高校将棋部顧問の先生に聞く![将棋王将戦レポート2]
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2010年02月09日 14:17
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将棋王将戦レポート1では、掛川で王将戦が実現することに至った経緯を「ゼロの会」の山本明さんに伺った。
では、掛川における将棋文化って、今どんな感じなんだろう……。 私が子どもの頃、まちなかの路地ではおじさんたちが長細い台に座り、将棋をさす風景が見られた。パチっと駒を打つ音と、そのときの静寂を今もよく覚えている。 『レジャー白書』(財団法人社会経済生産性本部)によれば、1年に1回以上将棋を指す15歳以上のいわゆる「将棋人口」は、1985年度の1680万人から、2005年度840万人、2006年度710万人と年を追うごとに減少しているという。 また、掛川には社団法人日本将棋連盟の支部はなく、近隣で島田市の「島田支部」、袋井市の「袋井森支部」があるだけだ。 そのような状況の中、今回の王将戦では、「大盤解説会」が大日本報徳社大講堂で行われると同時に、プロ棋士の指導による「特別指導大局会」がある。出場するのは地元の小中高生50人だ。 日本将棋連盟のホームページによれば、プロ棋士(深浦康市王位、佐藤和俊五段)による多面指し将棋盤20面を用意し、プロ棋士が10面ずつ指導将棋を行うという。 多面指し指導とは、講師が一度に複数の生徒を相手にハンディ(駒落ち)をつけて対局を行うものだそうだ(はじめて知った!)。 そんな将棋素人の私ではあるが、「まずは、地元の高校の将棋部に行って話を聞いてみよう!」と思い立ち、静岡県立掛川工業高校「囲碁将棋部」顧問の岡田正真先生にお話を伺った。 お忙しい時期に、お時間を作っていただきありがとうございます。 まずは、掛川市内の状況として、今、将棋部のある高校というのは何校くらいあるんですか? うち(掛川工業)と掛川西高、掛川東高の3校だね。横須賀高校に県の高校将棋3冠を達成した清水良之輔くんがいるが、横須賀高校に将棋部はないんだよ。 掛川で王将戦が開催されることに関して、生徒さんたちはどんな様子ですか? 表面上は特別盛り上がっている感じはないなあ。うちの将棋部は、現在10名が在籍しているけれど、そのうち9名が「特別指導大局会」に行く。掛工、西高、東高、横須賀高校あわせて20名前後が行く予定になっている。 掛川工業高校は、高文連将棋専門部主催の春の大会(西部大会)の会場になっているんだが、そのときには各校から200名ほど集まるよ。勝ち抜けば、県大会、全国大会と進む。「将棋版、春の甲子園」といった大会だね。 先生は将棋をされるんですよね(笑)。 ああ、弱いけどね(笑)。教えていると感じることだけど、若い子は強くなるスピードが早いね。すぐに先を読んでさすようになる。 王将戦が掛川で開催されることについて、先生はどんなふうに感じていらっしゃいますか? 羽生さんが来るなんて、すごいことだからね。 プロの人はハンパじゃないよ。羽生は読みきっている。将棋のカンが秀でているんだろうね。 現在の子どもたちを取り巻く環境の中で、たくさんの遊びがありますよね。その中で、将棋に関わるようになるというのは、どういうことなんでしょうね。 やはり、小さいときの取っ掛かりだろうな。きっかけがあって、まわりの環境と本人の意思。羽生さんだって、そうしたきっかけがなかったら、他の道を進んでいたかもしれない。 そう思うと、いろいろな環境が揃っているまちがいいね。幅広いきっかけのあるまち。文化的なこともスポーツ的なことも遊びも。いろいろあって、面白いまち。 必要であれば行政が後押ししてくれたり、一緒になってやれる、そんなまちがいいね。 今回の王将戦は、そのきっかけになると私は思うよ。 [おまけ] 今回の取材をきっかけに知ったエピソードを紹介します。 (もしかしたら、世間一般では有名な話なのかもしれませんが……) フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より 羽生善治 子供の頃から将棋が家族内であまりにも強すぎたために、家族が不利な展開になったときは将棋盤を180度回転して、それまで家族が指していた劣勢な側を善治が、それまで善治が指していた優勢な側を家族が指し継ぐという家族内ルールが存在した。 5年生の頃から、関東各地の子供将棋大会を総なめにする。母親が我が子を見つけ易くするため、いつも広島東洋カープの赤い野球帽を被らせていて、周囲からは「恐怖の赤ヘル」と恐れられていた(羽生自身は読売ジャイアンツファンであった)。 (「プロデビューまでの来歴」より) 静岡県立掛川工業高校(文化部の紹介) http://www.shizuoka-c.ed.jp/kakegawa-th/bukatu/shou…i-b.htm#09 中日新聞「県の高校将棋3冠 横須賀高・清水君 28、29日に山口で全国大会」 http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20100113…00185.html 社団法人日本将棋連盟 http://www.shogi.or.jp/ [取材レポート:河住雅子] |
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