの作成法を教えてくれる友人がいない人のために、例に習って、いくつかの手掛かりを提供しようと思います。 プレート3の全体 図-1 1.まず靴職人用のワックスを塗った細い絹糸を片手で軽く持ってプレート3、図-1、A、B、C、Dのように、B点でフック・シャンクの周りを3-4回まわして、糸の端にフォーセプスか錘を付けて垂らします。AとBの間は2-3インチあけておきます。また、ワックスを塗ってある1本の細いガットを、後で滑り抜けないように一端をロウソクの火で焦がして太くしておきます。 図-2 2.ガットECFの焼けた端Eを持って、図-2、フック・シャンク(訳者注:図から判定すると、ガットはシャンクの下側に固定しているようだ)に添わせてCDの糸できつく巻いて固定します。BCでは3-4回転にとどめておき、Eまで巻きます。CBEをさらに巻いて固定し、最後にはABで糸を残して垂らします。シャンク後端にはcdを残しておきます。 図-3 3.レッド・ハックルから2本か3本の具合のいいファイバーを取って図-3の位置で、最後に使った絹糸(c、d)を使ってテイルとしてしっかり固定します。同時にファイン・ゴールド・ツイスト(e、f)の端とオレンジとレッド・フロスをミックスしたダビング材の端を巻き止めます。次に、フロスを余していた絹糸(c、d)に巻き付けてシャンクに巻くか、それともシルク・フロスをそのままシャンクに巻きます。 図-4 4.残っている絹糸(c、d)でシャンクを巻きながらB位置まで持ってきて、絹糸ABと結びます。次にゴールド・ツイスト(e、f)をコイル状のダビングボディ(c、d)の上に図-4のように巻いてきて絹糸ABと結びます。これでボディができあがりです。 図-5 5.アンバー(訳者注:琥珀色。わずかに茶色がかった黄色)に染めたレッド・ハックルの根元を図-5の位置に置いて、よくワックスをしみ込ませたスレッドABで固定してください。そして、ハックルの飛び出している部分(G)を切り落として下さい。 図-6 6.ハックルBHを図-5のように、ボディの前端で2-3回シャンクの周りに巻いて下さい。そして綺麗に束ねてABでしっかりと止めて下さい。その状態ではファイバーは図-6のようになっています。これは虫の脚を表しています。 7.スターリングのアンダーカバーツから2枚の羽を取って、(その根元をシャンクの先端に)しっかりと形良く図-6のBのように(シャンク先端よりやや後ろに)固定します。それとは別に、お好みで、根本側を斜めに切り落として(そうすれば根本は切り落とされてすっきりします)、切った側を下にしてシャンクに固定して、結んで切り離してください。もし、ここで読んだことを工夫して技術を習得し、そして、フライを巻く作業を辛抱強く完遂できれば、あなたは今や完全なるグレート・レッド・スピナー(というフライ)を手にしていることでしょう。 ハックルでバズフライBuzz-Flyを作るためには(図-30を参照)、ハックルの上端あるいはポイント・エンドをフライのテイルに使います。プレート3、図-3のEの所にスレッドcdで固定します。そして、ハックルはゴールドやシルバー・ツイストや他のリビングを施したあとに、ダビング・ボディの上から巻いて、スレッドABと結んで切り離します。 プレート13の図-28,29(訳者注:カゲロウのダンのパターン)のようなバズフライをハックル以外で作るときには、羽のファイバーを根本側にしごいて、ハックル・ポイントをフライのショルダーの位置Bに(プレート3、図-4)取り付けて下さい。余分な羽のファイバーや線維を注意深く取り除く必要があります。そうしないと、ダビングを進めていくハックルの形が揃わなくなります。羽の根本はフライのヘッド部分でスレッドABで巻き、通常通り結んで切り離します。 水生昆虫の静止時の翅を模倣したウィング付きのフライを作る場合は(プレート4,図-12)、ハックル・フェザーは使わないで、ダビング材を巻いたあちに、ダビング材が捻れて出たまま、またはボディからダビング材をニードルでピック・アウトしてフェザーの代わりにレッグになるようにしす。その他のことについては、グレート・レッド・スピナーの所で述べたようにやればフライを完成させることができます。 ハックルや他のフェザーでウィング付きのバズフライを作るときは、その色合いは本物の虫の翅の色よりも明るい色にする必要があります。なぜなら、本物の虫の翅がぶんぶん動いているときには、静止時の翅の色より明るく見えるからです。 ---つづく |