女子フィギュアも終わり一段落した感もある冬季五輪ですが、この期間中の報道には、ほとほとうんざりさせられました。とりわけ女子フィギュアの報道ではその感を強くしました。

日本人という枠を外して見た場合、今の力では明らかにヨナ選手の実力が上である、ということは多くの人が感じているのではないでしょうか？　浅田選手の滑りよりもスピードもキレもあって見ていて小気味いいのは認めざるを得ないでしょう。事実、演技評価の加点がヨナ選手の方が圧倒的に高かったことがそれを証明しています。

ところが、日本の報道ではそういう都合の悪い事実には決して触れず、ヨナ選手が練習で何回転倒しただ、浅田選手は練習で何回飛んで何回成功したから好調だの、挙句の果てはフリーの基礎点は浅田選手の方が上で、演技評価点の加算で逆転できる（ＳＰの評価を見ればどちらの演技評価点の方が高くなるか素人でも想像がつくというのに）など都合のよい予測を並びたてて垂れ流ししている様子には、呆れるしかありませんでした。

サッカーのワールドカップなどでも言えることですが、自国の実力を省みず、希望的観測を並べ立てて、とても無理としか思えない結果を望む、という風潮が目に付きます。

世界大会に出場する自国選手を応援するのは結構ですが、自分たちに都合のよいことばかり言っていると、本当の実力が見えなくなってしまい、ものの本質を見誤ることになります。

スポーツは戦争とは違うから夢見る報道でもいい、という論調もあるのかもしれませんが、美しいものを美しい、素晴らしいものを素晴らしいと伝えられない報道のあり方には疑問を感じずにはいられません。