東北に一週間行ってきました。自分の覚書としてレポートを書きました。かなり長いです。長文が苦にならないようでしたら、お付き合いください。(*´∀`*)東北に一度は行かなければ――。震災後、ずっと思っていた。でも自分が行くことは自分の気持ちを納得させるだけのものなのではないのか。そんな葛藤を抱えつつ、東北に一週間行ってきた。自然の美しさも、力も、人がつくり出す美しい風景もそうでないものも、いろんなものを見てきた。行先も宿泊先も決めない旅。決まっているのはちょうど一週間後、帰らなくてはいけないということだけ。東北道で青森まで一気に行くつもりだったが、山形の庄内が見たかったので先に日本海側にまわることにした。福島から、山形、秋田、青森、岩手、宮城とまわり、帰りは都内へ向かう東北道が混んでいると聞き、そこから再び日本海側へ。新潟から長野に抜け静岡に戻ってきた。走行距離3500キロの旅となった。今回の旅のルート山形の庄内地方は、藤沢周平の描く「海坂藩」のモデルとされる場所である。広い大地に一面の田んぼの風景。田んぼのあぜ道や橋や川べりに、私の好きな登場人物たちが佇んでいそうな、そんな風景。久しぶりに『風の果て』が読みたくなった。秋田では、阿仁川の支流で釣りをした。渓流を釣り上がっていくと、大いなる自然の中に自分は入らせてもらっているのだという感覚がわいてくる。川の力、水の力を直に感じる。水はきれいで力強く、そして無慈悲でもあるのだなあと改めて思う。45センチのイワナを見た。最初のうち怖かった魚も、最近ではだいぶ触れるようになってきた。生きているものの、その命の重みと躍動感を手に感じる。打当温泉ではマタギ資料館に立ち寄った。数日前、ちょうどテレビでマタギの兄弟のドキュメンタリーを見たばかりだったので、とても興味があった。マタギが信じる山の神は、ヤキモチ焼きであまり美しくない、男性が大好きな女性の神様だという。だからマタギは細心の注意を払って山に入る。水ごりをして女性の臭いを消す。留守を預かる女性たちは、髪を結んだり化粧をすることを控える。オコゼの干物を持って山に入る。自分より醜いものが来たと、神様が喜ぶからだ。なぜ「マタギ」というのか、①マダ(シナノキ)の樹皮をはぐマダハギから②山に住む鬼より強い「又鬼」から③山をまたぐ、から④アイヌ語のマタウンパ(雪山で狩りをする人)からなど、さまざまな説があるという。志茂田景樹の『黄色い牙』が読みたくなった。一日目の宿泊は森吉山でキャンプ、二日目は阿仁川の支流でキャンプ。ずっとキャンプなら節約になるなあ、などと気軽に考えていたのだが、東北はこの時期、オロロと呼ばれるメジロアブが大発生する、ということを後で知った。二日目のキャンプは全くすごかった。凄まじいメジロアブの数。人の周りをブンブン飛び回る。テントの中に逃げ込んでも入ってくる。最初は怖がっていたけれど、だんだんそんなことも言ってられなくなり、そのうちテッシュでなら掴めるようになった。どんどんつまんで握りつぶす。私もワイルドになったものだと実感する。そんなこんなで、さすがに三日目は青森市内のビジネスホテルに泊まった。ついでなので、青森駅近くの居酒屋で郷土料理をいただく。ぜんぜん節約にならないと反省しつつも、美味しいお料理とお酒はいいなあとしみじみ思う。青森では津軽半島と下北半島をぐるっとまわった。津軽半島の竜飛崎では、やっぱり「津軽海峡冬景色」を口ずさむ。下北半島、本州最北端の大間にも行った。曇っていて北海道は見えなかった。「ここが本州最北端なんだ、ここまで来たんだなあ」としんみり感慨にふけろうとしたが、道の向こうがすぐ観光客用の店が立ち並んでおり、マグロを焼くいい匂い。「気もそぞろ」というのはこういうことだと実感、感慨にふけるどころではなかった。観光地と呼ばれるところは、どこもこうなってしまうのかと、少しさみしい気持ちもした。秋田では、生業が、基幹産業そのものが、風景を作り出していた。美しい田んぼの風景。観光客を迎え入れる過度な看板はなく、静かに、当たり前に、自分たちの暮らしの結果がそのまま風景となっていた。まちづくりに関わる仕事をしていると、「交流人口を増やす」とか当然のことのように耳にするけれど、それってどうなのだろうと、はじめて思った。下北半島では恐山にも立ち寄った。立ちこめる硫黄の匂いと荒涼たる風景。死者の霊が訪れるとか、この世とあの世の境ともいわれ、ファンタジー小説好きにはたまらない場所である。実際自分がこの場所に立ってみて、自然に対してなのか人知を越えたものに対してなのかわからないが、「畏れ」「畏敬」という感情を抱いていることに気づいた。非常に静かな、神妙な気持ちになった。 〈後編〉へ続く※レポートを書いていたら原稿用紙10枚分にもなってしまったので、2回に分けます。この先、六ヶ所村を通り、そして被災地へ。混浴露天風呂のエピソードなどもあります。楽しみにしていただけると嬉しいです。(#^.^#)