まち本!の「掛川がんばる人の輪[加藤彩子さん編]」
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掛川がんばる人の輪[加藤彩子さん編]
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2010年04月18日 14:12
カウンターにいるのが好きで、こういう店を作った。
加藤彩子(かとう さえこ)さん (中町・酒菜DINING「ひいらぎや」)

「がんばる人」が「がんばっていると思う人」を紹介し、その紹介された人がさらに「がんばっていると思う人」を紹介し……、というように次々に掛川のがんばる人の輪をつなげていくシリーズ「掛川がんばる人の輪」。
「バイクは体感するもの、言葉じゃない」と言ったバイク乗り、大瀧啓真さんから紹介されたのは……。
まちなかで酒菜DINING「ひいらぎや」を営む加藤彩子さん、「掛川がんばる人の輪」初の女性です!

この「ひいらぎや」は、加藤さんがいくつのときから始められたお店なんですか?

27歳のときに開店しました。もう丸6年ですね、7年目に入りました。

27歳で起業ですね。お店を持ちたいというのは、ずっと心の中に持ち続けていたんですか?

最初はトラックの運転手になりたくて、高校を卒業してすぐ地元の運送会社に就職したんです。20歳のとき、思い立って大阪に料理の勉強に行きました。高校生の頃、和菓子屋さんでアルバイトをしていたことがあったのですが、そのとき「飲み屋さんをやりたい」と言っていたらしいんです。自分ではまったく覚えていないんですけどね(笑)。



どうして大阪?

社員旅行で大阪に行ったんです。そのとき、掛川と違う町並みにびっくりした。「食の街」というイメージでした。それで、本格的に料理の勉強をしようと思ったとき、東京ではなく大阪を選びました。考えた末の決断でしたが、行動は早かったですね(笑)。それから4年間大阪で仕事をして、その後、掛川の飲食店で働きながら、物件探しも含めての開店準備をしていました。

それで、この「ひいらぎや」の場所と出会ったんですね。

はい。

27歳、思い切った決断でしたね。でも私たちは、その決断がなければ「ひいらぎや」という店と出会うことはなかったんですもんね。

ええ、そうですね(笑)。
でも……、開店資金はすべて借り入れでした。もし1年やって、やっていけそうもないと思ったらやめようと考えていました。借金は長距離トラックの運転手になって返そうと(笑)。

店の設計は、設計士さんなんですよね。とてもこだわりを感じますが……。

とことん、自分の思い描くような店にしたかったので、タウンページを見て、地元の工務店や建設会社に片っ端から電話をしたんです(笑)。「お店を始めるんですが、内装の相談に乗ってくれますか?」と。そこで施工を担当してくれた尾崎工務店さんと出会いました。

どうして設計士さんが入ることになったんですか?

どんなお店にしたいのかと聞かれたとき、「せまい入り口」「低い天井」「茶室みたいな雰囲気」「木を使っていて、あたたかみのある雰囲気」と話をしたら、「それなら設計士の小澤さんを紹介するよ」と言われたんです。



小澤建築設計事務所の小澤義一さんとの出会いですね。

はい。話をしていて、こんな店にしたいという私の想いを「わかってくれる」という感じがありました。難しい言葉もたくさん出てきて、何を言っているのかわからないこともたくさんありましたが(笑)。小澤さんと尾崎工務店の担当者と一緒に、浜松のお店を何軒か見に行ったこともあります。「この中で、あなたはどの店の雰囲気が好き?」と聞かれました。

イメージ通りに仕上がりました?

はい、とても気に入っています(笑)。

今、お店の外観や内装といったつくりのお話を伺いましたが、加藤さん自身、どんな雰囲気のお店にしたかったですか?

温かみがあって、落ち着ける店かな。一人でも来られるような。



お料理は、どんなお料理?

和食をベースにした創作料理です。定番メニューと、その日その日のおすすめメニューがあります。

料理はずっと好きだったんですか?

はい。トラックの運転も好きだけど(笑)、料理も好きでしたね。料理は「一番がない」ところがいい。有名なシェフであろうと「誰が一番か?」なんて決められない。自分ががんばっていけばいいところがいいですね。目の前のお客さんの反応でわかりますから。

料理については、普段から新しいメニューのことは考えていて、試作をしたら、自分だけでなくアルバイトの子たちの感想を聞いたりしています。「いけるかな」と思えば、お通しで出したり。「これ、美味しいね」と言われると、「やったっー!」と思います(笑)

得意料理は?

う~ん、得意というより、好きな作業は地味な作業かな。大根のかつらむきとか。黙々と刺身のつまを作るのが好きなんです。
お米のシュウマイとかコロッケは人気があって、得意料理といえば得意料理かな(笑)。



開店して7年目に入られたわけですよね。これからの抱負は?

開店資金の返済を無事終えたなあと思っていたら、冷蔵庫やオーブンといった大きな設備機器が順番に壊れてしまって……(笑)、また借り入れです(笑)。まあ、今のペースでぼちぼちとやっていくんでしょうね。店を大きくしたり、何軒も店を持ちたいとか、手広くやりたいとか、経営者になりたいわけじゃないですから。私は自分がカウンターにいるのが好きで、こういう店を作ったんですから。

「自分がカウンターにいるのが好きでこういう店を作った」、素敵な言葉ですね。今日は本当にありがとうございました。

撮影は恥ずかしい、とおっしゃっていた加藤さんですが、作業している姿と横顔は許可を得て撮らせていただきました。まっすぐ見つめる視線と、柔らかな受け答え、気持ちのよい立ち居振る舞いが印象的でした。
仕込みを終え、開店までの時間の中で取材をさせていただきました。加藤さん、本当にありがとうございました。これからも美味しい料理と居心地のいい時間と空間、楽しませていただきます!

さて、おまけの情報です。
「ひいらぎや」には、5人のアルバイトの子がいるそうですが、その中の4人までは女性。唯一の男の子(といっても30歳くらい)は、お笑い芸人を目指し、月に一度、浜松のライブハウス「窓枠」に出演しているそうです。いろいろな方面で、がんばっている子がたくさんいるんだなあと実感しました。

さあ、「掛川がんばる人の輪」。次はどなたのところに行くのでしょう~。
次回もお楽しみに!

[取材レポート:いいじゃん掛川編集局/河住雅子]

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