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お久しぶりです!
最近は絵ばかり描いていたので、こちらにはご無沙汰してしまいました
「フアニとロンガ」の挿絵。ポスターカラー使用。
とことん厚塗りしたので、時間が掛かってしまいました。
「フアニとロンガ」は別サイトに引っ越します。
理由は、前回以降、一部に残酷な描写が加わったからです。
はまぞうさんの規定がどうなっているか調べたことはありませんが
まあ、いわゆる自主規制です。
R指定の設けられているサイトに行った方が安心ですからね。
続きをご覧になる方は、かなたみちこのページへお越しください。
ここでは再びネコ様たちとの生活等を、ぼちぼちとアップします。
よろしくデス(∩´∀`)∩
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前回まで
野獣たちは苛立っていた。
野獣は千年の余を生きる。
それは人間の数える年月と同じではない。
彼らは異なる時間を生きているのだから。
おおよその目安を知りたいというなら、繁殖期から次の繁殖期までを一年と見なせば妥当なところであろう。
ところが先ごろ、まだ繁殖期の兆しも見えないのに、なぜか一頭の仔が産まれた。
それはまったく不愉快な生き物であった。
体毛は、夜の闇にはまことに不都合なほどに白く、おまけに妙に丸い顔と大きな目、ぽってりした体つきにぽってりした手足。不自然に長い尻尾は奇形の最たる証拠であろう。
とにもかくにも、どこをとっても気に入らない。
かろうじて小さな牙と鱗を有してはいるものの、野獣らしい猛々しさなど微塵もなかった。
それは例えて言うなら、春に花を咲かす種類の木が、時として初冬に間違って花をつける。
わずかに咲いた花は、花弁の数も合わず病んだような色をして、実を結ぶでもなく早々に落ちていく。
そのようなことに似ているのだろう。
加えて、野獣の仔なら、生まれ落ちればすぐさま手近の小動物を捕らえ喰らい始めるものであるのに対して、このチビ助はぺたりと座ったまま、怪訝そうな目で親たちを眺めている。
野獣たちは皆、腹を立てた。
未知のものと対面して腹を立てるのは、野獣の専売特許である。
そこで彼らはこの不吉な幼獣をつまみ上げ、住居にしている岩山から深い谷底へ投げ捨てたのだった。
今、野獣たちは苛立ちを募らせていた。
あれのおかげでスケジュールに狂いが生じた。
そのうえ、ようやく繁殖期がやって来たというのに、村の守りは以前より格段に堅くなった。
闇に紛れ様子を窺ったところ、あちこちの物陰に武装した男たちが潜んでいる。
これは厄介である。
一人二人の幼児を奪うために繁殖可能な人間を何人も殺し続けていれば、いずれ村の人口が減ってしまう。
そうでなくとも人間というのは怪我や病気、あるいは無知のせいで簡単に死んでしまう生き物だ。
おまけに、斥侯がわりに使っていた不良オオカミどもが、最近人家に近づくのを渋るようになった。
したがって大まかな子供数の報告もない。
理由を質しても言葉を濁し、あろうことか正しいオオカミの群れに戻って行く者も出る始末だ。
野獣たちは日程の変更を余儀なくされた。
繁殖期が完全に閉じるのは、夏至から二日後の真夜中。
ぎりぎりで間に合うはずだ。
祭りの日、ユェンは家族を先に送り出した。
娘時代に織った華やかなショールがまだ似合うかどうか、鏡の前で確かめたかったからだ。
髪型も気に入るまで何度か結い直した。
ダンスに参加するのはフアニを身籠って以来だ。
ユェンはいつになく華やいだ気分になっていた。
ギィはいつだって的当ての花形なのだから、夫に相応しい装いで出向きたかった。
ひとり広場に向かう道を歩いていると路傍の草木が初夏の香りを放ち、ユェンの心を打った。
この季節はこの世で一番美しい。
空気さえ生きる喜びに満ちている。
ユェンはとりとめのない思いをめぐらせた。
この村は良い所で、素晴らしい家族がいて、わたしは幸せだわ・・・
フアニが成長したら、星を読む人になるだろう。
ギィはそう言っていた。
女の子がそんな仕事に就けるとは考えたこともなかったけれど、彼が言うのなら、きっとそうなるのだろう。
いずれにしても気の早い話だわ。
あの子は昼間中ロンガと戸外で走り回ってばかり。
星が並ぶ頃には、すっかり眠ってしまうんだもの。
けれど、ロンガはこのままいつまでもそばにいてフアニを見守ってくれるものだろうか?
