粟ヶ岳のススキの原に「ヒオウギ」が咲き始めました。ヒオウギと言うと皆さんお盆の頃にオレンジ色の花を並べてつける[ヒオウギズイセン]を思い浮かべる人が多いようですが、ヒオウギズイセンは外国から来た園芸種が広がったものです。昔からあるヒオウギは、ススキなどの茂る草原に生えていて、背丈が1mくらいになります。名前の由来は「桧扇」で桧の板で作った扇のように葉が根元で重なって広がることから来ています。別名を「ヌバタマ」と言います。これは種が丸くて真っ黒なので「烏羽玉うばたま」がヌバタマになったと落語のような話です。このヌバタマは黒、闇などの枕詞に使われ万葉集にもよく出てきます。大伴家持はなかなかの色男のようで「ぬばたまの黒髪変り 白けても 痛き恋には
逢う時ありけり」「 ぬばたまの、その夜の月夜(つくよ)、今日(けふ)までに、我れは忘れず、間(ま)なくし思へば」などと歌を贈られましたが、こちらは黒髪が白ければ心も白けて色あせています。