高知新聞 2013年1月14日付 朝刊 【夢へ 20歳の門出】 高知市など成人式 希望に燃え、迷いながら、若者達が「自分の時計」を進める―。「成人の日」を前に13日、高知市など県内の6市町村で成人式が行われた。経済も政治も、なかなか先行きの見えない不安感が漂う「大人社会」だが、各会場には、夢へ向かってそれぞれに歩み始めた晴れやかな笑顔が広がった。 県内の新成人は、昨年より111人少ない6904人(男性3450人、女性3454人)。「高知ぢばさんセンター」での高知市の式典には対象3310人のうち、2102人が出席した。 色鮮やかな振り袖や新調のスーツなどに身を包んだ新成人は、きりっとした表情を見せたり、旧友との再会に「あのころ」と同じ笑顔に皆で戻ったり。「お前、変っていないなあ」「仕事には慣れたかえ」 長い人生。今、立っている場所はどこだろう。これから、どこまで行くのだろう。 (宮崎順一) 〈読者投稿〉 多くの新成人の笑顔がはじけている。なんとすがすがしい笑顔なんだろう。しばらく日本中が忘れかけていた笑顔だ。 私の成人式は昭和39年、東京オリンピックが開かれた年であった。今でも鮮明に覚えているが、その頃の私は大学浪人中であり、先の見えない自分にとって、成人式は焦りとうらやましさが入り混じり、憂鬱な気分で他人事のように思えた。 成人式当日のことである。母は一着の背広をたんすの奥から取り出し、 「成人式のお祝いに、この背広を仕立て直しましょう」と言って、祖父の大事にしていた背広に袖を通させてくれた。母だけは私の成人式を覚えていてくれていたのである。 このきじを読んでいると、 「私にとっても成人式よ、おめでとう」と言ってくれた、母の声が今でもしてくる。 なんて幸せそうな笑顔なんだろう。大空にどんな夢を描いているのだろう。 小谷了一さん 68歳 高知県 × × 誤字脱字写し間違いあります。 |