わたしたちの都合で飼い慣らしたつもりでいるけれど、それが本当にあの生き物の進む道なのだろうか?
最近のユェンは、ロンガはいずれ森に帰るのではないかという気がしていた。
何の根拠もない、ただ漠然とした予感である。
やがて成長を果たせば、自分の正しい居場所を求めるのが当然のことではないだろうか。
もしもそんな時が来たら、フアニはどうするかしら。
できればまだ先のことであって欲しい。
別れを理解できる年になってから。
あまり悲しまないで済むように。
ロンガの存在が、幼年期の夢だったと思えるように。
祭りの会場の方角から、美しいハーモニーが聞こえてきた。
あれはスウニとフレイだわ。
もうじきダンスの時間が始まるんだわ。
ユェンが広場の入り口にたどり着いた時、賑やかなさざめきは悲鳴と怒号に変わった。
次回へ続く
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「二階の押し入れの上の段には、厚手の毛布を二枚以上置いておくこと!
そして、夜間は湯たんぽを入れること!」
「あったか~い! これで今夜もぐっすりだわ!」
はいはい、わかりましたよ・・・
「あ、それと、朝はこのお湯で洗濯したらいいじゃないの?」
はいはい・・・
ブリちゃん、お目々がキラキラして可愛いけど
結構ウルサガタです(;^ω^)
というわけで
小説サイトに、過去の作品を投稿しました。
風に吹かれて です。
挿し絵の挿入がチンプンカンプンで、かなりトンマな失敗をした挙句
ようやく呑み込めました
なんか、我ながら頑張ったな~
さあ、前向きに、前向きに!
それでは皆さん おやすみなさい
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ネコさんて けっこうお水を飲む
だからカリカリの横にはお水のボールを置いてるのに・・・
どーしても お風呂で飲みたい
うちでは代々のネコさん全員が お風呂のお水が好き
なので バケツや洗面器をいくつも置いてある
お水はなみなみと張って欲しいそうです
かがまなくても楽に飲めるから ということで・・・(∩´∀`)∩
奥の白い桶がサンダーさん用 緑のバケツがブリちゃん用と
ネコ同士で決めてあるらしい…
ニンゲンは ネコさんが他の用事で忙しい時を見計らって お風呂に入ります
あぁ~ めんどくせー
と言いつつ
毎日せっせとお水を入れ替えます・・・
尿管結石が怖いからね
曇りがちなので 毛布をかぶって野鳥観察
これでいいのだ~
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前回まで
その年の夏の盛り、ギィはイエンスら数人の男親と協力して川の一部をせき止め、子供たちのために浅いプールを造ってやった。
ロンガは重い石を動かすのを手伝った。
完成したプールを前に、意を決したロンガがドボン!と飛び込むと盛大な水飛沫が上がり、子供たちは歓声とともに後に続いた。
ロンガは子供たちが無茶な真似をしないよう見守っていた。
フアニは恐れることなく水に親しんだ。
父親も子供も、休日を存分に楽しみ、腹を空かせて家に帰った。
その季節に村民の食卓にありがちなメニューといえば、水っぽいジャガイモと、かまどの上で焼いた平パン、あとは玉ネギのスープに少量のチーズがせいぜいであろう。
ユェンはロンガのためにパンをひとつ余計に焼いてやった。
秋が深まると、ギィはイエンスやハンとともにキノコ狩りに出かけた。
子供たちも一緒だ。
ごく幼いうちから野草や菌類の見識を高めるのは、非常に大切なことである。
ハンの一番上の娘、スウニは、ドングリを拾うことにした。
