家で勉強している様子を見ていると、音楽をかけながら机に向かっていること、ありませんか? 本人は「音楽があると集中できる」「気分が乗る」と言うかもしれません。実際、そう感じている中高生は多いです。 かく言う私も、かつては“音楽を聴きながら派”でした。大学受験の時はiPad、さらにその前はMDプレーヤーが手放せず、好きな曲を流しながら問題集に取り組んでいました。 ところが最近、そんなやり方が真っ向から否定される研究結果が出そろってきています。 つまり、「音楽を聴きながらの勉強=逆効果」。 これが、今の脳科学や心理学の共通認識になりつつあるのです。 ■歌詞ありの音楽は、脳の処理を分散させる ロンドン大学の研究では、歌詞のある音楽を聴きながら読書や暗記をすると、記憶の定着率が明らかに下がるという結果が出ています。 理由は単純で、脳が「勉強内容」と「音楽の歌詞」の両方を同時に処理しようとして、パンク状態になるからです。 その結果、集中力が削がれ、理解も記憶も浅くなる。まさに“集中してるつもり”になっているだけです。 気分は上がっているかもしれません。でもそれは「楽しい」だけで、「覚えている」や「理解できている」とは別の話です。 ■自然音だけは、例外になりうる ただし、音がすべてNGというわけではありません。 川の流れる音、風の音、鳥の声といった“自然音”は、集中を助けてくれることもあります。 スウェーデンの研究では、自然音が流れる中で作業した人のほうが、ストレスが少なく、集中力も長く保たれたという結果が出ています。 「無音が落ち着かない」というタイプには、自然音を軽く流すくらいがちょうどいいかもしれません。 ■音楽を“本番中”に流すのはNG。“スタート前”ならOK 音楽がまったく役に立たないわけではありません。 むしろ、勉強に取りかかる前に音楽を聴いて気分を整えるのは効果的です。 ポイントは、「使うタイミング」です。 本格的に勉強を始めるときには、音楽は止める。それだけで集中の質は劇的に変わります。 音楽は、あくまで“気持ちの準備”に使うもの。 集中力が必要な時間には、静けさこそが最高のパートナーです。 ■スマホ&テレビの“ながら勉強”は集中の敵 ついでにもう一つ、見落とされがちなポイントがあります。 それが「スマホ」や「テレビ」を見ながらの“ながら勉強”。 スタンフォード大学の研究では、人の脳は複数のことを同時に処理するのがとても苦手であることが示されています。 通知を見ながら、テレビをつけっぱなしにしながらでは、脳のパフォーマンスは確実に落ちます。 「勉強しているように見えて、まったく頭に入っていない」──そんな事態を招きやすいのがこの“ながら学習”です。 ■結論:「音」を味方にできるかどうかが、学習効率を左右する 勉強がうまくいくかどうかは、やる気や才能だけではありません。 「環境」──“音の扱い方”が、集中力と成果を大きく左右します。 勉強中は、できるだけ無音。自然音はOK 音楽は、勉強前の気分を整えるために短く使う 勉強が始まったら音楽は止める スマホやテレビを見ながらの勉強は避ける そして、この記事のいちばんのポイントがここです。 |