まち本!の「掛川がんばる人の輪[小林琴司さん編]」
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掛川がんばる人の輪[小林琴司さん編]
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2010年02月01日 12:58
■[シリーズ]掛川がんばる人の輪

近所の遊休農地を畑に
小林琴司さん(上内田)

「がんばる人」が「がんばっていると思う人」を紹介し、その紹介された人が、さらに「がんばっていると思う人」を紹介し……、というように次々に掛川のがんばる人の輪をつなげていくシリーズ「掛川がんばる人の輪」。
原里が好きだとおっしゃったユンボ修理業の戸塚勝敏さんから紹介されたのは……。
大和田、原里と掛川市の北部が続いてきましたが、今回、だいぶ南に下りました~。
さて、今回ご紹介するのは上内田で鉄工場を営む小林琴司さんです!
どんなお話が聞けるのでしょう。


今日はよろしくお願いします。戸塚さんから「近所の遊休農地を畑に変える元気な方」と紹介されましたが(笑)、まずは小林さんのお仕事と、なぜ遊休農地を畑に変えることを始められたのか、そのきっかけがあればお聞かせ下さい。

仕事は「自動車の部品をつくる機械」の部品、を作っている会社だよ。こういう世の中になり、同じものを大量に作る時代ではなくなってきているから、多種多様の部品が必要だ。今は専用機よりコンピュータでNC加工して作ることが多いんだが、そのコンピュータに対応できる部品を作ることが多いかな。



畑仕事とぜんぜん違うお仕事ですね。

ほんとだね(笑)。
私は5月で71歳になるんだが、会社も今までみたいに自分が先頭になってやるのではなく「若い人に任せよう」と思っている。それでは何をやろうかと……。今の楽しみを見つけたいと思ったんだ。で、あるとき家のベランダから外を見ていたら、堤防沿いが草で生い茂っているのが見えたんだ。それで、「まずは健康のために草取りでもするか!」と思ってね。そうこうしているうちに、今度は荒れた畑が目に入った。時間もあることだし、畑でもやってみるかと(笑)。それで、使わなくなった近所の畑やハウスを借りて畑仕事をするようになったんだよ。それが10年くらい前かな。



どんなものを栽培されるんですか?

イチゴを500本くらい植えたのが最初だね。今はイチゴだけでなく、さといも、さつまいも、かぶ、ブロッコリー、青梗菜、小松菜、水菜、レタスなんかも作っている。水菜とレタスのサラダが好きでね、晩酌のつまみだね(笑)。前は釣りをよくしたんだが、釣ってきた魚がつまみだった。それが今は野菜になった(笑)。つまみのために働いているようなもんさ(笑)。



野菜だけでなく果物も作られるんですね。作り方は、どんなふうに習ったんですか?

毎朝、健康のために50分くらい散歩をするんだが、歩いていると、上手に野菜や果物を作っている畑に出会うんだ。そういう気になる畑があると、知らない人にでも「どうやっているんですか?」と聞くんだよ。みんな、気持ちよく教えてくれる。ありがたいね。

小林さんにとって果物、そして野菜づくりの楽しさは?

野菜は育っていくのを見るのが楽しいし、果物は花をつけ、実をつけるのが楽しい。
去年、茶畑だったところにはみかんの木を植えたんだ。今は堆肥づくりをしているところだよ。250本から300本くらいかな。もう実がなっているのもある。数年先には、1本のみかんの木に50個から100個くらいついてくれるんじゃないかな。杉谷の朝市や、道の駅なんかにも出してみたいなあ。それで喜んでもらえれば嬉しいしね。
周囲の人からは「おおごとになってきたねえ~」と言われるけれど、まあ褒められていると思ってやっているよ。物事は何でもいい方に取らないとね(笑)。



これだけの広さの畑ですから、毎日お忙しいでしょう。

どんどん忙しくなる(笑)。でも今は、農業が面白いんだ。それに畑仕事をするようになって健康にもなった。
以前は海釣りもしたけど、今は畑が忙しくてなかなか行けないなあ。そのほかにも、ギターやハーモニカ、絵もやっていた。身体が大丈夫なら、本当はスイミングにも行きたいくらいだよ(笑)。

やりたいことがどんどん増えて、困っちゃいますね(笑)。

ほんとだよ(笑)。絵も好きで描いていたんだけど、それも忙しくてできないなあ。若い頃、浜松で仕事をしていたんだけど、急に絵を見に行きたくなってね。そのときは、有休を取って東京の上野美術館まで鈍行で見に行ったんだ。
今は美術館に行く時間もないけれど、頭の片隅に「行きたい」という気持ちがあれば必ず行けるときがくる。だからいつも思うんだ。思い続ければいつか時期が来る。想いがなければ、その時期も見過ごしてしまうからね。

「思い続ければいつか時期が来る」、いい言葉ですね。

そうかい? うまくしゃべれないから、あんたがうまく書いてくれればいい。
私は「あれもやりたい」「これもやりたい」でなかなか一つに絞れないが、それでいいと思っている。一つに絞れば一つくらいマシなものになったかもしれないが、それよりやりたいと思ったいろいろなことに手を出したいんだ。たくさんやって粉砕しているけれど(笑)、私はそれでいいと思っている。この先も、こんな調子でずっと行くんだろうね……。


取材中、私がメモを取る様子を見て、小林さんは「速記を習ったらどうだね」とアドバイスまでしてくれた。昔、速記をやっていたことがあるのだそうだ。
年を取るごとに、どんどん忙しくなる。好奇心のままに。……それもまたいいな、そんなふうに思った取材だった。
お話を伺ったあと、実は工場の中も見せていただいた。仕事のことはほとんど語らなかった小林さんだったが、長年携わってきた仕事に対する誇りのようなものが、静かに伝わってきた。





小林さん、ありがとうございました。

さて、次のがんばる人は……。
「すごい人がいるよ~。ほら、そこの道を行くと……」
次回もどうぞお楽しみに!

[取材レポート:河住雅子]



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