ハンの家は主に豚を飼っていたので、餌の足しにするのだ。
スウニはロンガの友人リストの上の方に入っている。
幼い弟妹の世話を良くし、フアニを妹のように可愛がる。
祭りでは民謡のソロパートを務めていた。
ロンガが鼻を利かせると、土や家畜の匂いに混じって、いずれ大輪と咲くユリの花にも似た、生気に満ちた香りが漂って来る。
そこでロンガは、少しだけ鉤爪を使って木に登ることにした。
するすると登って高い枝を揺さぶると、ドングリが雨のように降り注ぎ、ハン一家の籠はどれも一杯になった。
「これなら冬中間に合うわ」スウニは大喜びで、殻を剥いたドングリをロンガに与えた。
これは大変口に合ったので、ロンガはもう少し欲しいという仕草をした。
すると子供たちが競って木の実を食べさせたので、ロンガは腹一杯の度が過ぎて歩くのも苦しく、帰り道は手押し車に乗せてもらう羽目になった。
「そろそろ断るってことも覚えた方が良いぞ」
ギィがそう言ってからかうと、大人たちが笑い、子供たちはしょげ返った。
スウニは『秋に旅立つ人』という、この土地に伝わるもの悲しく長い歌を美しい声で歌った。
知っているフレーズになると、子供たちも和した。
その歌声は、今でもロンガの耳に残っている。
ギィは冬の間も時々狩りに出た。
誰も誘わず、たった一人で森へ行く。
そんな時のギィは口数が減り、あの不思議な匂いが強まる。
フアニやユェンと一緒に戸口に立って、森へ向かうギィの後姿を見送りながら、ロンガはそう感じていた。
ロンガはパトロールを欠かさなかった。
最も離れた農家さえ御座なりにせず、定期的に巡回した。
夕暮れ迫る丘を、冬枯れの草地を、白い影が走り抜ける。
それは村人が野良仕事を締めくくり、家畜小屋の戸締りをする合図となった。
ハーネスと引き綱は、もはや装飾品と化してギィの家の戸口にぶら下がっていた。
この村の羊は古い品種だから、毛は春になると自然に抜け落ちる。
フアニとロンガは、ユェンの手伝いをして大きな籠に羊毛を梳き集めた。
時にはシャオがやって来て、この作業に加わった。
仕事を終えるか飽きるかすると、子供たちはロンガを連れて野原でキイチゴを摘んだ。
たくさん採って帰ると、ユェンが甘いジャムを作ってくれた。
ロンガがギィの家に来てから二度目の夏至も、無事に過ぎた。
「もう野獣は現れないのではないか?」そう考える村人も何人かいた。
「すでに絶滅したのか、そうでなければギィのとこのロンガのようにおとなしくなってしまって、森の向こうで木の実でも食べてほそぼそと暮らしているとか」
「何とも言えないな」
ギィは答えた。オオカミどもと対峙したロンガの姿が脳裏をよぎった。
「早計は禁物だ。用心に越したことはないよ」
ハンはそう言って不用心を戒めた。
村の暮らしは楽しいことばかり、というわけにはいかない。
それでも人々は互いの不足を補い合って暮らしを立てた。
つまらない諍いは、知恵ある者が間に立って笑い話に変えた。
なんと言ってもこの村は、一つの大きな家族なのだから。
こうして季節は巡り、再び夏至が近づいた。
祭りの段取りを立てる集まりで、スウニは言った。
「今年はダンスの曲を妹のフレイに任せたいと思うんだけど、構わないかしら」
スウニは音楽担当の若者を代表していた。
皆は怪訝な顔をした。おやおや、スウニが歌姫の座を明け渡すとはいかなる事情か。
「わたしの声は結局、民謡向きなのよ。
フレイの方が良く通る明るい声をしているから、大勢で踊る場を盛り上げてくれる筈よ。
その間、わたしは子供たちを預かろうと思っているの。
数名の有志を募って、子守りグループを作るわ。
そうすれば乳幼児を持つ親御さんたちだって安心してダンスに参加できるでしょう?
