12月5日(日)、全市一斉の地域防災訓練を実施するにあたり、掛川市地域SNS「e-じゃん掛川」上でも防災訓練を実施した。
「e-じゃん掛川」には、災害時に画面が災害時モードに切り替わる機能があり、昨年8月の駿河湾の地震では「給水所にはタンクなど容器を持参した方がいい」など13件の情報が寄せられた。
災害時の情報は、市から同報無線や市のホームページ等から発信されるが、市民が「今、目の前で起きていること」を携帯などからいち早く発信できるのが「e-じゃん掛川」の強みだ。使い方次第では、きめ細かな市民目線の情報を積み重ねることが可能だともいえる。

地域SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)は、インタネットを利用して、誰もが、いつでも情報発信したり情報交流できる「場」であり、市が運営するSNSなので信頼性や安全性も高い。平成22年11月20日付けの静岡新聞「風紋」には、「市民活動に多彩な用途」として「うまく使えば松井市政が掲げる『市民活動日本一』への具体的な取り組みになるポテンシャルの高さを実感」との見方も示された。
昨年9月からスタートした官民協働の「地域SNS『e-じゃん掛川』を活用した地域活性化事業」。今、事業期間の折り返し地点を迎える中で、掛川市役所市民安全課災害対策係の大井敏行さん、IT政策課情報化推進係の戸塚芳之さんとともに「災害時の情報発信と地域SNSの活用」という切り口で、今後の「e-じゃん掛川」について話し合った。
「地域SNS『e-じゃん掛川』はどう活用できるのか」いいじゃん対談1 災害時の情報発信について掛川市市民安全課 & 掛川市IT政策課 & いいじゃん掛川編集局 (聞き手)昨年8月の駿河湾地震における情報発信について河住12月5日の防災訓練では、「e-じゃん掛川」上でも防災訓練を実施し、専用のトピックには訓練会場の様子など13件のコメントが寄せられています。いいじゃん掛川編集局としては、「災害コミュニティ」があることを、災害時にはこのコミュニティに情報が寄せられることを、一人でも多くの方に知っていただきたいと思いました。実際にパソコンや携帯から記事をアップしたり、記事を読んだりする練習にもなりますからね。
大井掛川市が定める44の広域避難地でも、職員用のトピックに書き込みをする訓練が行われました。訓練場所に向かう道路状況の報告や、支部開設の様子などを写真付きでアップしています。「e-じゃん掛川」は、「今」の情報を発信できるのが強みですから、携帯で記事と写真をアップできるスキルが必要だと感じています。
戸塚災害時の「e-じゃん掛川」活用は、明文化はされていませんが、暗黙の了解の中ですでに行われているということです。
河住昨年8月の地震では、実際、どのような形で情報発信がされたのでしょう?
大井災害対策本部に情報班を設置し、情報収集と情報発信にあたりました。ただ、当日は朝から電話がひっきりなしに鳴り、その対応に追われました。断水の状況や給水場所を同報無線でお知らせしましたが、災害本部に集まった情報で情報公開すべき事柄をすべて発信できたかといえば、できなかったというのが正直なところです。実際、市内40箇所の道路陥没の情報が寄せられていたのですが、確認が取れず、公式な情報として発信ができませんでした。後日、市民の皆さんから「情報発信がされてない」とかなりお叱りの声をいただきました。
戸塚情報班としては、災害対策本部の公式情報を市のホームページと「e-じゃん掛川」にアップし、JRの運行状況や高速道路状況のリンクを貼りました。「e-じゃん掛川」は地図表示ができますから、可能な限り地図へのリンクも実施しました。
情報発信しながら感じたのは、今、大井さんもおっしゃいましたが、市が公式情報として発信したこと以外にも、寄せられた情報の中には有益が情報がたくさんある、ということです。確認が取れていないものは、市から公(おおやけ)の情報として発信ができないのです。
河住そうした情報の中に、市民が今、本当に知りたい情報があったりするんですね。
実際、「e-じゃん掛川」の「災害コミュニティ」には、地震発生の約50分後に「地震発生」トピックが立てられ、市民目線の情報が次々と寄せられました。市に電話などで寄せられた情報が、もし「e-じゃん掛川」に寄せられていたら、と思いますね。
戸塚地域SNSの強みの一つに、顔の見える関係性があります。日ごろ、「e-じゃん掛川」内でコミュニケーションが取れていれば、善意の、共助の情報が集まりやすいということです。書き込みにはニックネームが必要であり、全くの匿名ではないところに信頼性が生まれると思っています。
災害時において、その時、特別に立ち上げた情報伝達手段のツールではなく、普段、市民の皆さんが当たり前に使っているツールであれば、さらにいいわけです。
