■[シリーズ]掛川がんばる人の輪鯉釣り、凧、自転車、貝……、好きなことを好きなだけ!大瀧進さん(上内田)「がんばる人」が「がんばっていると思う人」を紹介し、その紹介された人が、さらに「がんばっていると思う人」を紹介し……、というように次々に掛川のがんばる人の輪をつなげていくシリーズ「掛川がんばる人の輪」。
近所の遊休農地を畑に変える上内田の小林さんが紹介してくれたのは……。
「ほら、あそこに見える、あの家だよ」
大きな野鯉を釣って自宅のいけすで飼っているという……、上内田の大瀧進さんです!
大きな鯉ですね~!どのくらいのサイズがあるんですか?86センチから87センチ、まだ小さい方だよ。1メートル33.3センチの野鯉を釣ったこともある。
大きいですね~!どうして大きな野鯉を釣って飼うことを始められたんですか?小さい頃から釣りは好きでね。もう50年くらいかな。やっぱり大きな鯉を釣りたいし、釣ったら飼いたいと思うんだ。
野鯉は魚の姿の美しさがある。なんともいえない。
尾っぽが大きく口がとんがっているのが特徴で、頭を振って尾っぽをぐっとまわすと渦をまくんだ。ダイナミックだよ。……口で言ってもわからんだろうなあ(笑)
いけすには赤ちゃんの鯉もたくさんいますね。去年の7月19日にふ化した。
どうして誕生日まで知っているんですか!?そりゃあ、毎日観察しているからさ(笑)。200匹くらい生まれたよ。いけすで生まれるのは珍しいんだ。

作業場にも来てごらん。いろいろある。
うわ~! 凧も作っているんですか!?凧歴も50年だ。これは、自衛隊の航空カレンダーを見ながら真似して作っている。300メートルくらい上空まで上がるよ。斜めではなく真っ直ぐに。

これは松明なんかに使う松の根っこ。「とぼれ」と言っている。先の細いやすりで磨く。やすりも作るんだ。こういうことが好きだからね。
お仕事は大工さんなんですよね!ああ。そっちの木は仕事用。お不動さんの屋根の木だよ。
それにしても、車の中は釣りの道具でいっぱいですね(笑)。ああ、いろいろあるよ。大きいのを釣りには、竿もリールもタモも大きくなくっちゃ。
網と竿受けは自分で作る。これ以上細いと、鯉に「くの字」に曲げられる。それくらい、力が強いんだ。

タモは2尺3寸。70センチくらいのがある。大きいのだと3尺あるよ。これも自分で作ったんだ。

鯉釣りは簡単だと思っているかもしれないが、実は奥が深くてね。
釣り場で見ていると、餌は「さつまいも」や「じゃがいも」、「練り餌プラスとうもろこし」の人が多いけれど、私はそうじゃない。大きな鯉を釣るには餌と仕掛けが特別なんだ。詳しくは教えられないけどね(笑)。

固さも大事。固すぎては鯉が吸い込まないし、柔らかいと水中でバラけてしまう。35メートル先に餌を落とさずに投げるのも技術が必要。
いろいろ難しいんですね、……と言いながら、釣りをしない私にはそのすごさがいまいちわかりませんが(笑)。掛かったときは一気にグッと引くよ。食い込みがいいんだ。
海に近い方が大きいのがいる。護岸工事がしてあると、隠れる場所がなくて住めないからね。
鯉を観察するのは楽しいよ。成長していくからね。頭の形や尻尾の形が変わっていく。
昔は飼ってる鯉に名前をつけたこともあるんだ。仲間から言われたことがある。「名前を呼んで、寄ってきたらすごいな」って(笑)。
釣りに凧に根っこに、お忙しいですね(笑)。実はまだある。自転車も乗るんだ。
自転車!?ああ。毎日50キロから60キロ走る。鈴鹿サーキットのレースにも出るんだ。
それから……。
まだあるんですか!?貝を集めてる。これも50年だ。8,000種類くらいあるかな。
昭和41年頃だったかな、まちなかに岡田本屋という書店があってね、注文して貝の本を取り寄せてもらったんだ。それで名前を調べるんだ。ほら、これは「月見貝」といって日本で最初に名前が付けられた貝だよ。……そうと知ってから、大事にするようになったね(笑)。
すごいですね~。他の方に見せたりしないんですか?周りからもそう言われてね、今年の上内田生涯学習センターの文化祭には出そうかと思っている。
素晴らしいじゃないですか!楽しみですね~。ああ。あとは貝を入れる箱だけど、これはお手のものだ。
さすが、大工さん!ああ、木の箱を作ってガラスをつければいい。
家の中に竹竿があるけど見るかい?
はい!わあ~、工芸品みたいですね!ああ。岐阜の職人さんに、船を作ってあげたかわりに作ってもらったんだ。鮎の友釣り用の竿だよ。
この竿で20本釣ったかどうかだね。
ほら、もう30年も前に作ってもらったものだけど、少しも狂っていない。星のマークを合わせればピタリと合わさる。

ほんとに釣りは奥が深いよ。まったく忙しい(笑)。

大瀧さんは昭和15年生まれの70歳。とても70歳には見えない。「お若く見えますね」のレベルを超え、本当に、全く70歳には見えないのだ。その秘訣は、たぶん、好きなことを、夢中になって、好きなだけやっているから。
好きなことを好きなだけでするのは、実はとても難しいことだ。でもそれを実践している。好きなことを好きなだけしようとする「気持ち」と「覚悟」を持っている。その二つがあれば、きっと人は「好きなこと」ができるのだ。
「好きなことができていいですね」なんて言っている場合ではない。
大瀧さんを見ていると、そんなふうに思うのだ。
大瀧さんの嬉しそうな、キラキラした笑顔を見ていると、こっちまで嬉しくなった。
掛川には面白い人がいっぱいいる。酔狂な人は魅力的だ。この「掛川がんばる人の輪」を始めて、心から思うこと。
さて、大瀧さんはどんな方を紹介して下さるのでしょう。次回もお楽しみに!
[取材レポート:河住雅子]