【第3回レポート】「減災をめざしたまちづくりに向けて~Part.2 女性の力を避難所運営に活かす」(御前崎)
2016年01月21日 13:45
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中東遠地域づくりシンポジウムin御前崎
「減災をめざしたまちづくりに向けて~Part.2 女性の力を避難所運営に活かす」 平成27年度第3回目のNPOプレゼント講座は、御前崎市での開催です。「減災をめざしたまちづくりに向けて~Part.2 女性の力を避難所運営に活かす」と題した講座では、避難所運営についてのワークショップ、講義、災害時の食事の工夫など、盛りだくさんで行われました。 ★講義とワーク (1)避難所運営について NPO法人御前崎災害支援ネットワーク 理事 増田雅彦氏 避難所を運営するときの困りごとについて 【Aチーム】 ◇テーマ 役割分担 ◇目的 スムーズな避難所運営のために ◇何をするのか ・来た人を把握 ・役割分担一覧→組織化→組織図の表示→スタッフの見える化(お揃いのジャンバーやはちまきなど) ◇事前準備 ・どのような役割が必要か役割一覧の作成 ・組織の見える化のためのグッズをそろえておく(ジャンバーなど) 【Bチーム】 ◇テーマ 収容者の把握 ◇目的 管理運営の基本として集まっている人を把握するため ◇何をするのか ・家族単位、組単位、区単位で把握 ・名簿づくりを進める→本部を立ち上げ (その中で行方不明者等の把握もできる) ◇事前準備 ・用紙、筆記用具、地域の住宅地図の準備(地図に基づき家族単位で安否を把握) 【Cチーム】 ◇テーマ 場所取り ◇目的 必要なところに必要な支援をするため 適材適所のため ◇何をするのか ・障がいを持つ人、介護を必要とする人、ペットのいる人など、避難所の場所決めが必要になる ◇事前準備 ・運営の知識を持った人を増やすことが必要 ・仮設トイレが設置されるまで、家族単位で準備しておくこと、啓蒙しておくことが必要 ■増田さんよりひとこと 避難所運営について話し合っていると、あらゆる問題が出てくる。解決できなことがたくさんあるということ、そして避難所運営の大変さを実感してもらえればいい。 ■落合さんよりひとこと 避難所ひとつでもたくさんの問題がある。その場その場での臨機応変さ、バランス感覚が必要。リーダーとなる人が知識、経験を持っていることが必要。こうした研修にたくさんの人に来てほしい。 あと、できるだけ自宅避難を考えること。「とりあえず避難所に行けばいい」ではなく、倒壊していなければ、自宅で避難する方が様々な問題を回避できる。家が倒壊せず、命があれば、なんとでもできる。 (2)災害後のお金どうする? ~災害時に知っておきたい公的支援と自助努力~ NPO法人御前崎災害支援ネットワーク 理事 松下美枝子氏 ◇公的支援その1「人間に対して」 (自然災害で家族を失った遺族、重度の障害を負った方への支援 災害弔慰金、災害見舞金等 ◇公的支援その2「災害救助法」 (応急時に必要な救助、被災者の保護と社会秩序の保全を図る) 子どもの学用品の無償給付など ◇公的支援その3「被災者生活再建支援法」 (生活基盤に著しい被害を受けたものに対し被災者生活再建支援金を支給) 生活経費(冷蔵庫、洗濯機など生活上に必要と認められるものの購入修理費)等 ■松下さんよりひとこと 今、説明してきたとおり、様々な公的資金があるが、国、県の支援はこの程度の金額しかもらえないというのが実情。そのために、預金、保険に入るなど、何かあったときのための自助努力が必要。 そして、いざ被災したときには、「1.自分の身を守る」「2.被害の証拠写真を撮る」「3.罹(り)災証明の申請」をすることが必要。 (3)非常用持ち出し品は身軽に NPO法人御前崎災害支援ネットワーク 理事 澤島久美子氏 ☆まずは「命」を守るために 家屋の耐震、家具の転倒防止、ガラスの飛散防止 ☆津波や水害から素早く逃げる ☆非常用持ち出し袋に工夫 ウエストポーチで準備(家族一人にひとつずつ) 最低限に絞り、避難時に持ち出す (水、ミニ羊羹、保湿シート、懐中電灯、笛、薬、メガネ、ハンカチ、ティッシュ、除菌シート、オムツ、ミルク等) ☆本格的避難生活のために持ち出す品 場所に工夫を。 ペンケースや裁縫セット、カッパなども必要。 ☆自宅非難が一番 家がつぶれなければ、流されなければ→自宅避難が一番→避難所は過酷な生活、空き巣など防犯上の問題も回避できる→トイレが一番苦痛→自宅トイレにビニール袋を入れ、猫の砂、吸水シート等の工夫を。 【食事の工夫】 ※「じゃがりこ」にお湯を入れるとポテトサラダに ※「ほていのやきとり」と一緒にお米をたくとまぜごはんに ■落合さんよりひとこと ・基本はローリングストック(いつも家にあるものでストックする) ・半年に一度のチェック(冬と夏の衣替えのように、冬と夏では必要なものも違う) ・重すぎてもだめ ・ホテルの洗面用具は使わずもらってくる(非常持出し用に) ・女性の場合、ハンドクリームや化粧水も必要 ・家がつぶれなければ家にもどればいい (4)「インクリーシブ防災を考える」 ~男女共同参画では不十分~ NPO法人御前崎災害支援ネットワーク 代表理事 落合美恵子氏 ※インクルーシブとは、 「ソーシャルインクルージョン」という言葉から来ており、これは「あらゆる人が孤立したり、排除されたりしないよう援護し、社会の構成員として包み、支え合う」という社会政策の理念を表します。 ◇インクルーシブの問題 ①障がい者は目に見えない人が多い。 健常者が障がいを持つ人の気持ちをどれだけわかるか。 耳の聞こえない人でも避難所運営の手伝いはできる。何を求めているのか、「ここまでは大丈夫」を確認しながら、社会の一員として役に立ちたい気持ちを尊重してあげることが大事。 ◇避難所では生活が難しい 投薬の不足や環境の変化に対応できなかったり、そもそも生活するための様式がなかったり。 ◇個人情報の問題 ①避難所の情報管理 DVなどの問題もあるので、住民票の閲覧制限等も管理体制が難しい。 また、子どもの障がいを親が隠す場合があるが、今は昔のような差別も少なくなっているので、なるべく近所の人に知ってもらうことが大事。「この子だけ残ったとき」どうするのか、なるべくオープンにして、何かあったら助けてもらえるよう、孤立しないよう、日頃から交流しておくことも大事。 ◇物資の調達・配布の問題 女性の必需品、妊婦や乳幼児の必需品は日頃から心掛けておく。 ◇食糧、配給の問題 アレルギー食や介護食の問題。 配給でも数の不一致がある。1,000人の被災者に500人分の食料しか来なかった場合どうするか。半分ずつ。水を足しておかゆにする。 ◇防犯防火の問題 ボランティアのふりをして窃盗、詐欺など。性犯罪も多い。一人で避難所に来た女性には声をかける。 ↓ 問題回避のために自宅避難を推進 耐震、家具の固定、ガラスの飛散防止 まずは生きること、けがをしないこと。けがをしても救急車は来ない。 ↓ 命があり、倒壊しなければ備蓄を。 ◇まとめ 地域で支えるために ・知識の習得 ・自分や家族の命を守る活動 ・友人知人、親戚に広める活動 ・地域の人に広める活動 ・要配慮者(インクルーシ)との交流活動 ※日頃から顔の見える関係づくりが重要 避難所運営には女性の力が必要 |