(略) >◆日中戦争の危険性 >―― 日本はアメリカと一緒になって中国と対峙してきましたが、東電の汚染水放出をきっかけに日中関係が悪化しています。 >今後、事態が深刻化する恐れもあります。 >白井 私は日中戦争が起こるのではないかと懸念しています。 >こんなことを言えば、「現実的、合理的に考えれば、日中戦争などありえない」と批判されるでしょう。 > 確かに日中の経済関係を見れば、日本が中国と戦争することなど考えられません。 >日本の貿易相手国のトップは輸出・輸入とも中国です。 >日本は食料も中国に依存しており、中国は主要農産物の輸入先としてアメリカに次いで2位です。 > しかし、歴史を振り返れば、起こるはずのない戦争が何度も起こってきたという現実があります。 >その典型が第一次世界大戦です。 >当時、国際金本位制のもと、ヨーロッパ諸国の経済はボーダレス化し、人・モノ・カネが国境を越えて盛んに行き交っていました。 >それによって諸国の利害関係は複雑に絡み合い、戦争が起こればみんな大損してしまうので、戦争などありえないと見られていました。 >それにもかかわらず、戦争は起こったのです。 > あるいは、日米戦争もそうです。 >当時の日本は最も重要な資源である石油をアメリカに依存していたので、アメリカと戦争すれば破綻を免れないことは軍の上層部もわかっていました。 >それでも戦争になったのです。 > 近年の日本も合理的に考えればありえない行動ばかりとっています。 >複数ある選択肢の中で「これだけは選んではいけない」という選択肢ばかり選んでいるというのが実情です。 >だから、日本が日中戦争という選択肢を選んでしまう可能性は十分あると思います。 >―― どうすれば戦争を回避できますか。 >白井 戦争が始まれば、一般国民にできることは何もありません。 >私たちは徹底的に「客体」となり、モノとして扱われます。 >とうてい「主体」にはなりえません。 >私たちにできることと言えば、どうにかして逃げるか、その戦争が権力者の利益のためだとわかっていても、戦いに参加するか、どちらかです。 >どちらを選んでも犠牲は大きくなります。 > もし主体性を発揮できるとすれば、戦争が起きる前の段階です。 >すなわち、いまこの瞬間です。 >私たちは日中戦争など起きないと高をくくるのではなく、戦争に突き進む政権を打倒することも含め、いまから戦争を招きうる要因を一つ一つ取り除いていく必要があります。
そうですね。我々日本人はノンポリ・政治音痴ではいられませんね。しかし、日本人には世界観がない。来るべき未来社会の内容が想定外になっている。だから、政治哲学がない。 ‘誰も責任を取りたがらず、誰も自分に責任があると言わなかった。・・・・・ 一般国民が軍部や文民官僚の責任と同等の責任を負っていると心から考えている人はほとんどいなかった。’ (ジョン・ダワー 増補版 敗北を抱きしめて 下) これでは民主主義は成り立ちませんね。
>(9月2日 聞き手・構成 中村友哉) ><初出:月刊日本10月号> >白井聡:思想史家、政治学者、京都精華大学教員。 >1977年東京都生まれ。 >早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。 >一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士後期課程単位修得退学。 >博士(社会学)。 >著書に『永続敗戦論 戦後日本の核心』(太田出版、2013年)など >【月刊日本】 >げっかんにっぽん●Twitter ID=@GekkanNippon。 >「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌。 >「左右」という偏狭な枠組みに囚われない硬派な論調とスタンスで知られる。
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