まち本!の「建設業から農業へ参入して5年、佐野舎の取り組み ~松下廣子さん(上内田・株式会社松下組)~」
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建設業から農業へ参入して5年、佐野舎の取り組み ~松下廣子さん(上内田・株式会社松下組)~
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2010年11月19日 17:14
大企業や異業種からの農業参入が相次ぐ中、5年前に農業生産法人を設立した会社が掛川市にある。昭和4年創業、公共工事(主に一般土木)を中心に事業展開する株式会社松下組だ。
公共工事の減少など建設業界を取り巻く環境が厳しくなる中、「何か新しい取り組みを」と社員一丸で模索してきた。農業生産法人「有限会社佐野舎」設立から12月で丸5年。松下組の常務取締役で佐野舎の総務課長でもある松下廣子さんに、設立の経緯、農業への想いなどを伺った。

農業参入へのいきさつをお聞かせ下さい。

十年ほど前から、公共工事の減少による現状打開は社員とともに立ち向かう意識が必要と感じていました。ですから、「何か新しい取り組みを」の模索も社員全員で考え、アンケートなども実施した結果、農業への参入を決めました。
ちょうど近隣でも休耕地が目立ってきた頃です。後継者がいなくて荒れていく土地、食の安全や自給率の問題、そうした様々な問題を考えていく中で、「土」に関わる仕事をしてきた私たちだからこそできることがあるのではと考えたのです。田畑の基盤づくりには建設機械がそのまま使えますし、公共事業が集中する時期と農繁期が重ならない「互換関係」にあることも背中を押してくれました。もともと、農家の方が農閑期に作業員として働いてくれることはよくありましたから、農業と建設業は全く関係のない業種ではなかったんです。

ただ、農業生産法人になるには様々な条件があり、土地の問題、構成員の問題など、なかなか苦労しました。松下組の二代目で前の代表取締役、夫ですけどね……(笑)、が佐野舎の構成員になろうとしても、その資格要件をクリアするのに3年もかかったんです。ようやく昨年12月に取締役になりました。
今日も一生懸命、畑で精を出していると思いますよ(笑)。



農業をすることについて、ご主人はどのようにお考えだったのでしょうか?

農業への想いはあったようですね。自分の食べるものを作ってみたいという。
会社の方も「ぼつぼつ世代交代を」という気持ちだったようです。農繁期には、勇退した人たちが手伝いに来てくれて、今は畑三昧の日々ですね。
食欲も抜群だし、お酒も美味しいと(笑)。昔に比べて10キロも痩せたんですよ。

面白いのは……、もともとはドップリの建設マンでしょう。図面を元にきっちり四角四面の仕事をしてきた人ですから、種をまくにも10センチなら10センチと、きちんと測ってやるんです。ピシッときれいな畑ですよ(笑)。
私の方はいい加減で、幅が広かったり狭かったり、曲がったり(笑)。近在の農家さんが立ち寄っては、「まあ、風通しが良くていいら~」などと声をかけてくれたり、教えてくれるのが嬉しいですね。

今の主要品目は?

地域の農作物との競合を避け、山の芋、自然薯、水ナス、食用のホオズキなどを作っています。



食用のホオズキですか?

どうせ作るなら変わったものを作りたくて、私が挑戦しました(笑)。
驚きの味ですよ~。香りがいいんです。甘くて酸っぱくてフルーティで……。その他、柑橘系も始めました。
私たちが作るものだから、柑橘類でも脇役の「すっぱ系」です(笑)。



特に自然薯の栽培や収穫には、建設会社の力が発揮されているようですね。

ええ。荒れた耕作放棄地を畑にするのには建設機械が役立ちます。自然薯の収穫には、深く掘ることのできる掘削機の出番です。掘削機で自然薯の側面を1メートルほど掘り、あとは手作業で丁寧に掘り出していきます。栽培用のパイプが必要なく、直植え(じかうえ)できるので、より自然な形、味、香りになります。

山の芋や自然薯は連作ができません。土壌改良して連作するところもありますが、佐野舎ではなるべく自然の形で栽培したいと考えているので、連作はしないで土地を2~3年休ませます。遊休地の活用だからできることですね。「うちの土地も使ってほしい」と言って下さる方が多く、菊川の土地からスタートしたのが、今では掛川6、菊川4くらいの割合になっています。