せっかくのお祭りなのに若いカップルが何組もダンスの前に帰ってしまうのは、残念なことだわ。
わたしたち、音楽だけじゃなく何か役に立つことをしたいの」
なるほど、それは名案だ。大人たちは賛成した。
踊り手が増えれば賑わいも増す。
誰もが祭りの日を楽しく過ごせることだろう。
「若い娘というのは、新しいことを考えるものだねえ」
年寄りは感心して言った。
「私らもあんたの『託児所』を手伝わせてもらうよ。この年になると、二三曲踊れば十分だからね」
「子供のお菓子は多めに用意した方が良さそうだね」
会議がまとまると、一同は今年もまた無事に『夏至の祭り』を迎えられるよう、手を重ね合って祈った。
次回へ続く
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キャー!!
またこんな時間!
しか225さんに教えて貰った
「小説家になろう」という全国ネットのサイトに登録してみた!
現在こちらで連載している物語も重複OKということ。
とりあえず「風に吹かれて」なら短いし、挿し絵も全部出来ているから投稿しよう…
と思ったのは良いのだけど
挿し絵の挿入が
めちゃくちゃ厄介な作業になった(@_@)
一話完結が
一晩や二晩では終わりそうにない。
あきらめないぞぉ!
きっと今に、す〜らすら出来るようになる筈…
今日は疲れて、お腹が痛い(>_
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キャー!!
気がついたら
またこんな時間!
明日の朝は冷えそうだから
コタツには、やっぱり湯たんぽ。
ウチではものぐさな猫たちが楽に出入りできるように、丈夫な箱でトンネルを設置している。
熊本は人吉の味噌醤油倉からお取り寄せ…したのは、ダンボール箱じゃなくて味噌醤油です(≧∀≦)
明日ってクリスマスイヴ?
ウチでは毎日、お祭り騒ぎですけど?
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一階の和室から雷鳴のような音
コタツを覗いたら
音の主のサンダーさんを起こしたらしい…
ウチでは、夜間猫たちのためコタツに特大湯たんぽを仕込む。
湯たんぽに寄りかかって爆睡していたんだね。
・・・にしても
すごいイビキだなぁ。
今夜は暖かいので、出てきてしまいました(^^ゞ
おっさん顔で寝直すサンダーさんは
妙にカワイイ
それでは皆さん、おやすみなさい
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前回まで
「ギィ、あんた、どうかしてるよ」
隣人のイエンスは言った。
牛の種付け時期を相談しにやって来た折のことである。
「あいつは・・・人喰いの野獣じゃないか! あんな魔物を家畜囲いの中に入れるなんて!」
「あいつのことなら、ロンガと呼んでやってくれ」
ギィは笑って応じた。
「先週、お前の所の鶏小屋に押し入ろうとしたキツネを追い散らしたのは、あいつの仕事だ」
しかしイエンは絶句したまま目玉を剥いた。
囲いの中で、人喰い野獣がギィの娘を追いかけているではないか!
逃げ回るフアニの悲鳴は、なぜか笑い声のように聞こえた。
「心配するな、イエンス。あいつは子供好きだ。お前が思っているのとは逆の意味で」
ギィは幼馴染みの肩を叩いて言った。
「今年の『夏至の祭り』に、余興として連れて行こうかと考えているんだ。きっと子供たちが喜ぶだろう」
ここで言う『夏至の祭り』とは、正確を期するなら『夏至過ぎの祭り』と呼ぶべきもので、通常は夏至の日の翌々日、正午から日没にかけて開かれる。
そもそもの起源を辿れば、正しく夏至の宵に、一年で最も美しい季節を祝う行事であったとする説が有力なのだが、遠い過去のある年、野獣に奪い去られた幼児たちを悼んで執り行われる、弔いの儀式に変わった。
当日は村の広場に会場が設けられ、各家庭から持ち寄られた祭り用の料理や焼き菓子が供される。
日没前から篝火が焚かれ、青年たちが楽器を奏で、娘たちが村に伝わる民謡を歌い、人々は祈りを捧げ、奪われた小さな魂を慰める。
