NPOプレゼント講座2013の「【第2回レポート】子どもたちとともに育ちあう活動から」
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【第2回レポート】子どもたちとともに育ちあう活動から
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台風で延期になっていた第2回NPOプレゼント講座。講座当日は、大寒波の中の開催となりました。
講座のテーマは「子どもたちとともに育ちあう活動から」。アットホームな雰囲気の中、講師の皆さんの印象的な言葉をレポートします!


【1】ミニレクチャー
「子どもたちとともに育ちあう活動から ~子どもたちをとりまく現状と課題~」
講師:NPO法人ポレポレ事務局長 神谷尚世 氏



■子育ての活動に関わるようになったきっかけ
NPO法人ポレポレは、遊びや情報の提供によって、子どもの育つ力や親の育てる力を引き出す事業を行っています。
こうした活動をしようと思ったきっかけは、私自身が長男を生んだ後に麻疹にかかったことです。麻疹にかかったことで下半身が麻痺し、3ヶ月間入院、その9ヶ月後には職場復帰しましたが、子どもと離れたくないと思うようになり、退職しました。
そこで気づいたのは、ずっと働いてきた自分には地域の中に友だちがいないということでした。子どもをちょっと預ける知人もいない。自分一人では育てられないと痛感しました。
また、2人目、3人目、4人目と子どもを産むたびに、自分が丈夫になっていくのがわかりました。吸引分娩だったのも、4人目は自然分娩で産むことができました。
そんなふうに、自分自身の経験から「子育ては親だけの問題でないこと」「子どもは育てるものではなく、一緒に育つもの」という意識も生まれました。



■参加者の発言から「子育て」について考えてみよう
参加者全員に、①~④について発言してもらい、そこから「子育て」についてみんなで考えてみる時間を作りました。

①子どものころ、あなたは何と呼ばれていましたか?
②子どものころ、好きだった遊びは?
③今の子育てで気になること
④こんな子育て支援があったらいいなと思うこと

【神谷さんのコメントより】
●子どもの遊びについて
・子どもの頃、遊びこむことが必要。
・五感を大切にしたい。匂いや味は記憶に残る。
・ポレポレが親子活動にこだわるのは、親が楽しいと子どもも楽しいから。
・気仙沼にボランティアに行き、おもちつきをしたとき、「もち米を水に浸す」ことを知らない子が大勢いた。最初から最後まで経験させることの大切さを感じた。
・気仙沼では電波が入らず、携帯もつながらないときがあった。すると、いつも使わない時間の使い方ができる。いつもと違う時間、人間関係が作れると感じた。
・子どもの人数が減り、ライフスタイルも変わり、公園に行っても子どもが遊んでいない。そんな状況では、親も安心して「外で遊びなさい」とは言えない。

●お母さんたちに必要なこと
・お母さんたちが苦手なのは、叱られること。70代80代のおばあちゃんたちは褒めてくれれる。多世代交流の機会を作りたい。
・お母さんが欲しいのは「うちだってそうだよ」という共感の場。同じ失敗をしている仲間がいるとほっとできる。気軽なやりとりができる場がほしい。
・「居場所づくり」と盛んにいうけれど、必要なのは「場所」ではなく「人と人がつながること」。ここに行けばこの人に会える、この人が気にかけてくれる、そうした人づくりが大切。
・お母さんたちは結婚し、母親になると、名前で呼ばれなくなる。今日、自分の小さいころの呼ばれ方を話してくれたとき、皆さん笑顔だった。こうした呼ばれ方ひとつで違う関係性が生まれる。

●施策やまちづくりについて
・いっぱい産んだら「得」になる施策はないのか。4人産んだ自分は、イベントに参加すると参加費が高くなる。だから、ポレポレでは「一家族500円」で、家族全員、おじいちゃんやおばあちゃんも参加しやすくしている。
・子育てしながら「家事」も「仕事」も「お付き合い」もするお母さんたちの能力は高い。時間短縮でやる。そうしたお母さんたちの能力を生かせないのか。お母さんたちの能力をまちづくりに活かしたら、すごい力になると思う。
・1人目の子育てでコントロールできなかったことでも、2人目3人目になるとできるようになる。その支援が地域でできるといい。




【2】事例紹介①
倉真まちづくり委員会「パンダひろば」(掛川市)所長 戸塚修子 氏



■「パンダひろば」とは
掛川市倉真地区は、山と川があり、田園風景の広がる田舎ですが、新幹線駅から車で15分という利便性の高い場所にあります。しかし、幼稚園が廃園になるなど、過疎化が進んでいます。「パンダひろば」は廃園になった幼稚園を活用して、開園しました。
平成24年度の利用者は、のべ12,000人、1日の平均利用人数は50人です。

今は、自然遊びを知らないお父さんやお母さんも多くなっているので、子どもと一緒に自然体験ができるということで、大勢の親子が訪れるようになっています。せみとりやたんぽぽのかんむりなど、子どもの笑顔を通じて親も育っていくのを感じます。
親が楽しいと、子どもも楽しいんですね。

■パンダひろばの特徴
「外遊びが思い切りできる」「地域の自然を生かした自然体験ができる」ことが特徴です。
地域の皆さんが先生になり、様々なプログラムを用意しています。