河住普段から使っているものならば、「前に『e-じゃん掛川』で情報伝達の防災訓練をしていた」「そのコミュニティをのぞいてみよう」「何か情報が寄せられているかもしれない」と思い出すことが可能です。その情報は、その人一人だけでなく、その方の周囲の人にも口コミで広がりますからね。
戸塚そして、皆さんから寄せられた情報でハザードマップができれば、善意と共助の精神による、信頼性の高いマップができるということです。
災害時に「e-じゃん掛川」が機能するためには河住「e-じゃん掛川」の登録者数を増やす、普段から「e-じゃん掛川」を使ってもらう、ということが大前提ですが、先ほど、戸塚さんからもお話がありましたように、市民の皆さんから寄せられた「市の公式情報としては出せないけれど、伝えたい有益な情報」をどう発信するか、ということですね。直接、「e-じゃん掛川」に書き込んでくれる方が増えれば、それは素晴らしいことなのですが。
戸塚災害時に「誰がトピックを立てるのか」など、事前に決めておくべきことも多いと思います。
昨年の地震のときは、「この地震が震度5以上あるのか?」ということがその場で確認できず、市役所で災害対策本部が立ち上がったことを確認してからトピックを上げようとしたら、すでに市民の方がトピックを立ててくれていました。
※掛川市では、震度5弱の地震に対して災害対策本部が設置される。
大井災害対策本部情報班の仕事としてきちんと位置づけること、そして、その体制づくりが必要ですね。もちろん、44の広域避難地各支部からの情報発信も含めてです。
情報伝達手段は、ありとあらゆるチャンネルを持っていた方がいいですから。
戸塚「e-じゃん掛川」の情報は「Google」や「Yahoo」からも検索できます。遠くにお住まいで掛川を心配して下さる方が「掛川 災害情報」と検索したとき、掛川市のホームページで公式情報を知るとともに、市民目線で寄せられた情報を「e-じゃん掛川」で知ることができる、そんな流れになることが、地域SNSの一つの活用方法だと思います。
大井多文化共生の観点から、英語、ポルトガル語などによる発信も、今後、検討していかなければいけない課題です。
戸塚掛川市のホームーページでは、既に多言語で表示されるようになっていますが、「e-じゃん掛川」でも検討していかなければいけないでしょうね。
大井今、実際、「e-じゃん掛川」の会員数はどれくらいなんですか?
戸塚会員数は約2,500名です。会員数の増加とともに、毎日「e-じゃん掛川」にアクセスしてくれるアクティブユーザーと呼ばれるメンバーをいかに増やすか、ということも重要です。そのためにいいじゃん掛川編集局では、日々、「e-じゃん掛川」をのぞいてみたくなるような地域情報の発信や、PR活動、使い方講習会などを実施してくれているわけです。
河住今年9月に「地域SNS全国フォーラム」を掛川で開催しましたが、そのときのテーマが「毎日飲むお茶のようなSNSになりたい」でした。
いざというときのためだけでなく、「e-じゃん掛川」を通じて地域の情報を知ったり、人と人のつながりを実感できたり、それこそ、日々の生活がちょっと豊かになったり、ほっとできる、そんな「お茶」のような存在になれたら嬉しいですね。
戸塚掛川市でも、今、「e-じゃん掛川」の活用について、ホームページとの使い分けが検討されています。防災情報だけでなく、地域情報やイベント情報など、公式情報としては発信できないけれど知っていただきたいこと、たとえばプロセスであったり想いであったり、そんな情報を「e-じゃん掛川」から発信することを考えています。
河住「市主催イベントの準備が、今、こんなふうに進められています」とか「こうした皆さんが今度のイベントには関ってくれてます」「こんな想いがあって、このイベントを開催されます」という情報を知ることで、「そのイベントへ行ってみたい!」というモチベーションにもつながりますからね。
大井それこそ、「まち本!」コミュニティや「市民記者コーナー」コミュニティで発信していることですね。「e-じゃん掛川」が毎日飲むお茶のようになって、さらに「いざ」というとき使える道具になればと思います。
河住ぜひ、市の各課の皆さんにも応援していただきたいと思います。
そうした職員の皆さんの情報発信、現場の声を知ることは、市民にとって「地域のこと」「行政のこと」を知る、また行政を身近に感じるきっかけにもなるのだと、私自身、実感していますから。
戸塚この「地域SNS『e-じゃん掛川』を活用した地域活性化事業」も、来年度末をもってひとまず区切りとなります。残り1年3ヵ月で何ができるのか、官民協働の力を最大限に生かし、何らかの方向性を見つけていきたいと思います。

取材レポート:いいじゃん掛川編集局/河住雅子
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