僕と女房殿との間には２人の息子が居る。長男は僕が30歳、次男はそれから２年後に産まれた。まぁ『明るい家族計画』の部類に入ってるかな？

でも実は長男より先に流産してしまった子が居た。自分はサラリーマン、定年という終わりがある職業だから、子供は早く欲しいと思っていて、結婚後間も無くのご懐妊は初めての経験であり（当たり前）僕も女房殿も、そして僕の母親も大いに喜んだ。でもでも残念ながらその喜びは長くは続かず、その子とは会うことは叶わなかった。

産婦人科で『育っていない』と宣告を受け、結局流産に。当然女房殿はめちゃくちゃ落ち込み、食事も喉を通らない。でも僕は意識的に明るく振る舞い、流産の宣告を受けた時も『ラーメンか何か食べに行く？』と口走り、女房殿からはひどく怒られた。

そして病院で処置してその日はたった１日だけど入院となったが、いくら請求されるのか全く想像もつかず女房殿とコソコソと相談して財布の中に10万円忍ばせて会計に。もう30年以上前の事なんで具体的な金額は忘れたが、１万円にも満たない金額だった。

同じ時期に女房殿の実兄夫婦も出産したけど、女房殿曰く『会いたく無い』との事で暫く会おうとはしなかった。この辺りは実際に妊娠・出産を経験する（出来る）女性ならではの感情だったのだと思い、それ自体にはとやかく言わずに見守るしか無かった。

幸いにもその後暫くして現在の長男をご懐妊。それを確認した女房殿は、独身時代から勤めていた会社をスパッと辞めてしまった。僕に対しても『辞めたでね』という事後報告に近かった記憶がある。女房殿は通勤で会社のバスに30分以上揺られていて、バスに揺られたのも流産の一因と思ってると言っていたよ。

そんなこんなでめでたく２回目のご懐妊となったが、実は結婚一周年って事で妊娠発覚する直前に長崎に旅行。女房殿はその時に足を滑らせスッテンコロリン。ご懐妊発覚はその数日後だったが、長崎でのスッテンコロリンで流産する可能性もあったかもという訳で、２人揃って肝を冷やした。

一度流産を経験し、慎重にも臆病にもなっていた夫婦だけれど、その後は順調に月日は流れ、めでたく長男を出産。入院したのは流産の時と同じ個人病院で、事前に立ち会いをするか否かを聞かれたけれど、夫婦揃って『やりません！』って即答。医者からも立ち会ったご主人が卒倒する事も多々あり、その時は分娩と旦那の処置とアレコレと大変な事になるんで生半可な気持ちでの立ち会いはやめて欲しいとも言われた。その代わり長男が看護師さんに抱かれて産湯につかるシーンはビデオに収めたけどね。

それから２年後に次男が産まれたが、出産当時長男は２歳、短時間でも母親の姿が見えなきゃ『あ〜ちゃ〜ん！』って大泣きしながら探し回るほどに母親にべったり。まぁ最初の子だから家族総出でチヤホヤしてたから仕方ない。そんな長男だから出産のための入院で、母親が居なくなったら大変だろうなと心配し、入院は後を追わぬように長男には分からないようこっそりと入院。

しかししかし長男も何かを感じてたのか？あれ程母親命だった筈なのに、全く泣かない、全く探さない、こちらが拍子抜けする程にね。でも２歳の幼い子に気を遣わせている様でこっちが泣けて来た。

そんな長男の事を女房殿も凄く心配し、入院中にどうしても長男に会いたいと言い出した。でもここで母親と会わせてしまったら離れなくなるだろうなと思い、直接顔を合わせる事は見送り、その代わり入院中の病院に長男を連れて行き、僕が抱っこして病院の窓から外を見ている長男の後ろ姿を物陰からこっそり見ることに、その後女房殿は泣いていたけれど…。

長男と次男、同じ親、同じ環境で育ったのに、この２人は正反対！長男は理系で次男は文系、長男は理論的で、次男は感性的？、長男は着る物も部屋も頓着無し、だから親父のお下がりでも平気で着るし、親父と同じくUNIQLOで十分！

対して次男は着る物にも部屋のインテリアにも拘り満載！UNIQLOなんて以ての外だし、部屋は配色に気を遣い家具のデザインや色合いにも細かい。

こんな２人だけれど、何故か恋愛には縁遠いところは共通点、未だ独身。親父は28歳と11ヶ月で結婚したぞ〜（但しお見合いだけどね〜）。

因みに息子達には最初に流産した兄？姉？が居た事は伝えてある。その子が病気やら何やら悪いモンを全部抱えて天国に旅立ってくれたお陰でお前達はここに存在して元気に生活できている。会うことは叶わないけれど、天国にいる上の子に感謝しなきゃ駄目だぞ、ってね。