NPOプレゼント講座2014の「【第4回レポート】シニアの力を地域に活かす ~健康長寿をめざして~(袋井)」
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【第4回レポート】シニアの力を地域に活かす ~健康長寿をめざして~(袋井)
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中東遠地域づくりシンポジウムin袋井
シニアの力を地域に活かす

平成26年度第4回目のNPOプレゼント講座は、袋井市での開催です。「シニアの力を地域に活かす ~健康長寿をめざして~」と題した講座には、若い世代も含め、多くの方にご参加いただきました。
講座の様子をレポートします。

【1】ミニレクチャー
テーマ「シニアの力を地域に活かす ~健康長寿をめざして~」
講師:地域福祉研究所主宰 山本伸晴氏



団塊の世代と呼ばれる我々ですが、私が生まれた年は、一年間で270万人が生まれました。何をやるにも競争で、中学は1クラス55人体制、11クラスありました。そんな時代でしたから、「一人一人の個性に合わせた丁寧な教育」なんてできません。当時は「子どもの数はもう少し少ない方がいい」と言われていました。

今は、年間で110万人しか生まれていません。我々の半分以下です。そして、教育関係者は「子どもの数が少なすぎて、競争心がなくなっている」という。じゃあ、どのくらいの数ならちょうどいいんのでしょうね(笑)。

法律の中に「老人」の定義はありませんが、介護保険サービスが使えるのが65歳以上なので、65歳から老年人口と数えられると思います。
老年人口が多いことが悪いのではなく、老年人口と年少人口の差が広いことが問題であって、バランスの問題です。
人口ピラミッドですが、ずっとピラミッド型をしていたのが2010年くずれました。
私たちはこれから、今までに経験したことのない、経験も文献もない時代を迎えるわけです。
45年後の2060年ですが、その年に65歳を迎えるのはは、ちょうど今の大学3年生くらいですね。年金など、どうなってしまうのだろうと思います。



さて、現在の問題です。
2013年7月25日の静岡新聞に「高齢単身男性、孤立浮き彫り」の記事がありました。65歳以上の単身者の会話頻度調査で、2週間に1回以下の会話の人が、高齢単身男性には16.7%もいるというのです。
これから、男性が地域で根を張っていかないと、こういう問題はどんどん増えていくと思います。
10年後、認知症の人が全国で700万人とも言われています。700万人というのは、静岡県の人口の二倍弱です。大変な数だと思います。
こうした状況にならないためにどうしたらいいか。これからの老人は元気でないといけません。今後、介護保険は予防対策にどれだけウエイトをかけられるかにかかってくると思います。

徐福伝説にもあるように、人が長生きしたいのは、どの時代でも共通の願いです。にも関わらず、現代、長生きすることが問題視されているような雰囲気があります。これは不健康な気がします。

これからは、地域福祉の時代です。「地域福祉」という言葉は、昭和26年に制定された「社会福祉事業法」が、平成12年に改正され「社会福祉法」になり、その中に「地域福祉の推進」ということから、初めてうたわれるようになりました。

今、世の中にはお金がありません。自助、共助、公助の中で、共助をどう作りあげるか、知恵と力をどれくらい出せるかが問われています。

我々が持っている様々なノウハウを、地域のためにどう活かせるかにかかっています。人のためが、やがては自分に戻ってきます。
最後は人です。人生が終わるとき、よかったねと思えるような人生を歩みたいと思います。


【2】事例紹介
テーマ「経験豊富なシニアの力を活かして」

事例①
NPO法人健康文化クラブ理事長 山鳥裕子氏

NPO法人健康文化クラブは、平成8年から活動を開始し、平成12年に市の委託を受け、2年後の平成15年にNPO法人化しました。生涯学習とコンサートの二本立てで活動を行っています。



平成19年には、最高の14講座を実施しました。赤字の講座もありましたが、様々な講座を実施しています。

平成19年からは、袋井市の「協働まちづくり」連携事業がスタートし、協働という形で「フリーマーケット」や「交流ツアー」事業を開始しました。
楽しく交流しながら、講座やNPOの啓発、発信などを行っています。

平成20年には定款を変更し、「もったいない活動」を追加しました。
平成21年からは「歌声喫茶」事業を開始、平成23年からは「認知症予防講座」を開始しました。認知症予防の講座は、少しずつ進化していっています。

様々な講座もイベントも、こうした事業は「サービスを受ける側」が「サービスをする側」にまわりたくなるような形がいいと思っています。
あと、アンケートは大事ですね。こうした活動は、成果を数字等で表しにくいのですが、アンケートは啓発活動の実績になると思います。


事例②
NPO法人いきいき・いわた理事長 村田建三氏

活動のきっかけは、「退職して何がしたいか」を考えたとき、「社会貢献したい」という思いでした。自分も含め、高齢者がいきいきできる社会になればいいと考え、いろいろ勉強することから始めました。
その後、市や社協の後援を受けた事業を実施しています。



まず「認知症」ですが、自分はどれくらい近づいているのか、自分でつかんでおくことが重要です。そのための、セルフチェックつきの認知症講座を実施しています。
そうした講座だけでなく、健康相談会や脳活性化の研究も行っています。
今後は、心理と気功の脳科学的すごわざで、難病施術や予防の社会貢献をしたいと考えています。

