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2015年11月27日(金) 

   将来、世界はイスラム教社会になってしまうか、自然を征服しようとして行き詰まったキリスト教の西欧文明に、自然との共存する日本の森の思想が取って代わるか。サテ…。

 

     …………

 

   エコノミスト竹内宏に「経済学の忘れもの」という著作があります。    経済の本なのに宗教観に溢れています。世界の多くの宗教について自論を展開し、経済に結びつけています。通説なのか彼独自の異説なのかは知りませんが、それなりに面白いです。

   ………

 

   巻帯の記載は「キリスト教文明を軸に世界制覇を狙うアメリカ。儒教・陰陽思想で膨張する中国。原点復帰を模索するイスラム諸国。 ――世界は新しい秩序に向かっている。日本だけが取り残される!」

 

   長い歴史を持つ民族はそれぞれ強力な宗教を持つ。そうして宗教は経済力の源泉にもなる。

 

   世界において信者の多いのはキリスト教、儒教、イスラム教である。そうして、歴史の長い民族は強い宗教をもっており、それにより文化の統一を保ってきた。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教などが特にそうである。

 

   攻撃的なキリスト教。キリスト教では無条件に信仰すれば、修業や善行を積まなくても必ず救済される。 プロテスタントは伝統的なキリスト教に反撥した人達であり、神の摂理を研究しようとした。これが科学の進歩に寄与し、産業革命に繋がる。

 

   中国;儒教と陰陽思想を取り上げているが、あまり強調されてはいない。

 

   儒教は現世の生き方しか教えていない。個人は連綿と続く大家族に帰属し、仁と愛が尊ばれる。愛とは云ってもキリスト教の博愛主義とは全く異なる。親しい間にある人ほど深く愛さなければならない。 また陰陽の思想では物事には両面があることが認識され、一方に決めつけることはせず、清濁併せのむことが重要。これも黒白を明確にするキリスト教とは異なる。

 

   イスラム教;神が全て。戒律がなぜ必要か…といような疑問を抱くことは許されない。 そこでは宗教共同体を作ることが本質であり、同じ生活パターンを営む。宗教は生活そのもの。その中では不安や恐怖はなく、死後は幸せな世界が待っている。戒律は永遠に不変。

 

   自由な思想や生活はアラーを信じないことになる。宗教が理性の働きを禁じている。堕落したヨーロッパ文化を軽蔑。 信仰により近代化や欧米化に伴う軽薄な物質文明や人間的な堕落を避けることが出来る。貧しくても心が豊か。

 

   出生率が高く、数十年で人口が倍になる。→ヨーロッパがイスラム化されるだろう。現在すでに人口が増加している。

 

   日本はイエ(家;多分)宗教集団だと云う。

 

   種々の穏やかな仏教が混在し、仏と神は対立しない。多神教。 かっては、内部には幕府の権限が及ばない「藩」という疑似国家に属し、藩と共に生き、藩主のために死んだ。藩主は武士と共に藩を豊かにするために各種の産業を起こし、農民などは豊かになった。 明治維新でイエ制度は近代化され、天皇を家長とするイエ国家を作った。それにより日本は大工業国となった。戦後はサラリーマンは会社というイエに属し、これが成功して世界の1~2位を争う国になった。成熟しきった現在以後、イエ宗教はよわまってしまった。日本の先行きは?

   ………

 

   彼のいう「イエ」宗教は統治システムであって宗教ではないのではないか。 イスラム教を賛美している訳ではなさそうだが、現状をベースにした予測としてイスラムの拡大は私にも理解できそうに思えます、そのような世にはなってほしくはないが。インドネシア程度のイスラム教なら歓迎してもいいとは思います。

 

   梅原猛の「人類哲学序説」に記載された「森の思想」の方が日本の宗教と云えそうな気が私はしています。

 

    ………

 

   キリスト教を基本とする西欧近代文明は人間中心的な考え方であり、自然を征服しようとするものである。その大量消費文明は欲望文明である。地球温暖化、核エネルギーなど環境破壊により人類の生存の危機を招きつつある。動物には残酷な文明でありいずれ行き詰まる。

 

   日本には縄文の時代から維持されている森の思想がある。真言宗では「草木国土悉皆皆成仏」と表現。人間だけではなく動物、草木、国土すべて同等に成仏する。かれらは仲間である。著者は日本の文化はこれで説明可能であることを丁寧に説いている。

 

   プラトン、アリストテレス、ソクラテス、デカルト、ニーチェ、ハイデガー…の西欧の思想の流れではこのような思想は出てこない。

 

   現在、自然エネルギーの開発が不可欠になっている。地熱・火力・水力・風力。これに太陽の空を加えると空海の「地水火風空」の思想となる。

 

   ………

 

   私の印象;森の思想により現在の問題がどう解決されるのか…について、具体的な筋道は示されてはいない。 竹内宏は日本の現状では希望が持てない…と考えているようですし、梅原猛は日本の思想にこそ未来への展望がある…と見ているようです。

 

   イスラムと森の思想、どちらが今後の世界を支配するのでしょう。それともこの二者以外の思想もしくは宗教が支配するのだろうか?

 

   日本の現在の文明やシステムを維持するためには今考えられている少子化対策なんて役に立たないように思います。少子化傾向を逆転させるか、少なくとも停止させることが必要です。出産率1.8なんて目標が低すぎる。その1.8も簡単には達成しそうにはないようですが頑張って達成させてもらわないと困る。

 

   中国を見ていれば数こそが力だ…と云う気がします。日本政府も日本の人々もそのことを本気で考えていそうにないのが悲しいです。

 

   日本人(大和民族)を維持する必要があるのか…と聞かれたら私も答えられませんが、一つの民族が消えて行く…なんて何となく侘しいではありませんか。

 

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閲覧数345 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2015/11/27 09:01
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