中国新聞 2012年11月25日付 朝刊 【J1で初優勝した サンフレッチェ広島の監督 森保一(もりやすはじめ)さん(44)】 〈気配り上手一体感育む〉 「皆さんのおかげで、われわれは日本一になりました。おめでとうございます」。紫に染まったスタンドに向かって、顔をくしゃくしゃにしながら絶叫した。細やかな気配りでチームをまとめ上げ、新人監督は頂点に立った。 優勝の原動力になった団結力。「宝物」と呼ぶ選手はもちろん、関係する全ての人を大切にする。例えば練習後、恒例となった光景がある。監督以下、コーチ、マネージャー、通訳、用具係が参加するミニゲーム。「新しい人もいるし、コミュニケーションの助けになれば」と、1月の始動時に自ら提案した。 裏方の仕事への目配りも忘れない。後片付けをする用具担当に「手伝おうか」と声を掛けたのは一度や二度ではない。「僕たちの仕事までちゃんと見てくれる監督はいなかった」。現場の一体感が育まれる、大きな力となった。 監督自身は常に自然体を心掛ける。「人への態度が変わったり、横柄になったりすると、もう一人の自分に怒られるから」。客観的に自分を見つめられるのは生来の性格に加え、現役時代に攻守全体を見渡すボランチだった影響だろう。 23日の練習後、車でスタジアムを出ると、サポーターの列に迎えられた。わざわざ車から降り、深々と頭を下げた。「支えてくれる人のために」。現役時代から原動力としてきた思いが、最高の形で結実した。妻と3男。広島市南区在住。長崎県出身。 (日野淳太朗) 〈読者投稿〉 幼い頃からの夢が実現して、感激した。生まれ育った地元広島のサンフレッチェが初優勝して、広島のみんなが一喜一憂した。 昨シーズンのサンフレッチェ広島は前評判が悪く、最下位になると予想している解説者もいたぐらいだ。しかし、サンフレッチェ広島の快進撃は、シーズン最後まで続き、見事念願の初優勝を勝ち取った。 私は、優勝の翌日、このハッピーニュースに出会った。就任1年目で、チームを日本一に導いた森保監督の記事だ。監督は、誰よりも先にグランドへ行き、最後まで練習を見届けるそうだ。ここにサンフレッチェ優勝の秘密が隠されていると思い、涙が出てきた。 「人を大切にし、心によりそう」監督の人柄が優勝の原動力となったのだろう。 私は小学校で教師をしている。子どもたちの心によりそい、一人一人を大切にして、ともに成長していけるようにしていきたい。 長谷川哲也さん 27歳 広島県 × × 誤字脱字写し間違いあります。 |