平成26年度第1回目のNPOプレゼント講座は、掛川市での開催。
歴史と文化をテーマに、【歴史文化ゾーン散策】と【講演】の両輪で進められました。
講座の様子と講師たちの言葉をレポートします!
【1】木造駅舎~歴史・文化ゾーン散策案内:戸塚明美氏(観好ボランティアガイド)



【2】歴史文化ゾーンの考え方講師:河住雅子氏(NPO法人スローライフ掛川)掛川市は、全国に先駆けて「生涯学習都市宣言」をしたまち。単に、一生涯勉強していく「生涯学習」ではなく、人づくりとまちづくりを関連づけ、自分の人生の舞台である「掛川市」に誇りを持てるようなまちづくりをしていこうというところが、掛川市の生涯学習の特徴
だと感じる。実際、新幹線駅開業、木造天守閣の復元、木造駅舎の保存も、そうした生涯学習や報徳の精神に培われた気質が土台となっていると思う。
スローライフ掛川は、市民目線で地域の資源を生かしたまちづくりを進めてきたNPOなので、今日はそんな市民目線での「木の文化や歴史をいかしたまちづくり」をご紹介していければと思う。
■掛川のまちの魅力~歴史文化ゾーンとは~掛川城と大日本報徳社を中心に、歴史や文化的な施設がコンパクトにまとまっている。
掛川城御殿と大日本報徳社は国の重要文化財、竹の丸も市の有形文化財、二の丸茶室は掛川のお茶文化の発信場所。
こうしたゾーンが、掛川駅から歩いて10分ほどのところにまとまってあるのがすごい。
■スローライフ掛川の活動◇ライフスタイルデザインカレッジ(地域資源を生かした通年型の講座)まちのことを勉強するとか、施設をめぐって説明を聞くとか、そういうお勉強型ではなく、興味のあることや好きなこと、楽しいことをしているうちに、しぜんと「自分の暮らすまちの魅力に気づく」、そんな講座だった。
◇金二郎カフェ実験報徳書図書館の庭にカフェを作ってしまおうという3日間の実験事業。この歴史文化ゾーンの魅力を、今までにない形で顕在化した。
◇地域SNS「e-じゃん掛川」を活用して、地域の魅力を発信「まち本」では、市民記者さんたちが掛川を楽しむための17のコースをつくり、紹介する冊子を作った。「掛川駅スタートの木の文化に包まれる旅」もある。
◇竹の丸の指定管理地元の高校生とのコラボレーション企画、地元の郷土史家を講師に招いた「竹の丸塾」、大掃除イベントなどを実施。
■現在の掛川城周辺について今年の四月から、指定管理が掛川グランドホテルに替わった。完全に民間。売上を上げるため、土間でカフェの運営が始まった。土間を板敷きにしてしまうことに関して賛否両論あったが、滞留時間が長くなるなどいい面もある。
掛川城と茶室と竹の丸の一体管理になったことで、周遊券が販売できるメリットもある。
経済優先主義の民間と、これまでの歴史や文化や市民性を大切にする視点との両面で、「いい塩梅」の立ち位置が見つかればいいと思う。」
【3】まちづくり会社の役割講師:渡邊圭介氏(かけがわ街づくり株式会社)掛川市はロケーションには恵まれているが、それを使いきれていない。
現在、まちづくり会社では、そうした良さを活かしたまちづくりを推し進めている。
■かけがわ街づくり(株)の概要について◇設立・平成14年8月、まちづくり推進機関(第3セクター特定会社)として設立
◇事業概要・中心市街地の活性化を推進
・駐車場運営による収益を街なか中心市街地へ再投資
・駐車場の管理運営事業
・空き店舗対策事業
・賑わい創出イベント事業
・中心市街地現地実態調査事業
・市民ボランティア団体支援事業、中活化協議会事務局・官民協働委員会等の事務局受託
・掛川市、掛川商工会議所との協働
■かけがわ街づくり(株)の役割等について◇現状と課題 ・街なか回遊の促進(駅と掛川城には人がいる、中間に位置する商店街エリア苦戦)
・駐車場収益の矛盾(収益の大部分を占めるP利用者は、駅利用者多数)
・通行量の減少(新しい試みや動向は見られるが、活性化目標数値に反映されてない)
■市民参加型イベントの推進、NPO市民団体との連携について◇商業振興からコミュニティ構築へ・お休み処 おいでぇ家(休日第2第4水曜)10:00~18:00
市民、観光客の誰もが自由に使えるコミュニティスペースの提供
掛川茶呈茶、トイレ解放、街なか案内、市民ギャラリー、無線LANスポット
運営は市民有志ボランティアによる店舗運営、市民作家による作品展示会を実施
現在休止中、仕様運営法新たなコミュニティ施設の検証検討中
・NPO、市民団体等との連携推進
街なかイベントへの市民参画、発表披露の場を積極的創設
・街なか駐車場の一括管理(まんまえP、駅前P、中町P、大手門P)
料金の統一化、一元管理、共有共通券サービス券発行の検討実施
H23年末年始~駐車開始60分間無料開放社会実験の実施 → 稼働率増、収益微減
新たな時間貸し駐車場運営(指定管理制度P、自己所有P)の検討
◇市民との協働・市民とのアイデア会議の実施
イベント等を開催するとき「○○実行委員会」「○○を考える会」などを立ち上げ
市民の有志を募り、意見交換、アイデア出しを行っている
■既存イベントの事例紹介◇けっトラ市(毎月第3土曜)9:00~12:00 地元掛川産の農産物、加工品の販売 + 近隣商店 + 地元企業PR(農商工連携)
軽トラックを仮設店舗とした市(県内初、約3年実施)
中山間部農業者の関心度の向上(対面販売、準備、街なかが楽しみ)
◇友引ストリートカフェ(春、秋、年間5回開催)10:00~15:00 街なか若手会を中心とした運営母体(今まで表舞台に居なかった世代の台頭)
駅通りのロケーションを活用した路上オープンカフェの開催、和菓子屋等との連携
【4】報徳とまちづくり講師:東宮照男氏(大日本報徳社)
■新幹線駅、木造駅舎、掛川城天守閣新幹線のある駅で木造駅舎は掛川駅のみ。市民募金、寄付の文化が掛川にはある。その根底に報徳がある。「推譲」の精神。
おふろに入って自分のところに水を寄せようとしてもうまくいかない。他の人のところにどうぞとやると、結局水は自分のところに来る。まずは社会、地域、次の世代から。
■万象具徳、以徳報徳人であれ、ものであれ、時であれ、場所であれ、あらゆるものには「徳」が備わっている。徳とは特徴であり、取り柄であり、長所。それを活用しよう。尊徳は200年前からそうしたことをしている。
当時の農村は苦しい。夜逃げがあり、休耕田ばかり。尊徳は、荒くれの人たちを集め、彼らに土地を開墾する仕事を与えた。「芋こじ」と言って、フリーディスカッションのようなことをしていた。「芋こじ」とは、泥のついた芋を洗うとき、桶の中でぶつかり合ってお互いが磨かれること。みんなでかんかんがくがく話し合い、がんばった人を表彰する制度を取り入れた。鋤(すき)や鍬(くわ)や本などを、尊徳のポケットマネーで出した。
まちづくりには「よそもの、ばかもの、若者が必要」と言われるが、閉鎖的な村に、よそ者が入り、まとめるのは難しいが、尊徳は人々をまとめていった。
■繋ぐさまざまな「徳」を持つ人たちを「繋ぐ」ことをしていきたい。
駐車場収入をまちなか活性のための再投資につなげたい。