市民記者コーナーの「掛川の伝統産業を学び伝える~葛苧つくり体験」
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掛川の伝統産業を学び伝える~葛苧つくり体験
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2011年07月26日 14:27
7月23日、達人に学び伝える会のみなさんによる「葛苧つくり体験講座」が開催されました。

 葛苧(くずお)というのは 葛(クズ)の茎からとった繊維で 葛布の原料となるものです。

 クズといえば 堤防や線路端やいろんなところにはびこって茂る雑草の王様のような存在。
 マメ科らしい房状の花は愛らしく甘い香りがするけれど、どちらかといえば厄介者あつかいされがちな植物です。
 地元の土産店などに上品に並ぶ葛布の高級バッグや草履たちが、そんなどこにでもある雑草の繊維から作られていると思うと不思議な感じ。

 そこで、緑の蔓草からどうやってあんなに淡く美しい繊維をとるのか、その工程を体験してきました。



 まずは市役所近くの土手で葛を採ります
 使うのはまっすぐ伸びた茎の部分
 今年新しく育った太くて柔らかいツルがよいそうです
 葛の海にからまりつつ 長さ2~3メートルのツルを5~6本ずつ採取

 採った葛は直径30cmくらいの輪っかにして紐でしばります
 達人に学び伝える会のメンバーさんは土手の草も刈っていました
 あとで葛を土に埋めるときに使うのだそうです
 ススキみたいなイネ科の葉っぱがよくて ヨモギなどは色が出るからNGとのこと



 それから 葛苧つくりの作業場所へ移動
 緑に囲まれ小川がせせらぎとても気持ちのよい空間です



 さっそく さきほど採った葛の葉を取り除きます
 無理にむしったりして茎の部分を傷めないように気をつけて



 火をおこし釜に湯を沸かします
 沸騰したら葛を輪のまま入れてグツグツ煮ます
 10分くらい煮たらひっくり返してさらに10分
 煮る時間は葛の状態や気候によって違うので 葛の色や様子を見きわめながら
 煮方が足りないと外皮が剥きづらく 煮すぎると繊維がもろくなってしまうそうです



 アクがでていますね なんだか枝豆みたいな匂い
 緑色だった葛が黄土色っぽくなりました
 煮あがったらすぐ水につけます
 持てるほどに冷めたら さらに川の水に漬けて

 

 その後、土の中に埋めて発酵させます
 刈って来た草や落とした葛の葉を敷いた上に葛の輪っかを並べ
 上からも草をかぶせて ビニールシートで覆いさらに重しを乗せて
 気候や葛の状態にもよるけれど 概ねこのまま二昼夜寝かせるのだそうです

 というわけで、その日採った葛では次の作業に進めないので、
 達人に学び伝える会のみなさんが前々日に埋めて置いてくださったものを取り出して
 いよいよ葛の繊維をとり葛苧をつくります


     
 発酵がすすんだ床はポカポカと温かくなっています
 葛はぬるりと柔らかく なんとも言えない発酵臭が
 このヌルヌルになった外皮を「くそっ皮」と呼ぶそうです
 絶妙のネーミング!

 たった二日でこんなに と驚きましたが、この二日間涼しかったので
 これでも発酵の度合いは少し遅いかも とのことでした
 発酵が足りないとやはり繊維が取り出しにくく 発酵しすぎるともろくなってしまうということで
 葛苧つくりはすべての工程において熟練の見きわめが必要なのだと改めて感じました



 取り出した葛の輪をほどき、きれいな沢の水で洗います
 メンバーの方が手本を見せてくださって
 「こうやって根元を押さえてしごいていくとスーッと芯が抜けてミノムシができるでしょう」と
 なるほど、なんとか自分でもミノムシらしきものができました
 「そこで繊維の元を離さないようにミノムシのしっぽを引っぱると するするっと1本になります」
 するするっと・・・あれ・・・えっと・・・(@_@;)
 見るとするとでは大違い 
 このミノムシくんがまったく言うことをきいてくれません
 せっかくの繊維がからまってちぎれるし 繊維の向きがどっちだかもさっぱりわからなくなってしまいます

