まち本!の「農と食の縁をむすぶ ~とうもんの里「らっきょう漬け講習会」に参加して~」
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農と食の縁をむすぶ ~とうもんの里「らっきょう漬け講習会」に参加して~
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2010年05月27日 16:32
平成22年5月22日(土)、掛川市山崎にある「とうもんの里」にてらっきょう漬けの講習会が行われた。
参加者は男性1名を含む12名。年代は20代から70代まで様々だ。



講師は、雑誌「現代農業」に加工品について執筆するなどしている金原ようこ先生(大渕在住)。
「らっきょうは空気に触れると痛みやすいので、ときどき揺すってあげてください。昔の人は『一斗樽をけっからかいて(「蹴飛ばして」の意)』ました(笑)」
「目の届くところに置いて、手をかけ、目をかけてあげてください」
「酢や砂糖はなるべく自然のものを。自然のままの味が出ますからね」
金原先生の言葉の端々には、「食」「家族」「地域」に対する温かなまなざしが感じられる。



講習時間は約2時間。
参加者は、
①らっきょうの皮をむき、
②きれいに洗い、
③塩につける、
という作業を行う。
酢に漬け込むのは、自宅に帰ってからだ。
「一番たいへんな皮むき作業を、みんなでおしゃべりしながら楽しんでできました(笑)」と参加者の皆さん。



とうもんの会では、「とうもんの里総合案内所」を拠点に田植えや稲刈りなどの農業体験、地域の食材を使った料理教室や食品加工、自然観察、歴史探訪などの事業を行っている。代表の名倉光子さんは、講習会の開催について次のように語る。
「このあたりは砂地で、昔かららっきょうの栽培が盛んでした。田植えやお茶で忙しい時期とらっきょうの収穫が重なりますが、らっきょう漬けがずっと伝わっているのは『常備食で必要』というだけでなく、『季節のものを身体が欲しがっている』ということもあると思います。でも今、らっきょう漬けや梅干しなど昔から家に当たり前にあったものが、作り手の高齢化や核家族化で、ふと気づいたら家にない。では買いに行こうと思ってスーパーに行けば国産のものがない。保存料などいろいろなものが入っている。食べてみれば、自分の慣れ親しんだ味ではない。そんな理由から、自分で作ってみようと思う人が増えているのだと思います」



地域で当たり前に作っていたものが講習会を開かないと作れなくなっているのは悲しい現実でもある、と名倉さんは話す。
「でも、とうもんの里で開催する季節ごとの講習会に毎回参加してくれる人もいます。経済優先の社会に中で、食の問題、健康の問題が取りざたされ、こうした講習会をきっかけに『手間ひまかける喜び』『手づくりの美味しさ』『何から出来ているかわかる安心さ』『家族に喜んでもらえる喜び』『自分の作ったものが家に増えていく楽しさ』など、生活の根本を大切にしようと思う人が増えてきているのだと思います」
この時期に採れる梅としそを組み合わせて梅干しを作り、梅酢とらっきょうを組み合わせてらっきょう漬けを作る。「旬のものと旬のものを組合わせ保存食や美味しいものを作るという昔の人の智恵を、伝えなければいけないとも思いました」



現在、とうもんの里では「食文化冊子発行に関わる調査・取材」事業を行っている。
「この地域には素晴らしい食べ物と食文化があることを、地域の人に、そして多くの人に伝えたいと思いました。自然や風土や文化を背景に、行事食が生まれました。今、それらのうち、どんなものがどのくらい残っているのか知ることで、私たちが何をしなければならないかがわかります。クリスマスケーキは食べるのに、日本の文化やその土地の風土から生まれた行事食を食べないという現実。商業ベースに乗らないものはどんどんなくなっていくことを、見過ごしてはいけないと思いました」

11月20日のおいべすこう(恵比寿講)のとき、葉つき大根を店頭に出しても売れないという。「行事食が食卓から消えることで、葉つき大根の意味合いもわからなくなっているのだと思います」
だからこそ、とうもんの里の役割があるのだと名倉さん。
とうもんの里では、年間を通じて様々な講習会を開催する。講習会に通じるのは、「地域に当たり前にあったもの」というキーワードだ。
「普段の生活の中に当たり前にあったものが、当たり前に作られなければ、地域の農産物は生きていけません。明日になると芽が出てしまうらっきょうは、やっぱり地域で消費されるべきです。でも、らっきょう漬けをする人がいなくなれば、地域のらっきょうは消費されません。地域で採れる季節ごとの農産物。食するための技術や智恵を伝えることは、文化をつなげるだけでなく、地域の農業が生きていくための道でもあるのです。地域で採れたものを地域で消費する道筋をつけること、それもとうもんの里の役割だと思っています」
私たちの仕事は「農と食の縁を結んでいくこと」と、名倉さんは笑顔で言い切った。



【「らっきょう漬け講習会」参加者の声より】

・ずっと自己流だったので、教えてもらいたかった。
・他の人はどんなやり方なのか、知りたいと思った。
・インターネットで調べればレシピは手に入るけど、実際に自分でやってみたかった。
・買えば簡単だけど、作ってみたいと思った。
・買ったものより美味しいから。
・自分で作れば、何が入っているかわかって安心だから。
・今まで作ってくれていたおばあちゃんが亡くなって、らっきょうが食べられなくなった。自分で作ってみようと思った。おばあちゃんが生きているとき、聞いておけばよかった。
・お嫁さんが来て、らっきょうくらい漬けられないと恥ずかしいと思った(笑)。教えてあげたいと思った。
・覚え、伝えていきたいと思った。そういう年になったのかも(笑)。
・子どもの手が離れて、時間ができた。
・日々の生活を大事にしたいと思った。



とうもんの里
http://www.toumon-s.jp/what-tohmon.html

「e-じゃん掛川」内コミュニティ
http://e-jan.kakegawa-net.jp/c.phtml?g=131031&u…sult.phtml

金原ようこ先生が執筆している記事
別冊『現代農業』2010年1月号
「農家が教える わが家の農産加工」
http://www.ruralnet.or.jp/gn-tokubetsu/betsu/201001.html

[取材レポート:いいじゃん掛川編集局/河住]


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