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掛川発:お仕事アラカルト[美容師・理容師]
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2009年11月12日 16:08
髪を通じて人と触れ合う ~美容師・理容師という仕事~
美容師・理容師 山崎智子(やまざき さとこ)さん
 
「働く人」の取材が決まったとき、この人の話を聞こうと思った。子どもの頃、人形の髪に触って触って触りすぎて、髪が短く薄くなってしまった人形を今も大切にしまってあると聞いたからだ。私もお人形遊びが大好きで、髪をしばったり短く切ったりした。でも私は美容師にならなかった。
プロの道を進む人とそうでない人と何が違うんだろう……。
人形はどんなふうに取ってあるんだろう……。
明るく、柔らかな雰囲気に包まれる美容室「GARDENS」に向かった。


お人形のお話がとても印象的で、今日は伺わせていただきました(笑)。お人形のことも含めて、どんな子ども時代を過ごされたのか、お聞かせください。

18歳で美容師になるまで、実は一度も美容院に行ったことがなかったんですよ。いつも母が私の髪を切ってくれていましたから。
「今、お母さんが前髪を切っているな」「今度は横の髪だ」と母がカットする様子を間近で見たり、自分の髪が切られるのを感じるのが好きだったんです。よその人に切ってもらうのは、緊張しましたから。

小学校一年生か二年生のクリスマス、朝起きると枕元にマチルダ人形が置いてあったんです。その日から、マチルダちゃんが友だちになりました(笑)。布を切って洋服を作ったり、マフラーを編んだりしました。布団を作り、枕も作りました。取って付きのケースが、そのまま「おうち」にもなりました。そうして、一つ一つアイテムを増やしていって、大事に大事にしてきたんです。



そんな人形遊びの中で、髪の毛も……。

ええ。毎日のようにマチルダちゃんの髪をリボンで結んだり、三つ編みにしたりしました。三つ編みの次の日はパーマがかかったみたいにくせっ毛になったので、そのくせを利用して別の髪型にしたりもしました。それで、しまいには髪型を変えたくて髪を切ってしまって、そのあとも、触って触って髪がどんどん薄くなってしまったんです(笑)。赤い毛糸でベレー帽を作り、短い髪にかぶせたりもしたんですけどね。

その頃、両親がよくけんかをしていたんです。私はよく押入れに入りました。押入れの戸を閉めると、けんかの声も聞こえなくなりましたから。スタンドを持ち込み、押入れの戸を閉め、マチルダちゃんの入った箱を開けると、そこは自分だけの世界でした。一人遊びの好きな子どもだったんですね。

美容師になろうと決めたのは、いつ頃のことですか?

小学生のときは、看護士さんになりたかったんです。中学生になって美容師さんになろうと決めました。両親が離婚して、別々に暮らしていた兄が美容師になったと知ったので、大好きなお兄ちゃんに着いて行きたいと思ったのかもしれませんね。その頃、私のまわりには「お花やさんやケーキやさんになりたい」という友だちがたくさんいたんですが、私は美容師さん一筋でした(笑)。

中学生のとき、兄のカットモデルになったことがあったんです。いつも母が切ってくれていましたから、すごく印象が変わってしまって、とても嫌だったのを今でもよく覚えています。大好きなお兄ちゃんだけど、自分は自分の好みの髪形があり、自分のやり方があるということをそのとき意識したのかもしれません。



山崎さんは、美容師だけでなく理容師さんの免許も持っているということですよね。私も何度か眉カットをお願いしましたから(笑)。

ええ。理容師の資格を取ったのは、赤ん坊からおじいちゃんやおばあちゃんまで、すべての人と接したかったからです。人と人が、じかに触れ合う仕事がしたいと思っていましたが、女性だけ、という枠を作りたくなかったんです。いろんな人と接せることで、感じること、学ぶこと、一緒に喜ぶこと、本当に多様だと思いますから。

山崎さんの仕事ぶりは、とても手際がいいですよね。迷いがない、という感じがするんですが……。

迷わないために、手早くなったのかもしれません(笑)。
お客さんと話をする中で、またお客さんの髪を触る中で、見えてきた最初のイメージというものを大事にしたいと思っています。あれこれ考えてしまうと、自分自身が迷ったり惑わされたりしますから、とにかく最初につかんだ印象を逃がさないように必死で(笑)。

美容師さんも、ある意味、職人さんなんですね。

一人一人、姿かたちや性格が違うように、髪の質もみんな違います。美容師という仕事をしていて、「この人の、ここをこうすれば、こうなる」と自分の中で「つかめた!」と思える瞬間があるんです。このお客さんに対して「これだ」と思えるときです。そういうとき、美容師としての喜びを感じますし、自分は職人なんだなあと感じます。「これでこのお客さんの求めるイメージを形にできる」と思えますから。

美容師さんという仕事を、どんなふうに考えていらっしゃいますか?

夢中で、好きで、一生懸命やってきただけなので、うーん、とても難しい質問ですね(笑)。
私は、修行時代も含めて三店舗で働いてきたのですが、それぞれの店にそれぞれの雰囲気があり、それぞれに合う人が集まるのだと感じます。「髪」というものを通してでも、やはり「人と人のつながり」なんだと思います。
ときどき思うんですが、ある意味、技術はどこの店も同じで、美容師の「その人らしさ」や「人柄」「感性」というものに合った人が寄ってくるのかなと。「髪の毛は、やっぱりさっちゃんに切ってもらわなきゃ」と言ってもらえたときは嬉しいですし、ゆだねてもらえた、信頼してもらえた、と感じます。

また、美容師・理容師の仕事は、生身の人と接する仕事だから、奥が深いなあと感じます。
ときに、髪の毛を通じて、また会話を通じて、その人の日々の暮らしや、嬉しさ、悲しさといった感情までも伝わってくることもあります。毎日忙しい生活を送っているだろう人が、時間を作って髪を切りに来てくれたのだと感じると、涙ぐみそうになるときがあります。髪の毛も、身体の一部です。髪を通じて、私は人と触れ合っているのだなあと実感します。



この仕事をはじめて18年、マチルダちゃんが最初はどんな髪型だったのか知りたくて、最近、ネットオークションで探してみたんです(笑)。1981年発売のものが見つかりました。「こんな髪型をしていたんだなあ」としみじみ思いました。どちらも私の宝物です。

(取材レポート:いいじゃん掛川編集局 河住)



GARDENS(ガーデンズ)
〒436-0029 掛川市南1丁目6-11-102
TEL&FAX 0537-23-6623

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Re: 掛川発:お仕事アラカルト[美容師・理容師]
【返信元】 掛川発:お仕事アラカルト[美容師・理容師]
2009年11月16日 02:30
こんにちは、「GARDENS」そこは私にとってとても落ち着く空間です。
香り、漂いが美容院ではないのです。
丁寧なシャンプーと手際のいいカット、二人の長所がもっと活躍できますように
これからもよろしくお願いします。  hio