5月3日 春のお茶まつりイベントのひとつ「グリーンティーツーリズム」に参加してきました
あいにくの雨空の下、今秋開催「全国お茶まつり」PRのラッピングバスに乗り込んで出発
目的地は掛川有数の茶処・東山地区
東山といえば山肌に大きな「茶文字」が浮かぶ粟ヶ岳でも有名です

残念ながら山は霧で霞んでいましたが、車窓から見える茶畑のこと 掛川の茶業の現状などについて、農林課の職員さんが説明してくださいました
県外から参加された方もいらして、掛川市民には見慣れた防霜ファンや「カマボコ型」や「角刈り」が混在する茶畑風景なども珍しく映ったようです

富士東製茶農業協同組合さんのお茶工場に到着
本来なら摘採・搬入・製茶と多忙を極める新茶時期ですが、当日は雨天で茶摘みや製茶がお休みとなったため、組合員の皆さんが笑顔で出迎えてくださいました
工場入り口の背の高いポールには赤い旗

これは「今日は茶摘みは中止」という印だそうです
遠くからでもひと目でわかるので、共同で製茶するお茶農家さんの足並みもそろえられるというわけ

工場内では組合役員の方が製茶の工程に沿って説明してくださいました
ラインが稼動していなくて残念でしたが、要所要所ではカラの機械を動かしていただき、それぞれの工程での作業や茶葉の変化をイメージすることができました
いくつもの機械と機械の間をベルトコンベアやダクトで自動的に茶葉が運ばれていく様子は、なんだか巨大なピタゴラスイッチの仕掛けを見ているよう^m^

かなり規模の大きい工場ですがこれでも東山地区では2番目の大きさなのだそう
東山地区も含め掛川のお茶は「深蒸し」が一般的ですが、「深蒸しと普通蒸しとか浅蒸しとかって何がちがうの?」という点に興味を持つ方が多かったようです
従来の製茶法より生葉を長めに蒸すのが「深蒸し」ですが、その蒸し時間には「何分」「何秒」といった一律の決まりはなく、茶葉の状態、その日の気候、目指す製品イメージなどに合わせて、その都度細かく調整していきます
その微妙な調整こそがお茶の色・味・香りを決める熟練の技

「蒸し」の工程だけでなく、オートメーションならではの失敗を防ぐため、機械には必ず人がついて、手ざわりで「しとり(乾き具合を表す言葉)」を判断したり匂いや色をチェックしたりという確認作業が欠かせないそうです
工場見学の後は茶畑へ移動して、東山地区に守り継がれてきた「茶草農法」についてお話をうかがいました
このあたりでは昔からどの農家も、秋から冬にかけてススキやササなどの「茶草」を刈り取って茶畑の畝間に敷きこんできた
茶草には保温や雑草よけの効果があるだけでなく、腐葉土と同じような働きのおかげで色・香り・味の良いお茶ができる
ひとつの畑に敷く茶草は800kgにもなる(10aあたり500~700kg)
茶畑周辺に広がる「茶草場」では毎年こうやって人の手が入ることで、日当たりの良い広大な草地として維持されてきた
近年になってこの東山の茶草場の生物多様性が注目され、平成22年のCOP10では『東山地区は希少動植物の宝庫』と発表されて大きな話題となった
「そうするのが当たり前」と思って作業を続けてきた茶草場の草花や、そこで跳ねる「カケガワフキバッタ」などが、絶滅危惧種や希少動植物だったと知り自分たちも驚いている

畝の間に敷かれた茶草
代々受け継がれてきた「茶草刈り」の作業が知らず知らずに茶草場の豊かな自然を守り、その茶草場の自然が東山の美味しいお茶作りを支えてきたということですね
昔は他の地域でも茶草農法をしていたが、現在も地域全体で茶草農法に取り組んでいるところはわずかで、静岡県内では東山地区だけなのだそう

粟ヶ岳特製急須
茶草農法のお話をうかがいながらプチ茶摘み体験を楽しんだあとは 「東山いっぷく処」で贅沢な試飲タイム
掛川茶市場開きの日に出した貴重な「イ印」のお茶を淹れていただきました

「イ印」というのは、そのシーズン最初に工場を動かしてつくった一番めのお茶のこと
新茶の清々しい香りはもちろん、深蒸し茶らしいきれいな水色(すいしょく)で味もしっかりのっていてとっても美味しい♪
今年の掛川の市場開きは4月27日と、周辺地域よりもちょっと遅めでした
早く出ることに価値が与えられやすい新茶ですが、掛川では早さよりも内容を重視しようと、焦らず味がのるのを待ってのスタートだったというのも納得です
さらに嬉しいことに、手揉みのお茶も淹れていただきました
水色は淡いですが濃厚な甘みと旨み
急須の中できれいにほどけた茶葉の美しいこと(^^)

いっぷく処でのお買い物も楽しんで、グリーンティーツーリズムもそろそろ終了
帰途につく頃には霧も晴れ、粟ヶ岳の茶文字がくっきりと浮かび上がりました

茶畑と茶草場
ヒノキの木で描かれた「茶」の字の草かんむりの横棒は110メートル弱あるんだそうです
茶文字のまわりの茶色っぽく見えるところが茶草場
いつもは車で山頂まで上がってしまう粟ヶ岳ですが、今度は東山の茶畑や茶草場の風景を楽しみつつ、ハイキングコースを歩いて登ってみたいなと思いました

お茶農家さんにとって一年で一番多忙なこの時期に、このような素晴らしいツアーを受け入れていただけたことは、ほんとうに貴重でありがたい体験でした
東山のみなさん、関係者の皆さん、ありがとうございました(*^_^*)