子供を守ろうとして犠牲となった者には追悼の辞が寄せられ、民謡に歌われる名前が少し増える。
しかし、こうした催しが行われるのは数十年に一度のことであり、必ずしも定期的なものではない。
平年の『夏至の祭り』は、無事に夏至をやり過ごせたことを皆で祝う祭りとなる。
御馳走の内容はほぼ同じだが、歌われる民謡が明るい調子を帯びる。
子供たちはお菓子を食べ放題だ。最も気難しく最も厳しい親でさえ、この日ばかりは全力で我が子を甘やかす。
幼児たちは遊戯に興じ、矢を用いた的当てのゲームが披露され、大人たちはパートナーと踊り、村人たちは涼やかな夕暮れのひとときを楽しむ。
花火が打ち上るわけでも、どんちゃん騒ぎをするわけでもない、まったく地味な祭りではあるが、村人たちはこの風習を大切にしていた。
さて、それにしてもギィは一人勝手に物事を進める男ではない。
ほかの村人たちに事の次第を説明し、この後の判断を計る時期が来ていた。
村人の中には、この冬の間に自分たちの家畜がオオカミやキツネの被害を受けなかったのは、単なる幸運だけではないと感じていた者が何人もいたし、宵闇に遠くオオカミが仲間を呼ぶ声を感じた直後、白い影が草地を横切って行くのを目撃した者もいた。
影はあっという林の闇に消え、オオカミの遠吠えもぷっつり途絶えた。
こうした事実に加え、おおかたの村人はギィを信頼に足る男だと考えていた。
ギィの地所に集まった村人たちは、今まさに庭先でフアニと遊んでいるロンガの姿を遠巻きに眺めながら、各々(おのおの)意見を述べ合った。
ロンガを一種の家畜と認めても構わないではないか、羊や猫だって自らの特質に鑑みて家畜の道を選んだのだから、という見解に達した者が半数を占めた。
この前代未聞の事態をどう考えて良いのか分からないでいる者が一割。
あとは野獣の本性をあらわさないうちに殺した方が良いと主張する者が二割弱。
それに対して、やみくもに殺した後で祟りがあったらどうするんだという意見が僅差で優位となった。それはそうだと、ほとんどの者が頷いた。
祟りや呪いに配慮するのは、この時代人の良識である。
そもそも野獣を退治した話など、長い言い伝えの中に一度として登場しない。
ギィは自分の意見を差しはさむつもりはなかった。
そして友人たちが話し合うのを聞きながら、最初にロンガを見つけたあの時、即座に射殺(いころ)したとして、もしも近くに親の野獣が潜んでいたら、俺は今頃ここにはいなかっただろうな、などと考えていた。
やがて、それまで考え込んでいた村人が口を開いた。
「俺たちは野獣についてほとんど何も分かっていないと思わないか?」
ハンという名で、ギィの従兄に当たる年嵩の男である。
「前回の襲撃からすでに五十年以上が経過している。いつまた襲われても不思議じゃないのに、俺たちにできることは、家々の守りを固めることだけだ。俺たちは伝聞によってしか野獣の生態を知らない。」
真剣な表情で耳を傾ける村人たちに、ハンは庭の方を指し示して続けた。
「だが、あのロンガが突然変異の菜食主義だとしても、本当に野獣の仔であるなら、あいつを観察することによって奴らについて多少なりとも知識が得られるのではないか? その知識は、村の防衛に役立つかも知れない・・・俺はそう考えているんだ」
ロンガに不要な干渉はしない。
村人たちが達したのは、そういう結論だった。
ギィはそれが暫定的なものであることを充分認識していたから、皆に礼を述べた後で、こう言い添えた。
「この先、少しでも危険な兆候が見えた時には、必ず俺が始末するよ」
そして心の中で呟いた。その時が来たら、祟りが降りかかるのは俺一人の身の上だけであるよう、皆で祈ってくれ。
夏至の日を割り出すには、星を正しく読めるギィとハン、さらに農作業の暦を作る年配者数名が仕事にあたる。
そして夏至を挟んだ前後の三日間、男たちはそれぞれ得意の武器を手に、交代で夜警を務める。
祭りが夏至の翌々日に定められているのにはそれなりにいくつかの理由があるが、最後の当番に就いた者を休ませるためでもあった。