 葛苧つくりでは繊維の向きがとても大切とのこと
 繊維をつなぐときも 必ず根から先へと向きをそろえて結んでいかないと、
 糸がひっかかって上手く機を織ることができなくなってしまうからだそうです

 
 
 四苦八苦しながらもなんとかミノムシをのばして、沢に流しながら繊維を取り出します
 指先でしごきながら「くそっ皮」やごみをとると 茶色っぽかった葛苧がだんだん白っぽくなってきて
 うれしくなってゴシゴシこすり過ぎ せっかくきれいになった葛苧がちぎれて沢を下っていってしまう
 なんて悲しい場面もありましたが
 初体験の受講生でも それぞれにそれなりに自分だけの葛苧をつくることができました


 
 かるく乾かすとより白く映える葛苧
 生の葛からとれる繊維の量は50分の1になってしまいます
 これだけの葛苧を手に入れるための手間と労力を想うと 愛着も湧くし大切に活かしてあげなければと感じます



 今回の葛苧作り体験はここまででしたが、このあと葛苧を繊維方向に注意して結んでつぐりにし、木綿や麻糸を縦糸にして丹念に織ると 葛布の作品をつくる事ができます。 
 道具や経験がないと自分ではできない作業ですが、来年の2月頃にまた葛織りの体験会を計画しているということなので、興味のある方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。 



 葛布は400年もの間続いてきた掛川の伝統産業。
 かつてはたくさんの 葛苧作り名人 葛織り職人 葛布問屋さんがいて 「掛川宿といえば葛布」といわれるほどの特産品だったそうですが、衣生活の変化や機械紡績の発達などによってより手軽な繊維に取って代わられ 葛布の消費は激減。
 それとともに生業として葛を扱う人も減り 葛苧作りや機織りの技を受け継ぐ人もいなくなってしまったそうです。

 このままでは葛布という伝統産業は滅んでしまう という危機感から、達人に学び伝える会のみなさんは ことに葛工芸の伝承に力を入れて取り組んでいらっしゃいます。
 葛の達人を訪ね歩き、その技や想いを学び、一般の方々に伝え 関心を持ってもらえたら。
 葛布のふるさと掛川から達人たちの姿が消えてしまう前に―

 会のみなさんが教えを請うた葛苧作りの達人が亡くなって5年。
 その教えを守りつつ 新たな技法への探究心も忘れずに 葛への愛情たっぷりに積極的に活動を続けるメンバーのおひとりは、「それでも私たちの会の認知度はまだまだです。若い世代のみなさんにも関心を持って参加していただけたらうれしい」とおっしゃっていました。
 
 eじゃんにも「達人に学び伝える会」のコミュニティがありますので、興味ある方は一度のぞいてみてくださいね。

  「達人に学び伝える会」 http://e-jan.kakegawa-net.jp/c.phtml?g=155881



 実のところ、今まで私は、「掛川も葛布は盛んだけれど全国いろんなところに葛布産地はあるのだろう」くらいに思っていたのですが、掛川は葛布生産日本一なだけでなく、個人の趣味的生産をのぞく葛布のほとんどは現在掛川で生産されているということで、掛川から葛布産業が消える日は 日本から国産葛布が消える日だということを初めて知りました。

 その灯を絶やさないために大切に受け継がれようとしている達人の技に肌でふれることができ、楽しいだけでなくとても貴重な経験をさせていただきました。
 達人に学び伝える会のみなさん、受講生として一緒に活動させていただいたみなさん、素敵な一日をありがとうございました。


