>人はなぜ、明らかに間違っている方向になびいてしまうのか? 我々を思考停止に導く同調圧力 >社会 公開日:2014/3/3 (略) >『考えてるつもり―「状況」に流されまくる人たちの心理学』(サム・サマーズ:著、江口泰子:訳/ダイヤモンド社) > 人間性に対する私たちの直感の多くが間違っている、と指摘されたら、あなたは「いや、そんなことはない」と強く反論できるだろうか? > たとえば、ゴーストライター事件の佐村河内守氏の一件。>CDの出荷枚数は2014年2月現在で、累計18万枚。>この数字は、“全聾(ろう)の作曲家”という物語やあの独特の風貌をメッセージとして受け取ったとき、状況を客観的に把握し「胡散臭い」とは判断しなかった人の多さを示している。>彼の自分マーケティングが、それだけ巧みだったといえるのかもしれない。 > 『考えてるつもり―「状況」に流されまくる人たちの心理学』(サム・サマーズ:著、江口泰子:訳/ダイヤモンド社)の著者は、偏見やステレオ・タイプ、性別・人種・社会階層についての認識を専門分野とする、社会心理学者だ。 >彼いわく、この世は “わかったつもり” で、できている。
'私は、私が何も知らないということを知っている'。 (ソクラテス) [無知の知] 'I know that I know nothing'.
>“見たまんま”のちからが、私たちの思考を停止に導くというのである。
見ることのできる内容は本当の事である。見ることのできない内容は ‘嘘’ である。誰しも嘘つきにはなりたくない。だから、自分の非現実 (考え) の内容は語らない。これが、日本人の思考停止の原因である。日本語には、非現実 (考え) の内容を語る為の時制のある構文がない。
> では本書から、ひとつ例をあげてみよう。> “見たまんま”が効力を発揮するケースに、著名人を起用したCMがあげられる。>広告代理店の狙いは、ある分野に優れたセレブは、ほかの分野でも優れているに違いないという、私たちの思い込みを利用すること。 >マイケル・ジョーダンはバスケ界のスーパースターだ。 >だから彼が薦める下着も品質のよいものに違いない、と。
そうですね。巨泉さんはコーヒーメーカー宣伝に出ていましたね。
>“出演者は報酬をもらって商品を勧めている”ことを理解していても、私たちはうっかりその事実を見過ごし、CMを受け入れる。>巧妙につくりあげられたその背景を見ようともせずに。
それは空気の影響というものでしょうね。
> 著者はほかにも、「困っている人を助けるかどうかは、周りを見てから判断する」という責任を霧散させる“匿名”のちからや、誰と一緒にいるかによって自分のアイデンティティが曖昧になってしまい「本当の自分なんてみつからない」“比較”のちからなど、人々が流されやすいさまざまな“状況”を、実際のケースや実験をもとに解説していく。
山本七平は「『空気』の研究」のなかで、そのことを指摘しています。 「驚いたことに、『文藝春秋』昭和五十年八月号の『戦艦大和』でも、『全般の空気よりして、当時も今日も(大和の)特攻出撃は当然と思う』という発言が出てくる。この文章を読んでみると、大和の出撃を無謀とする人びとにはすべて、それを無謀と断ずるに至る細かいデータ、すなわち明確の根拠がある。だが一方、当然とする方の主張はそういったデータ乃至根拠は全くなく、その正当性の根拠は専ら『空気』なのである。最終的決定を下し、『そうせざるを得なくしている』力をもっているのは一に『空気』であって、それ以外にない。これは非常に興味深い事実である。」と書いています。
> 「みんなの意見は、いつだって正しい?」―確固たる意志を挫く“集団”のちから― の章は、興味深い。 >心理学者のソロモン・アッシュが行った実験で、人は答えが明らかに間違っている時でも、周囲に合わせるという結果が得られた。 >集団内の少数者が、無意識のうちに多数勢力の行動や意見に心理的な圧力を感じ、その影響を受けてしまう。>これを同調圧力という。
先の大戦のときの日本の指導者は ‘日本はかならず勝つ’ という計算を立てていたのか、それとも ‘勝敗にはこだわらずにただ戦争だけがやりたかった’ のか。
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