キウイフルーツ新品種開発への想い
【閲覧数】668
2009年12月06日 17:44
|
平成21年12月6日(日)、掛川市上内田の「キウイフルーツカントリーJapan」において、キウイフルーツの新品種発表会が行われた。新品種の発表は、3年前の「サンゴールド」以来となる。
今回、発表されたのは「ヘイワード」を母樹とする「クラッキー」。表面に亀裂があり、果心の部分が透き通り、蜜が入っている。糖度は15~16度。糖と酸のバランスがよく、後味がいいのが特徴だ。 通常、高品質果実の定義として「大きさ、形、香り、色、高糖度」などがあり、その定義の一つでも違っていれば、新品種開発からは淘汰されていくのが普通だと、キウイフルーツカントリーJapan園長の平野正俊さんは語る。 「このクラッキーには、名前の通り(crackの和訳は「裂け目」「割れ目」)、表面に亀裂があります。普通で考えたら、新品種改良から外れていくものです。でも私には、その形状がどうしても不思議であり魅力でした。キズがあろうと、淘汰されていくものであろうと、苦境を乗り越えて今がある、自分自身の姿と重なったのかもしれません(笑)」 キウイフルーツカントリーJapanは、1975年、平野さんがアメリカでキウイフルーツに出会ったことから始まった。今では普通になっているが、キウイフルーツの計画出荷体制を国内最初に取った農園であり、ジャムづくりやワインづくりなど、全国に先駆けて商品化をしてきた農園でもある。高品質果物のリーダー的存在である東京の千疋屋(せんびきや)に、国内産のキウイフルーツとして最初に置かれている。 また、キウイの楽しさや農業の豊かさを伝えるために1990年には体験学習農園をスタート。農業や食文化、自然とのふれあいとともに、交流することでキウイフルーツの美味しさと楽しさを伝えている。 「地味なキウフルーツにも、いろいろな特徴があり、面白さ、可能性があります」という平野さんの言葉には、キウイフルーツへの想いと、自分の手で創り上げてきたものに対する自負と誇りが感じられた。 現在、キウイフルーツカントリーJapanには、80種類以上の品種があり、数百種類が研究段階だ。一般的に新品種の開発には、コストとエネルギーと時間がかかりすぎて、なかなかできないものだという。 「それでもやるのはなぜですか?」 その質問に、平野さんはこう答えた。 「自分自身の好奇心からかな(笑)」 その、平野さんの好奇心から、多種多様なキウイフルーツが楽しめるキウイ農園になった。 クラッキーの開発には20年の歳月がかかっている。「世に出そう」と決めたときから、この特徴をどうやって活かそうか、近年、ずっと考えてきた。 「今の時代だからこそ常識を破ることが必要」「最大の弱みは最大の強みになる」と平野さんが表現する「果実世界の異端児クラッキー」は、平野さんの意志、そのものなのかもしれない。 新品種「クラッキー」は、12月中旬までキウイフルーツカントリーJapanで試食ができる。作り手の想いに耳を傾けながら、その形、色、味、食感を楽しむことができるのだ。それこそが、平野さんの目指す交流型の農園の姿なのだろう。 体験学習農園「キウイフルーツカントリーJapan」 〒436-0012 静岡県掛川市上内田2040 ℡0537-22-6543 fax0537-22-7498 http://www.kiwicountry.jp/ E-mail: wbs02626@mail.wbs.ne.jp [取材レポート:河住] |
返信書き込みはありません。 |