上毛新聞 2012年6月10日付 朝刊 【自殺末遂の男性説得】 《嬬恋高の宮崎君》 「助けることができて良かった。命の重さ、大切さを知る経験になった」。嬬恋高3年の宮崎翔君(17)=嬬恋村田代=は5月末、橋から飛び降りて、自殺しようとしていた男性を説得し、救った。 試験で通常より早い放課となり、いつも通り自転車で帰宅していた。途中、橋の欄干の外側に立つ男性を見かけた。男性ははだしで、橋に靴があり「自殺するかもしれない」と思った。一度は通り過ぎたが、すぐに引き返した。「死ぬ」と言って、飛び降りようとする男性の腕をつかみ、「生きたくても生きられない人もいる。命を大切にして」「残された人のことも考えて」などと30分以上、説得を続けた。 「怖かった。誰かに助けを求めたかったが、余裕がなかった」と振り返る。説得の末、落ち着いた男性を家まで見送り、宮崎君も帰宅した。 「あの選択は間違っていなかった。もし、通り過ぎていたら・・・」。橋を通るたびに思い返し、「戻ってよかった。最善の行動だった」と考えている。母のかおるさん(48)は「困った人がいたら助けるように教えてきた。誇りに思う」と笑顔で話す。 宮崎君は幼いころからスキー一筋。現在は高校のスキー部に所属する。キャベツ農家に育ち、夏休みはトレーニングも兼ねて農作業を手伝ってきた。将来は「実家を継ぐことになると思う」と話すが、「スキーで冬季オリンピックに出たい」と、大きな夢も抱いている。 あらためて「命」について考えるようになった。「大事の人や子どもができたら、自分の感じたことを話し、命の大切さを伝えたい」。そんな思いを強くしている。 (中之条支局 外処郷平) 〈読者投稿〉 高校生が1人の命を救った記事に、私は目に涙があふれました。説得し最後まであきらめずに救った少年に、ハッピーを感じました。 人の命は重いです。病気やケガなどで生きたくても生きられない人たちが多いのに、自ら命を大切にしない世の中。もし私がその立場でしたら、救えるだろうか!と考えます。この少年の親の育て方はりっぱだと思います。 私にも子供がいますが、このように育っているか不安です。最近はステキな話がありませんが、若い人たちがこのような時どう行動するかは、本人が一番わかると思います。 この記事を読んで、自分の心をどう思うか?考えてもらいたい気持ちです。私にも言えること。 地震や不況で大変なとき、心の荷物が落ちた気持ちになりました。 山田恵子さん 57歳 群馬県 × × 誤字脱字写し間違いあります。 |