その年の『夏至の祭り』。ロンガは子供たちの人気者になった。
ギィは以前より数倍丈夫な縄をない、「切らないでくれよ」と話しかけながらロンガのハーネスにして、自身は弓矢を携えた。
ロンガはそれが自分を射るためのものではないと知っていた。
『体裁』というものを、言葉ではなくギィと暮らすことで理解していた。
なんにせよ、ギィは弓の名手である。祭りの場に彼が手ぶらでいたのでは、的当てのゲームが成り立たない。
ギィ一家が祭り広場に到着した途端に、ロンガは小さな子供や娘たちに取り囲まれた。
大型犬ほどに成長したロンガを、誰もが即座に「可愛い」と言い、ためらいもなく近づいた。
ホイップクリームのようなたてがみや胸の飾り毛も、ふっくらした胴回りに太い手足も、穏やかで堂々とした姿も、すべてが好ましく思えた。
丸い顔に丸い目、虹彩は柔らかな初夏の色を反映している。
瞳孔は明るい場所では細く縦長だったが、少女の一人がお祭りの菓子パンを差し出すと大きく丸く広がった。
大きな牙を見せまいとして口をしっかり閉じている様子は、はにかんでいるように見える。
「この子はロンガ。うちの子よ」フアニは誇らしげに言った。「撫でてみたい?」
ロンガが普段にも増して落ち着いていたので、ギィはロバの杭に引き綱を結わえ付け、ユェンとともに大人のグループに挨拶をしに行った。
子供たちの相手をしているロンガを見て、ハンは大笑いしていた。
子供たちは、代わるがわるロンガを撫でたり果物を与えたりして遊んでいたが、そのうちに度を超す者が出てきた。
イエンスの息子でフアニより数か月早くこの世に出てきたシャオが、ロンガの背中に乗ってやろうと思い立ったのである。
しかし背骨に沿った上毛は艶やかな直毛で、その下にねかせた鱗と相まって、何度よじ登ろうとしてもつるりと滑り落ちてしまう。
これを見て、年の割には大柄の男児ウーまでがこの遊びに加わった。
しかしこちらも思い通りには行かず、癇癪を起し始めた。
近くで見ていた少女がたしなめようとしたが、いたずら小僧たちは聞く耳を持たない。
何しろ今日は、多少のことで親から目玉を喰らわされる日ではない。
ついにシャオたちはロンガの頬ひげを引っ張り、角をつかんで顔からよじ登ろうとあがき、足蹴りを始めた。
ロンガはまったく気にせず、小僧たちのやりたいようにさせていた。
しかしフアニは堪りかねた。
「だめ、いじめるの、だめ!」そう叫んで、ロンガを庇うために最善と思える行動をとった。
つまり、かぼそい腕でシャオを力いっぱい押し退けたのである。
そしてロンガの首を抱きしめて宣言した。
「ロンガはフアニの!フアニのロンガよ!」
言い終わるとフアニは泣き出した。
じっと耐えているロンガが不憫でならなかった。
尻もちをついたシャオも、想定外の展開にビックリして泣き出した。
仲間のウーも泣き始め、それを見ていた幼児たちもつられて泣き出した。
子供たちの輪は、あっという間に泣き声の大合唱となり、数人の少女とロンガが手分けして皆をなだめる始末となった。
ロンガはシャオの頬をペロリとなめてやった。
するとロンガの持つ穏やかな波長が子供の心に伝わり、シャオは、自身の名誉をこれ以上貶めずに済ませるには、フアニとロンガに謝る以外の道はないと悟った。
もう悪さはしないと誓うシャオに、フアニはコックリ頷いて、念を押した。
「フアニのロンガよ。優しくするのよ」
ロンガは子供のいたずらなど苦にならない。
ただ、フアニに抱きしめられてその言葉を聞いた時、無上の喜びに包まれるのを感じるのだった。
こうして「フアニのロンガ」は子供たちの友人になった。
そして大人たちは「ギィのとこのロンガ」を益獣と見なすことになったのである。
『夏至の祭り』は楽しい催しであったが、ギィ一家は大人たちのダンスが始まる頃、祭りの広場を後にした。
同様に幼い子供を持つ者たちは皆、子供が疲れてぐずり出す前に家路につくのが習慣だった。
何と言っても子供のための祭りなのだから、日暮れまで踊りを楽しむのは、子育て前の世代と子育てを終えた大人たちに任せておけば良いのだ。
ロンガは幸せだった。
自分は正しい選択をしたのだ。