書き込み数は8件です。
[ 日付順 ] [ 投稿者順 ]
Re: 掛川の伝統産業を学び伝える~葛苧つくり体験
【返信元】 掛川の伝統産業を学び伝える~葛苧つくり体験
2011年08月27日 14:01
8月24日(水)、この体験会で作り方を学んだ葛苧を使った紙漉きの親子教室を取材してきました。
会場の様子はこちらをご覧ください。
葛の繊維にふれて親しむ~葛の和紙作り教室~
Re: 掛川の伝統産業を学び伝える~葛苧つくり体験
【返信元】 掛川の伝統産業を学び伝える~葛苧つくり体験
2011年08月01日 08:37
ゲストさま

うれしいお言葉ありがとうございます(*^_^*)
たくさんの自然にふれられて本当に心地よいいちにちでした
最初ためらっていた男の子たちも帰るころには自然児の顔になっていたのもいいなぁと思っていました
またぜひご一緒させてくださいね♪
Re: 掛川の伝統産業を学び伝える~葛苧つくり体験
【返信元】 掛川の伝統産業を学び伝える~葛苧つくり体験
2011年07月31日 01:21
記事にして下さってありがとう。
サワガニ、タマムシ、モリアオガエルのオタマジャクシ、カワトンボなどなど、あなたが帰ってからちょっぴり寂しげでしたよ。(私も、・・・・)
葛の紙作りにもぜひお出かけください。
そして気が向いたらたら、「達人に学び伝える会」にご入会を!
会の一員より
Re: 掛川の伝統産業を学び伝える~葛苧つくり体験
【返信元】 掛川の伝統産業を学び伝える~葛苧つくり体験
2011年07月31日 00:06
まるまるさん

コメントありがとうございます
どこにでもあるクズから葛布も作れるし葛湯も作れる
考えたらすごいことですね(^.^)
掛川には丁葛を扱うお店も多いけど 葛粉100パーセントの葛餅や葛湯はやはり減ってしまっているそうです
素朴でも手間ひまかけて作られたものってとても贅沢なものだと感じます
葛苧織りもできればまた体験したいと思っています(*^_^*)
Re: 掛川の伝統産業を学び伝える~葛苧つくり体験
【返信元】 掛川の伝統産業を学び伝える~葛苧つくり体験
2011年07月29日 12:53
葛湯を2年前に初めて飲みました。そして「葛布」という言葉も聞くようになり、「葛湯と葛布、同じものからできているのだろうけれど・・・??頭の中で疑問がいっぱいでした。」今回の記事で、葛布がつくられる過程が分かりました。ありがとうございます。
たくさんの時間をかけて、日本でも貴重な葛布が出来あがるのですね~。
作った方々の気持ちもたくさんつまっているんですね!
ぜひまた葛織りも取材していただきたいな~♪と思いました。
これからも記事、楽しみにしています(^▽^)v
Re: 掛川の伝統産業を学び伝える~葛苧つくり体験
【返信元】 掛川の伝統産業を学び伝える~葛苧つくり体験
2011年07月28日 23:25
koitiヤンさん jonjonさん

こちらこそ貴重な体験をさせていただきありがとうございました。
葛苧作りだけでなく川遊び・虫遊び?も堪能できてとっても楽しい一日でした。
8月の和紙つくり講座も時間があえばぜひ参加させていただきたいと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします(*^_^*)
Re: 掛川の伝統産業を学び伝える~葛苧つくり体験
【返信元】 掛川の伝統産業を学び伝える~葛苧つくり体験
2011年07月27日 08:32
急なお誘いでしたが快くご参加いただきありがとうございました。
会のイベントをまた覗いてみてくださいね。
Re: 掛川の伝統産業を学び伝える~葛苧つくり体験
【返信元】 掛川の伝統産業を学び伝える~葛苧つくり体験
2011年07月26日 23:06
さすが記者さん!私たちの会の趣旨をしっかりと記事にしていただきましてありがとうございました。地道に活動していけば認めていただけることが分かり会員のやる気も増すことでしょう。
8月24日(水)9時~12時に環境資源ギャラリーで葛の和紙つくり体験講座も行いますので来てください。