さて、2025年問題ですが、どうなるのでしょうかね。今の政策のままではとても追いつかないと思います。
現在の介護要支援の「1」と「2」は、市で対応することになるでしょう。地域で受け皿を作ってほしいと思います。
地域の見守りや、コミュニケーションの充実も重要です。介護や認知症予防は、地域が自発的にやるしかないのだと思います。
高齢者が暮らしやすい地域へ、認知症や介護になりにくい地域へ、地域づくりを行っていかなければならないと思います。

そのためにも、元気でい続けることがまず大切です。元気でい続けるためには、元気づくりのサイクル「自己点検」「課題発見」「生活習慣改善」を取り込むことです。
とにかく、早期自覚が大切です。

また、個人が取り組むことと、自治会内の社会福祉の充実の、両面が必要です。
定年退職者は、実はすごいスキルを持っているので、地域の固有の情報が加われば、すごい力になると思います。



私たちは「いきいき暮らし日誌」をつけることをおすすめしています。
・今日の年月日は?
・昨日の天気は?
・何をしましたか?
・明日他の予定は?
得点より、楽しい会話をすることです。

認知症とうつと糖尿病はつながっています。「家族不幸」にならないために、運動、栄養、ストレスをためないなどが大切ですね。

元気でい続けることで、余分な税金の出費を減らし、「防潮堤構築の応援をしよう!」が、今の私たちの合言葉です。


事例③
NPO法人掛川シニア交流研究会理事長 染葉祐一郎氏

シニア交流研究会は、10人のシニアでつくる市民グループです。掛川市でシニアの地域デビューを支援する「出会い塾」などの講座を開催しています。



出会い塾は、
①人との出会い、情報との出会いの場
②これからの自分の生き方をじっくり考える場
③新しい仲間づくり
④楽しく活動、地域貢献
ができる「場」の提供だと考えています。

平成に20年にスタートし、早くも7年です。
私たちは市民大学の受講生で、開講前の平成19年当時は、団塊の世代の大量定年退職が社会問題にされていたときでした。
「地域で活動のきっかけをさがすシニアが大勢いる」こと、「シニアの能力を活かすために、どう支援したらいいか」が、地域課題でもありました。

重いテーマに人は集まらないといわれていましたが、実際は、趣味や娯楽など楽しいことだけでは満足できず、地域貢献したいと考える人は多かったわけです。

私たちは、第二の人生を考えるとき、欲しいものは三つあると考えました。
①情報(掛川のこと)
②じっくり考える機会
③仲間

出会い塾は、講演会、活動現場の訪問、グループ編成、実際の計画づくり、活動の実践など、一年間かけて11回の講座を実施しました。

出会い塾を開講してみて、市民グループの発動発表等もあり、交流、勧誘の場としても効果的であるとわかりました。新しいテーマの活動が6グループでき、活動も始まっています。
卒業生は延べ240名です。



「市民活動フェスタ」とも連携し、現在は、地域課題を行政、自治会と一緒に考える「まちづくり協働フォーラム」に発展しています。
今後は、掛川市内の消滅地域をテーマに何かできないか企画中です。


【3】まとめ

講師:地域福祉研究所主宰 山本伸晴氏

皆さんから「広報について」の質問がありました。
市で出す広報は、確かに効果があります。しかし、家族全員で見ているとは限らないところに問題はありますね。
「公民館に置く」という方法もありますが、公民館は年にどれくらい行きますか?
それを考えると、実は毎日行っているところがあるんです。コンビニです。今、コンビニがコミュニケーションセンターになっています。しかし、有料のものは置けません。若い人も来るので、新しい層を開拓できるかもしれません。

次はスーパーマーケットです。銀行、信用金庫、病院などもあります。
あとは企業ですね。今、企業は「地域のために社会貢献したい」と思っていますから、うまくつながれば力になります。

染葉さんのお話の中でありましたが、「最初から重いテーマだと人は集まらない」というように、「楽しい」をキーワードにすることも大事です。

いずれにせよ、新しいルートを発見できると、効果が出てくると思います。



今日は3団体の活動を伺いましたが、まず山鳥さんのところは、他がやっていない事業をやっているのが面白いと思いました。人が集まらなくて終わってしまった講座でも、時代が早すぎて受け入れられなかったこともあるかもかもしれないので、再度、何度でもチャレンジしてみることも大切です。息を長く、続けていくことは難しいけれど、やっていただきたいと思いました。

村田さんの話は、自分自身に投影して話を聞いてしまいました。4行日誌も「書けるかな」と思いました。

染葉さんのところは、ここまで発展してくると見えてくる課題もあるかと思います。「出会い塾」というネーミングが「婚活」に間違えられるという話がありましたが、逆にそうした内容を講座の中に取り入れるのも面白いと思いました。

共通しているのは「やってみよう」という精神と「人の魅力」だと感じました。「あの人がいるから行ってみよう」ということがあります。人の魅力をどう発信するかも重要だと思います。

しかし、人が変わると組織そのものが動かなくなることもありますから、3つのグループの課題は「次の世代にどうつなげていくか」ということですね。
3団体とも、とても素晴らしいことをされているので、できる限り続けてほしいと思いました。

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