ロンガは愛のない腹から生まれ落ち、それ故にこそ孤独を恐れたが、自我が形成される頃にはどういうわけかひとり荒れ野をさまよっていた。
深い森を通り抜けようとして疲れ果て、もう何もかも嫌になって泣き始めた時、ギィに出会った。
ギィからは紛れもない人間の男の匂いがした。
そこには勇気と憐みと、いまひとつ捉えどころのない不思議な匂いが入り混じっていたから、ロンガはこの男の決断に自分の命運を任せようと決めたのだ。
ところが、ギィの服の袖や胴のあたりには、この男のものではない匂いが嗅ぎ取れた。
その匂いを追ってギィについて行くと、フアニがいた。
野生のイチゴのような、甘く懐かしい匂いがするフアニ。
まるで自分が現れるのを待っていたかのようにロンガを受け入れたフアニ。
たとえ何があっても、自分は生涯フアニと一緒にいよう。
ロンガはそう思うのだった。
次回へ続く
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前回の続き
数日後の午後おそく、ギィは畑にいた。
雪が降る前にやっておかなければならない仕事がたくさんあった。
日が陰って気温が急激に下がったと感じた時、オオカミの遠吠えを聞いた。
ギィははっとして家の方を見上げた。
家の北側はなだらかな丘が林に続いている。その木立の間から数頭のオオカミが姿を現したところだった。
オオカミたちはおおむね森の中で自足している。
しかし一部のものぐさなオオカミにとっては、牛や羊が呑気に遊んでいる家畜囲いは格好の餌場だった。
村の脅威は、いつやって来るか分からない野獣だけ、というわけではないのである。
ギィ一家の全財産といえば、さほど広くもない畑を除けば、僅(わず)かな羊とそれよりもっと僅かなヤギ、農耕用の牡牛と数頭の牝牛に仔牛、数羽のメンドリ、それだけだ。
とはいえ、先祖を遡れば、それすら持ちえない時期もあった。
税吏たちが頻繁に訪れていた頃のことである。
耕作地というのは働き続ければ痩せる。
天候に恵まれない年もある。
悪運が重なったような年の結果が不作であったとしても、役人たちは春の作付けを基準に算出した納税を要求する。
村人もたまったものではない。
役人たちは持ち帰る作物が少ないと分かると、最も健康そうな家畜を取り立てて行く。
家畜たちは土地を耕し、さかんに有機物を振り撒いて次の季節に希望を繋いでくれるというのに、これはまったく理不尽な話ではある。
ましてや税吏たちのもとを辿れば、たいがいは小さな荘園の倅どもの成り上がりなのだから、ある程度の理解譲歩があっても良さそうなものだが、出世したつもりがこのような僻地に使いに出されてヤケクソになっている。
せめて部下の手前では、強硬な態度を示して威厳を保つのが関の山。
かように無知無学とは恐ろしいものである。
しかし小役人の親方である大役人にとって、それはあながち間違ったやり方でもない。
税制とは、田舎の農民を甘やかすために発明されたわけではないのだから。
いかに優れた王様もしくは女王様がすべての民の幸福を祈ったところで、物事はそれほど単純なものではないのだ。
こうした時代を経て、祖父や父の世代の人々は何とか家畜を殖やし、安定数を確保した。
そして、ひと家族で管理できないほどには増やさない。
それが村の流儀だ。
さて、それはともかくとして、今、銛のような牙を剥いたオオカミたちが貴重な家畜を狙って丘を下りてくる。
ギィは働き過ぎていた。
家畜たちを厩舎に戻す筈の時が、僅かに遅れていた。
働き過ぎて良いことなど、まずはひとつも起こらないのが相場である。
「しまった!」ギィは長い柄の鍬を手に、全速力で走った。
しかしギィが囲いにたどりつくより早く、バタンと木戸を打つ音がして、家の中から野獣の仔が猛烈な勢いで飛び出して来た。
首には短く切れた綱を巻きつかせ、思いもよらぬ速さで草地を駆け抜け、オオカミと家畜の間に立った。
そしてオオカミたちに向かって低くうなり、尻尾を膨らませた。
オオカミたちは躊躇した。
目の前にいるのは奇妙な丸っこいチビ助。
まさか、俺たちとやり合うつもりでいるのか?