佐野舎の生産物はどこに行けば買えるのでしょう。

掛川市内で開催される「けっトラ市」や「商工まつり」に出展しています。5年目を迎えて、ようやく少しずつ量産体制に入ってきたなという感じです。松下組の事務所前でも販売していますので、事務所の女性たちはお客様がみえると店員さんに早変わりです(笑)。
「うちの山芋は本当に美味しいんですよ」と宣伝してくれる社員もいれば、佐野舎のロゴやチラシのデザインを担当してくれる社員もいて、みんなで作り上げている感じですね。
事務所で水ナスのことを「なっちゃん」と呼んでいるんですが、「今からなっちゃんを採りに行ってくるね~」という会話が仕事中にされています(笑)。「なっちゃん」のキャラクターデザインをしてくれたのも、女性の社員です。



お話を聞いていると、皆さん、農業の面白さを感じられているようですね。

お客様から「美味しい」と言ってもらえるのが何より嬉しいですね。
先日の商工まつりでは、若い夫婦が試食用の芋汁を「美味しいから作ってみたい」と言ってくれたんです。「あたり鉢」も知らないと言っていたけれど(笑)、作り方を教えてあげました。子どもたちも大好きだし、芋汁は掛川の文化だなあと思いますね。
小笠山の麓で育った主人は「週3回芋汁でもOK!」という人ですから(笑)、昔は秋にひと冬分を買って立春まで持たせて食べていました。

農業については、手間ひまかけて、目をかければ、「草を取ってくれてありがとう」「水をかけてくれてありがとう」「虫を取ってくれてありがとう」と、農作物がちゃんと応えてくれるのが嬉しいですね。主人など、間引きした野菜まで「もったいないから」と持ってきます。自分の作った野菜がかわいいんでしょうね(笑)。採算を度外視すれば、こんな楽しいことはありません。

とはいえ、農業を始めて最初に感じたのは、市場では自分たちが思う価格の半分でしか取引されていないという現実です。生産者のそうした苦労の上に、私たちは野菜を口にすることができるのだと知りました。ありがたいと思いました。

私たちは、何も知らなかったから、怖いもの知らずだったから、参入できたのかもしれません。でも、農業に希望を持った人が農業にチャレンジできる仕組み、そして「農業をやっています」と胸を張れるような、そんな社会構造になるといいなと心から思います。土に触れること、自然に触れることはとても素晴らしいことですから。
畑仕事をしていると、葉ものの栽培がいかに難しいか、虫との戦いなのだ、と実感します。そうすると、虫が食った、穴のあいたところは野菜の「天使の窓」だと思えるんですね。安全な証拠ですもの。

佐野舎のこれからをお聞かせ下さい。

今後は、建設業で発生する土を受け入れて、耕作放棄地や作業しにくい急斜面の畑を使いやすい「農地」として提供するようなこともしていきたいと考えています。日照を良く、排水もいい条件に整える、まさに建設業と協同でできる、お互いの特性を活かした仕事です。美しい里山の風景を守るお手伝いができるのも嬉しいですからね。

佐野舎の生産体制については、ぼちぼち、やっていくことですね(笑)。大規模にしすぎると手がまわらず、「作り手の私たちが食べたいものづくり」という理念に反することになってしまいますからね。
本来の味に限りなく近い自然なもの、畑から「もいで」そのまま食べられるような安心安全なもの、人から人へ「美味しい」と伝えられるもの、それこそ、私たちが農業に参入したはじめの気持ちなのですから。



取材レポート:いいじゃん掛川編集局/河住雅子

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Re: 建設業から農業へ参入して5年、佐野舎の取り組み ~松下廣子さん(上内田・株式会社松下組)~
【返信元】 建設業から農業へ参入して5年、佐野舎の取り組み ~松下廣子さん(上内田・株式会社松下組)~
2010年11月19日 18:48
当日、同行させていただきありがとうございました。
土木業の業務と佐野舎の業務が交わり、会社のコンセプトとなっていることや、生産物の将来目的がはっきりと伝わり、大変参考になりました。
第6次産業を自社で完結できる良いモデルケースであり、お手本になる会社です。
是非、皆さんも知って、見て、食べてください。
明日のけっトラ市も覗いてみようと思います。
なお、けっトラ市当日、私はサンサンファームのけっトラで、奥州リンゴの販売を手伝いながら、27日(土)開催の「だいとう軽便ロマンウォーク」の参加者募集をしています。(N)
Re: 建設業から農業へ参入して5年、佐野舎の取り組み ~松下廣子さん(上内田・株式会社松下組)~
【返信元】 建設業から農業へ参入して5年、佐野舎の取り組み ~松下廣子さん(上内田・株式会社松下組)~
2010年11月19日 17:17
明日11/20(土)9時~12時に掛川駅通りで開催される「けっトラ市」では、自然薯、柑橘系の販売が予定されているということです。

いいじゃん掛川編集局/河住雅子