上毛新聞 2013年1月1日付 朝刊(共同) 【笑顔の絆 人間の得意技】 動物は“笑う”の? ステキな笑顔を見つけに もしテストで「動物は笑いますか」という問題が出たら答えは? 正解は「笑う」。なぜなら、人間も動物だから。では、人間以外の犬や牛などの動物は? 出会えたら幸せな気持ちになるステキな笑顔について考え、答えをさがしてみよう。 千葉県鴨川市の水族館「鴨川シーワールド」では、アシカのショーが大人気だ。ボールなどを使った演技の後、お客さんの前でアシカが口角(口のはし)を上げ“にんまり”した。本当に笑っているの? 飼育員の杉下範洋さん(30)に聞くと「アシカは笑いません」とキッパリ。この顔は訓練で出来るようになったそうだ。 アシカのひげは敏感で、さわると口角が上がる。そのとき、えさをわたす。これをくり返すと、ひげをさわらなくても、指示するだけで口角を上げるようになるという。 「この顔をすると百パーセント、お客さんは笑います」と杉下さん。笑顔は伝染するのだ。 写真集で「クスッ」 動物の写真をとるカメラマンの松原卓二さん(47)は、昨年春に「笑顔のどうぶつ園」という写真集を作った。クスッと笑ってしまう、楽しい顔の動物がいっぱいだ。 東日本大震災の後、「世の中を明るくできれば」と考えた。笑ったような動物の顔をとるのは大変で「一日中、撮影しても、1,2枚しかとれない」と言う。 写真集の動物は「たぶん笑っていない」と松原さん。「見る人間の側が、笑っているように感じているだけです。動物が笑っているように思えるのも、人間のすばらしい能力でしょう」 笑うチンパンジー 人間以外に笑う動物はいないのか。京都大霊長類研究所の松澤哲郎さ(62)は「チンパンジーは笑います」と言う。 人間にとても近いチンパンジーは、遊んでいるときに声を立てて笑い、リラックスしたときなどには、ほほ笑むこともあるそうだ。ただ、テレビのバラエティー番組に出るチンパンジーの“笑い顔”は「本当は泣きっつらで、笑っていない。芸であの顔をさせているだけ」。 松沢さんによると、チンパンジーは人間のように思い出し笑いをしたり、ずっこけた人を見て笑ったりはしない。つまり、人間には「想像する力」があるから、思い出し笑いをするし、テレビを見て笑うというのだ。 でも、どうして人間はそんなに笑うの? 松沢さんは「笑いのたえない家庭を想像してみて」と話す。ともに生きる者同士がいっしょに笑い、ほほ笑み合う。それってステキだよね。「笑うことで、つながる世界がある。笑顔は人と人の絆を強めているのです」 〈読者投稿〉 人間の笑顔は素晴らしいものだと思います。笑顔を分かち合ったり、元気を与えたり、優しい気持ちになることができます。この記事を読むと、笑顔は人間にしかない特別な宝物のように感じ、とても誇らしくなりました。 「犬や猫の動物は笑っていない。チンパンジーは笑うが、人間のように思い出し笑いをしたり、人を見て笑いはしない」。この文を読んで驚きました。しかし、人間は動物が口角を上げているだけで、「笑ってる!」と感じ、連れられて笑顔になることができます。笑顔をもらっているような、心が温かい気持ちになります。それは人間だけに与えられた貴重な能力だと感じました。この能力のおかげで、人間は支え合い、人を幸せにし、一緒にふざけ合ったりできるのだと幸せに思いました。笑顔がなかったら成長できないです。 これから私は、この素敵な笑顔を大切にしたいです。笑顔で築き上げる絆、そして幸せをかみしめることができた記事です。 荒井久美さん 16歳 群馬県 × × 誤字脱字写し間違いあります。 |