掛川がんばる人の輪[石川哲浩さん編]
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2010年05月17日 10:47
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ヨットは、風をイメージして走る
石川哲浩(いしかわ てつひろ)さん (初馬) 「がんばる人」が「がんばっていると思う人」を紹介し、その紹介された人がさらに「がんばっていると思う人」を紹介し……、というように次々に掛川のがんばる人の輪をつなげていくシリーズ「掛川がんばる人の輪」。 酒菜DINING「ひいらぎや」を営む加藤彩子さんに紹介されたのは……。 「沖縄‐東海ヨットレース 2010」出場間際のヨットマン石川哲浩さんです! ※4月22日に取材させていただきました。 「沖縄‐東海ヨットレース 2010」に出場されると伺いましたが、これはどんなレースなんですか? 沖縄県宜野湾市から愛知県蒲郡市まで約720マイル(約1333km)を走るレースで、平成22年4月29日正午にスタートします。昨年の秋、所属しているチームで「出場しよう」という声が上がり、こうしたレースに行ける機会はめったにないので、やってみようと思いました。このレースには12艇が出場します。 1300㎞というと……、ゴールまで何日くらいかかるものなんですか? 風まかせなので、どのくらいかかるか正直わからないんです(笑)。まあ、1日200㎞~300㎞として4日半くらいですかね。ひたすら風を待つだけです(笑)。 25日から沖縄入りしますが、ゴールデンウイーク中は5日まで休みを取っています。もし、その日までに帰って来られなければ……、会社に電話をしなきゃいけませんね(笑)。 石川さんがヨットを始められたきっかけは? 大学時代、バイト先でヨットに乗っている人と知り合いになり、乗せてもらったのがきっかけです。今は大学時代の友人と21フィートの船を節約しながら維持しています(笑)。船の名前は「リトルウィンディ」。天気のいい日は乗りたいなと思うのですが、まあ乗れても月に2回くらいですかね。 はじめてヨットに乗ったとき、どんな感じだったんですか? 船に乗るなんて、それこそ弁天の潮干狩りのときくらいでしたから(笑)、本当に気持ちがよくて。 モーターで動く船と違って、ゆっくりとした感じなんです。広いところに出て、周りに対象物がなくなると、距離感や時間の感覚が全くなくなります。岸が見えれば、時間の経過で岸の位置が変わるから、わかるんですがね。 たぶん今回のレースでは、2日間は周りに対象物がない状況になるだろうと思っています。とはいえ、8名で乗り組むので孤独感はありません。でも……、「3K(キツイ・キタナイ・キケン) 」ですよ(笑)。1日目が荒れると、2日目は行き倒れるような感じですから(笑)。 レース中は、外部との連絡はできるんですか? 基本的に、陸の人と連絡を取り合ってはいけないことになっています。ヨットは自分たちの知識や技量を発揮するスポーツですから。とはいえ、自動発信装置がありますから、外部から位置は確認できるようになっています。公式ホームページを見れば、航跡が15分感覚で自動更新されています。 昔は太陽の位置で自分の現在地を確認していたというから、昔の人の知識というのはほんとにすごいなあと思います。今、六分儀(天体の高度測定、自身の位置の割り出しなどに利用される道具)を持っている船は見たことはありますが、実際、使っている人を見たことはありません。 今回のレースに対する意気込みをお聞かせください。 できればいい成績を。一応レースなので(笑)。 でも、ゴールしたときのやり遂げた気持ちは嬉しいですね。それと、チームで動く楽しさもあります。 さらに日焼けしちゃいますね(笑)。 これでも今年はゆるい方です(笑)。 あらためて、ヨットの魅力を言葉にすると? う~ん、聞かれると思って考えてきたんですがね(笑)。言葉にするのは難しいですね。 自然と溶け込んだ感じになるのがいいかな……。風がなければないなりに、風があったらあったなりに、自然に翻弄される。身を任せるしかないというか……。 風や波のうねりを感じます。あと、流れも。 流れ? この時期、沖縄から太平洋を走るのは、黒潮に乗ってくるようなものです。普通、海は緑っぽい色をしているんですが、黒潮は青いんです。青々している。そして、黒潮に乗ると色の境が見えます。そこに入った瞬間、しぶきを浴びる。そのしぶきが暖かいんです。 あと、ヨットは知識も大事だけれど、イメージが大事だということ。ヨットは風をセールに受けて走りますが、風は見えないですよね。だから、「今、風をこういうふうに受けているな」とイメージとしてどれだけ捉えられるかによって、船の動きが全然違うんです。舵を持っている人が「風の動き」や「船の傾き」をイメージできないと、船は進みません。うまく乗れればぐっと進む。 風をイメージする……。風を受けて帆を張るヨットが目に浮かぶようですね。 天気図を見れば、どこからどう風が吹いてくるかだいたいのところはわかります。基本的には、風に向かって45度方向にジグザグに走ります。風下に向かうときは、真後ろに風を受けると船が不安定になりますから、少しズラして走ります。話していたら、早くヨットに乗りたくなってきました(笑)。 気をつけて行ってきてくださいね。 お土産話を楽しみにしています! [取材を終えて] ヨットのことも、六分儀のことも、黒潮のことも全然知らなかった私ですが、大海原を風を受けて走るヨットの姿が目に浮かぶようでした。石川さんが「3K」とおっしゃっていたように、大変なことも山ほどあるだろうけれど、そのカケラも見せず、ヨットマンらしく爽やかにお話して下さいました。 石川さん、本当にありがとうございました! ちなみに、取材のあと「黒潮」について調べてみたら、いろいろなことがわかりました! 黒潮は、赤道付近を起源に持つから暖かいんですね。そして、プランクトンの生息数が少なくて透明度が高いから、海色は青黒色となり「黒潮」と呼ばれているんだと。 「日本近海を流れる代表的な暖流」なんて、ホント、小学生以来、久しぶりに聞きました! 私が普段使わない言葉でも、当たり前に使っていている人たちがたくさんいて、そうした知らない世界が本当にたくさんあるんだなあと、しみじみ実感しました。 取材を通じて世界の広さを、そして人間が興味を持つ分野の広さを、いつも感じます。 さあ、そんな石川さんが紹介してくれたのは……。 次回の「掛川がんばる人の輪」もお楽しみに! ※ヨットの画像は、石川さんからお借りしたものです。 [後日譚] 石川さんの乗った「朝鳥」は、5月5日4時54分56秒、無事にフィニッシュ。第2位の成績をおさめました。 石川さん、おめでとうございます。心から、お疲れさまでした! 「沖縄‐東海ヨットレース 2010」公式ホームページ http://okinawa.toscrace.jp/ [取材レポート:いいじゃん掛川編集局/河住雅子] |
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