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2009年10月25日(日) 

去年、はじめて「ちっちゃな文化展」に行ったとき、正直いえばその良さがよくわからなかった。遠州横須賀街道を東から西へ歩き、でも興味のあるものには出会えず、それは人混みが苦手で急ぎ足で歩いたからか、ちゃんと見ていなかったからか、それとも私にはわからない世界なのか、少し取り残されたような気持ちになったことを覚えている。

今年は初日、金曜日に訪れた。平日のこともあり、人はまだまばらだった。



最初に気になったのは、道具の写真を飾ってある古い倉庫だった。全部、同じフレーミングで撮影してある。しんと静まり返った印象なのに、一枚一枚に物語を感じるような、そんな雰囲気の写真だった。
店にいた女性に聞くと、こんな話をしてくれた。
「この倉庫を紹介してもらったとき、道具や品物があちこちに散らばっていた。隣に住む、倉庫の持ち主のおばさんから話を聞くと、一つ一つ、思い出があるものばかりと知った。これら一つ一つに、光を当てたいと思った」
倉庫は昭和9年に建てられている。

新しい民家の前では、作家と家主と思われる男性が話をしていた。
「この掃きだし口を開ければ、もっと見やすくなるんじゃない?」
道に面した部屋の障子が閉まっているため、玄関から入らなくては作品が見られないようになっていた。
「障子を開けると、光が入ってしまうんですよ。漆は、日の光に弱いですから」
「南側の部屋は、日当たりがよくなるように設計してあるからねえ」
「当たり前ですよねえ…」
民家を借りるということは、こういうことなのだ。漆作家と家主の会話は、何だかとても、微笑ましかった。

道のあちこちで、開け放たれた家々で、そして家の軒先で、まちの人、作家、訪れる人が会話をしている。知り合い同士だけでなく、はじめて同士も、途中から会話に加わる人も、混在一帯となって。



道の脇にランドセルを背負った女の子が二人、座っていた。通りかかった年配の女性が声をかけている。
「疲れちゃったの? おうち近くなんでしょ。もう少しだよ。がんばりな」
「うん、すぐそこだから」
女の子たちは元気に立ち上がると、女性に「バイバイ」と手を振り、かけていった。

茶箱職人鈴木清吉さんの話を聞きたいと思っていた。アポイントなしである。でも、店に入り、声をかけ、奥の作業場に入れてもらうと、すでに観光客らしいご夫婦が鈴木さんと話をしていた。私も話に加わらせてもらう。そしていろいろな話を聞くことができた。仕事をしている写真も、撮らせていただいた。

 

掛川あたりではそうでもないが、たぶん都市圏では、まちの中で声を掛け合うということが難しくなっている。
「知らない人から声をかけられたら逃げなさい」
そう教えられる現代社会の中で、知り合い以外の人と、まちの中で声を掛け合うことは非常に難しい。買い物さえ、ひと言も発せずとも、ものが買えてしまう時代なのだ。



ここには、昔は当たり前だったまちの中のコミュニケーションがある。声を掛け、声を掛けられ、声を掛け合う当たり前の人と人とのつながりがある。
知らない人に声を掛けることに、戸惑ったりしなくていいのだ。
まちのサイズ、道の幅がそれを可能にしている。

人は遠州横須賀の町並みだけでなく、そんな、人と人の当たり前のつながりを求めて、この「ちっちゃな文化展」に訪れるのかもしれない。
去年、私がわからなかったのは、町並みを通り過ぎるだけで誰とも話をしなかったからかもしれない、とふと思った。



閲覧数909 カテゴリ日記 コメント2 投稿日時2009/10/25 15:25
公開範囲外部公開
コメント(2)
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  • 2009/10/25 16:10
    ちゆきさん
     こんにちは。

     自分が行けないので、K住さんの文章で疑似体験させて頂いております。


    P.S.昨日はありがとうございました
    次項有
  • 2009/10/26 15:23
     私は今年から横須賀の催事に関わっていますが、ここは結束力があるというのが強く感じます。それは文化展を訪れた人には伝わるんです。
    次項有
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