>浜矩子「『実物インフレ+賃金デフレ』の日本 原因は弱すぎる労働パワー」 >3 時間前 > 経済学者で同志社大学大学院教授の浜矩子さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。 >時事問題に、経済学的視点で切り込みます。 >* * * > かつて「英国病」という言葉があった。 >その種をまいたのが、戦後初の政権となった労働党アトリー政権だった。 >基幹産業を国有化し、大型公共事業で需要を作り出し、「無駄な競争」を排除する。 >これがアトリー構想だった。 > ところが、この構想は完全に裏目に出た。 >現出したのは、非効率と低生産性とあまりにも強すぎる労働組合の存在だった。 >この構図の下で、国有企業は慢性的な過剰生産状態に陥った。 >彼らが生み出すものには競争力がない。 >だから、輸出は減って輸入が伸びて対外収支が赤字化し、ポンド安が進む。 > こんな体たらくだったのに、組合パワーが強過ぎるから、生産調整も賃金抑制も起こらない。
彼等の社会は階級社会ですからね。労働者は強く団結しますね。
>賃金は抑制されるどころか、組合の要求通りに上昇する。 >すると、それに見合って国有企業は値上げする。 >この値上げが次の賃金上昇をもたらす。 >かくして低成長下の高インフレが常態化した。 >この状態から英国が脱却するには、剛腕鉄血宰相、マーガレット・サッチャーの登場を待たなければならなかった。 > 今、英国病になぞらえて「日本病」というものについて考えてみれば、どんなイメージになるか。 >それはどうも、「実物インフレ+賃金デフレ」ということになりそうだ。 >「モノインフレ+ヒトデフレ」と言い換えてもいいだろう。 >英国病においては、強すぎる労働パワーが病状深化につながった。 >これに対して、日本病の一つの大きな病因は、弱すぎる労働パワーだ。
そうですね。日本人は縦社会を作っていますね。労働者の帰属意識は会社の頂点にまで届いていますね。労働者にとって会社は大切です。
> 今年の春闘では高い賃上げが実現するという見通しもある。 >だが、この見通しが実現するにしても、それは多分に一握りの強者企業の対応によるものとなるだろう。 >賃上げ倒産を恐れて、戦々恐々となっている中小零細企業は少なくない。 >それが解っている労働者たちは、強気の声など上げられない。 > 労働パワーを弱めているものは何か。 >それは分断であり、孤立である。
労働者想いは会社の頂点にまで届いている。臣民は統合の象徴である天皇についている。日本人に序列メンタリティは避けられない。
>働く人々は、ともすれば、独りぼっちになりがちだ。
我が国の労働者は非国民・外人にされたら大変である。あくまでも帝国の臣民でありたい。一億総玉砕も考えられる。
>組合幹部が労働貴族化して肩で風を切るのも、問題だ。 >だが、孤独な労働者ほど、哀しく弱い存在はない。 >日本病から脱却するには、働く人々の新たな団結への道が開かれる必要がある。
日本語には階称 (言葉遣い: hierarchy) というものがある。だから日本語を発想する場合には、‘上と見るか・下と見るか’ の世俗的な判断が欠かせない。上下判断 (序列判断) には、通常、勝負の成績が用いられる。近年では偏差値なども都合の良い資料として利用されている。だから難関出身者たちが社会で幅を利かせている。わが国が学歴社会であるというのも、実は序列社会の言い換えに過ぎない。だから、わが国の学歴社会は学問の発展には何ら貢献していないことを知っている必要がある。 順位の比較は没個性的でなくてはならない。だから、序列競争の励みは個性の育成にはならない。
日本人の礼儀作法も、序列作法に基づいている。だから、序列社会の外に出たら序列なきところに礼儀なしになる。礼儀正しい日本人になる為には、世俗的な序列順位を心得ている必要がある。'人を見損なってはいけない' という想いが強迫観念の域に達していて、人々は堅ぐるしい日常生活を送っている。こうした観念は天皇制・家元制度・やくざの一家の構造にまでつながっている。
日本人は序列の存在を知れば、それが一も二も無く貴いものであると信ずる共通の序列メンタリティを有している。その程度は序列信仰の域に達している。日本人の尊敬は、序列社会の序列順位の単なる表現に過ぎないため、個人的精神的には意味がない。下々の衆は上々の衆の祟り (仕返し) を恐れて神妙にしている。上々が無哲学・能天気である事については、下々にとって何ら気になることではない。だから、日本人の尊敬には浅薄さが付きまとう。
日本人の政治家にも、政治哲学がない人が多い。だから、我々の未来社会の有様を相手に言って聞かせる術がない。それは非現実 (考え) の内容を盛り込むための構文が日本語に存在しないからである。序列人間は人間の序列を作っていて、上位の者 (先輩) と下位の者 (後輩) の間に自分を差し挟むことにより自分たちの存在をウチソト意識として確認し合っている。だから、自己の所属する序列に並々ならぬ帰属意識を持っていて義理 (序列関係から生じる義務) を果たすことに懸命になる。そして、定刻通りに帰宅しないなど義理の仕事にやりがいを感じている。無哲学と序列メンタリティの相乗作用により派閥政治は無くならない。周囲の序列仲間が自分たちの序列に対する貢献度を評価する。これにより自己の順位は上昇する可能性がある。それが日本人の人生における楽しみである。だが正一位の獲得は難しい。
>※AERA 2023年2月20日号
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