オオカミたちは顔を見合わせた。こいつが? バカバカしい!
フン、と鼻で笑い、先頭のオオカミがさらに前進した。
その瞬間、野獣の仔は全身の毛を逆立て、後ろ足で立ち上がった。
盛り上がった背中からは隠し持っていた鱗がめりめりと隆起し、獰猛に輝く両の眼でオオカミを見据える。
その姿は二倍にも三倍にも大きくなったように思われた。
高くかざした前腕の先で、半月刀のような鋭い鉤爪がぎらりと光る。
突然の変異にたじろぐオオカミの群れ。
そこへさらに真っ赤な口を、くわ、と開け、オオカミなどただの一咬みで殺せると言わんばかりに恐ろしげな牙を見せつけ、じつに不吉な「シャーッ!」という威嚇音を発した。
オオカミたちは恐れおののき、キャンキャンと悲鳴を上げながら尻尾を巻いて逃げ去った。
その光景を前に、ギィは唖然として立ち尽くした。
野獣の仔は深追いをしなかった。林の手前に立ち止まり、たてがみに覆われた頭部を振り立て、いま一度「シャーッ!」と吠えた。
しかし、仕切り直して戦ってやろうと考えるオオカミはついぞ現れなかった。
やがて野獣の仔はゆっくりと丘を下りた。
家畜囲いのあたりまで来た頃には、もうすっかり、もとの姿に戻っていた。
そして、心の中に残る勢いを持て余したのだろうか、決然として囲いの横木をくぐると、せっせと家畜たちを追い立て始めた。
羊もヤギも、先程までの野獣の仔の姿に恐慌をきたすことなく、素直にそれぞれの小屋に入って行く。
愚鈍なふりをして言うことを聞こうとしない牝牛には、軽くうなって従わせた。
その後ろをメンドリたちがいそいそとついて行く。
もはや日が暮れようという時間であった。
ギィは野獣の仔とともに家畜小屋の戸締りを確かめた。
すべての作業を終えると、野獣の仔の首に巻きついた綱を解いてやることにした。
切れ端を見ると、ナイフを用いたかのようにすっぱりと切断されている。
鉤爪を用いたに違いなかった。
ギィはかつて味わったことのない感慨をおぼえた。
切ろうと思えばいつでも切れたであろう。
つないでおく意味など、始めからなかったのだ。
家の前では、妻と娘が不安な面持ちで待っている。
野獣の仔はまっすぐにフアニのもとに駆け戻った。
小さなフアニはその短い腕で野獣の仔を抱きしめた。
ギィは笑いながら言った。
「こいつはまったく勇敢(ロンガン)だな」
それを聞いたフアニは、輝くような笑顔を浮かばせて言った。
「ロンガ・・・? ロンガ。おまえはロンガよ、ロンガ!」
野獣の仔は返事の代わりか、幸せそうに喉を鳴らした。
ロンガとは、この地方特有の言語で『勇敢』を意味するところのものを、さらに幼児言葉に簡略化したものである。
ともあれこの日から、野獣の仔はロンガという名前を得たのだった。
フアニとロンガは、ともに成長した。
冬の間も、ロンガは家畜の用心を怠らなかった。
春の兆しが見える頃には、家畜たちを取り仕切るのがもはや日課となっていた。
しかし最も大切な仕事は、小さなフアニに仕えることである。
フアニが呼べば、ロンガは必ず駆け戻る。
ロンガはフアニの足もとで食べ、フアニの足もとで眠った。
フアニとロンガは、この世にまたとない友人同士となった。
次回へ続く
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