野菜作りでは、地域の88歳のおじいちゃんが先生です。「野菜を育てることは、子どもを育てるのと同じ」という言葉をいただきました。
川遊びを教えてくれるおじいちゃんや、クッキングを教えてくれるおばあちゃん、お茶つみやいちご狩りなども、地域の皆さんの協力をいただいています。
大豆を石うすでひいてきなこも作りました。匂いがよかったですね。「伝統の味」や「本物の味」や「おばあちゃんの知恵袋」的なものも、伝えられていると思います。

■パンダひろばの運営から気がつくこと(支援センターに求められること)
情報があふれている時代に、「あれもこれもやって、でもうまくいかなくて悩む」というお母さんがとても多いのを感じます。パンダひろばの相談件数も増加しています。

支援センターに求められる機能として、
①実際の成功や失敗談を話し合える仲間づくり
②信頼できる相談者との出会い
③安心して遊べる場所の提供
④子ども同士の触れ合いの場
⑤成長にあった身近な子育てモデルとの出会い
が必要です。



そのための取り組みとして、相談の多かった子育て講座を実施したり、先輩ママの体験談を聞いたり、悩んでいるママの話を聞いたり、そんな「答えを出さない」講座の機会も作っています。お母さんたちは、一緒に悩み、考えてくれる仲間が必要だと感じます。

■地域の課題として
自然豊かできれいなところ、という印象で来た親子が、耕作放棄地を見てがっかりすることもあります。畑の管理や環境整備も考えていかなくてはいけないと思います。

また、このパンダひろばは学童保育もかねているので、通ってくる子たちと「つなぐ」ことも考えています。キーワードは「つなぐ」ですね。地域とも、学童の子たちとも、他の団体とも連携していきたいですね。


【2】事例紹介②
みんなでうさぎ山を楽しむ会(磐田市) 副会長 兼子孝宏 氏



■「みんなでうさぎ山を楽しむ会」とは
兎山公園には、かつて「兎山児童館」がありました。老朽化が進み閉館しましたが、自然豊かなこのうさぎ山を「子育て、親育て」の場として活用したいと私たちは考えました。うさぎ山周辺は、春夏秋冬の美しさがあり、いろいろな生物がいて、古墳群もあり、歴史的にも素晴らしい場所だからです。「命の大切さ」を伝える場所として、「生きる力」や「命を見守るあたたかい心」が育つ場所として、みんなでその環境を作っていきたいと、活動をスタートさせました。

平成22年に立ち上げたばかりですが、一緒に携わっている私たちも成長していきたいと思っています。

■活動について
自然と触れ合うことで「たっくましく生き抜く力」や「命を大切に思う思いやりのある心」を育む場となるよう、活動しています。
①青空ひろば
ネイチャーゲーム、ザリガニつり、水鉄砲、葉っぱスタンプ、焚き火カフェ、冒険キッズ、宝島
②ジュビロマラソン給水所運営
活動を知ってもらう場として
③各種イベント
他団体と交流できる「ぷらすフェスティバル」などに参加し、活動の広報やネットワークづくり



今後も、様々な課題をクリアーしながら、楽しみながら活動していきたいと思います。


【3】質疑応答より
■質問①
支援を求めている人たちへの発信は、どのようにしていますか?

戸塚
お知らせは、HPやブログでの発信と、通信(印刷物)をスーパーに設置しています。
目に留まるように努力していますが、「自然遊びができるところ」と口コミで増えているのが一番多いかもしれません。
こうした施設は求められていて、実は予想以上に多くの人が利用してくれるようになったので、今は駐車場が足りないのが悩みです。
それだけ、こうした支援センターが求められているということだと思います。

■質問②
自然遊び体験してほしいけれど、どうしたら上手なPRができ、人が集まってくれますか?

神谷
最近、「遊び」だけだと人が集まらないということがあります。私たちは、防災とつなげることを考えてみます。

今の子は、マッチを使えない子が多いです。燃えるものを見たことのない子もいます。いざというとき、困るので、防災とからめて「炊き出し練習」とか「避難所練習」とか、やっていくといいかもしれません。そうしていつもやっていれば、マッチやライターや毛布などの備品管理にも目が行き届きます。
あえて「火」を使ってみる、火を起こす体験をしてみるなど、防災や減災につながる「遊び」を計画してみてはいかがでしょうか。
そのとき、市の子育て支援課とかだけでなく、危機管理課などいろいろな課と連携していくことが大切です。

■まとめ(神谷)
パンダひろばもうさぎ山をたのしむ会も、目指すことがわかりやすいから参加する人が多いのだと思います。「見える化」がされていることが重要です。伝わりやすいし、スタッフにも浸透しやすい。

今、「協働」や「プロボノ」ということがいわれています。プロボノは、会計士や行政書士など、まちの専門家たちにも協力してもらう体制です。私たちは「豆腐屋さんに学ぶ豆腐づくり講座」なども実施していますが、まちの専門家とお母さんたちがつながると、お母さん自身のネットワークが広がります。豆腐屋さんの知り合いができることで、それまでスーパーでしか買ったことのなかった豆腐を、豆腐屋さんに買いに行くようになります。行く場所や知り合いが増えます。プロボノを活用することで地域とのつながりが増えるということです。
そんなことも、これから考えられるといいのではないでしょうか。

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