準備と意識は似ている。野球という競技が他のスポーツと少し違うのは、プレーの最中に「間」が多いことだ。それだけ考える時間があり、準備をする時間がある。どれだけ意識して準備できるかが、結果を左右するわけだ。 意識を変えるためにはどうすればいいのか。凡打が続いたり、エラーをしたりと結果が出ない時に心がけていたのは、「できることをきちんとやる」ということだった。 野球だったら、基本に立ち返ること。まずは元気に声を出す。守備なら味方の カバーリングを欠かさない。攻守交代をなるべくスピーディーに行う。誰でもできることを本気で取り組むのだ。 「そんな簡単なこと」と思われる方も多いと思うが、確実にできることから準備を重ねていくしかない。そこが乱れてしまっては、一時的にやり方を変えてうまくいったところで、身につかないからだ。 例えばビジネスパーソンだったら、出社の30分前に会社に着く。部署に入った時は大きな声で挨拶することから始めればいい。営業だったら、契約をとれないこともあると思うが、それなら「今日は得意先を○か所回ろう」とできることから始める。そして、「何が悪かったんだろう」「何を変えればいいだろう」と考え続けることだ。 レギュラーになれる選手とそうでない選手の間には大きな違いがあると思っていた。それは、失敗への対処の仕方だ。レギュラーになれない選手は、自分のスタイルにこだわるあまり、変わることができない。成功体験が少ないから、過去の一回の成功にこだわって変化を恐れてしまうのだ。失敗は運がなかっただけかもしれないが、失敗を認めなければ成長は止まってしまう。失敗を認めて初めて、矢印は自分に向かう。失敗を取り返せるのは自分しかないのだから。 ベテランと呼ばれるような年齢になっても、試合での不安や緊張感から解放されることはなかった。開幕戦では毎年、打席で足が震えていた。 でも、そのプレッシャーがあるから、準備を入念にしようと思える。できる限りの準備をして、それでも結果が出なかったらまた「準備が足りなかった」と思うことができる。自分に満足してしまった時点で、成長は止まってしまうのだ。 × × 誤字脱字写し間違いあります。 |