まだ残暑の暑さが残る9月頃からよく茂った草の中で「リュリュリュリュ」と澄んだ単調な鳴き声が聞こえていましたが、秋風が吹いて夜の外出は半そででは少し寒くなってきた最近は一層熱がこもってきました。鳴き声を頼りに姿を探してもなかなか見つかりません。
ほっそりした体のカンタンはシャイで、葉の上にはなかなか姿をあらわしません。透き通った二枚の前翅を垂直に立てて鳴くときも葉の穴から顔を出して鳴いています。ご存知のように鳴くのはオスで、この声はメスを呼ぶためです。なかなか素敵な声の持ち主ですがこの虫はもう一つメスにモテるための奥の手も持っています。背中に立てられた翅の付け根にその名も「誘惑腺」というメスが好む物質を出す器官があります。
音楽によって引き寄せられたメスは、オスの背中にのぼりここから分泌された物質をなめます。この間にオスは下から腹の先を伸ばして交尾をします。もう「加齢臭」しか出ない60男は、背中の翅を立てて鳴く姿を見てがんばれよと今夜も声をかけます。