大井赤亥氏 |
>JBpress >現役世代の止まらぬリベラル離れ、「憲法9条を守れ」では投票の選択肢にならず、カギは脱イデオロギーの対立軸 >大井赤亥によるストーリー・ >15時間・ >(大井 赤亥:政治学者) >「3・2・1の法則」が通用しなくなった > 新興政党の勃興、連立の組み替え、高市自民党の圧勝へと続いた昨年来の政治変化は、日本の政党政治の構図を大きく変えるものであった。 > 2010年代以降の日本政治を整理する枠組として、私は「3・2・1の法則」という視点を提示してきた。 > すなわち、第一に、1993年の政界再編以降、日本の政党政治は「保革」の二項対立から「保守・リベラル・改革」による三極構造となり、第二次安倍政権が成立した2012年以降、その三極はそれぞれ「自公・民主党系野党・維新」によって担われてきたこと。 > 第二に、2010年代の国政選挙の比例得票数を見れば、「自公・民主党系野党・維新」の三極は「3・2・1の法則」とでも呼ぶべき安定的な力関係で推移してきたことである。 > しかし、2026年衆院選はこの「自公・民主党系野党・維新」の三極構造を分解、再編させるものであった。 > 国民民主党はこの間、玉木執行部の下で独自路線を強め、もはや国民と立憲民主党とを同じ「民主党系野党」と括るのは困難であろう。 >他方、26年にわたって続いた自民と公明の連立関係は解消され、公明は電光石火のごとく立憲と合流して新党・中道改革連合を結成。 > その反面、「改革」の旗印を独占してきた維新は自民と「連立」を組むことになった。 >これら既成政党の再編成をしり目に、参政党やチームみらいなどの新興政党が現れ存在感を示している。 > 2026年衆院選をへて、「自公・民主党系野党・維新」という三極構造は溶解し、日本の政党政治は再編成の時期に入りつつある。 >有権者の「支持政党」は20代で固まりやすい > このような変化を引き起こした最大の要因は、有権者の世代交代である。 > 日本の人口構成には800万の塊で55年体制を支えた「団塊の世代(1947~49年生まれ)」と、その子どもを中心とする「現役世代(1971~1980年代半ば)」という二つの山がある。 >そして、この数年間は有権者のボリュームゾーンが前者から後者へと入れ替わる端境期にあたり、そのような人口の入れ替わりが政治の流動化をもたらしているのである。 >「団塊の世代」と「現役世代」という二つの山は、政党支持のあり方でも大きく異なっている。 >2025年7月の参院選に際しての日本テレビの世論調査では、60歳以上で最も得票率の高かったのは自民だが、40~59歳では参政党、18~39歳では国民民主が1位となっている。 > 政治学者の遠藤晶久によれば、自民や立憲、公明や共産など既成政党は高齢層得票中心パターンになっているが、年齢が下がるほど新興政党を含めた多党化の傾向を示しつつ、若年層になるほどリベラル政党や左派政党の存在感が低下しているという。 > とはいえ、若者は必ずしも「右傾化」しているわけではなく、総じて「脱イデロオギー化」しているのであり、若年層の自民党支持率は他の世代と比べて低い。 >しかし、民主党やその後継政党に対する若者世代の支持は他の世代に比べてさらに低い。 > それゆえ、若年層にとっての政党支持は「自民か無党派かの二択」となり、投票所に出向けばリベラル派や左派の野党には選択肢がないと感じ、結果的に自民党に投票する。 >遠藤によれば、これが「若者が自民に投票するからくり」だという。
そうでしょうね。
> その意味で、現在の日本の有権者の状況は「左が欠いた分極化」(小熊英二)であり、それが政党政治における「社会党なき55年体制」(山本健太郎)を招いていると、一応はいえるかもしれない。 > 政治学では一般的に、20代の多感な時期に形成された有権者の政党への好感は結晶化され、その後の人生における政党支持を規定するという「世代効果」が認められている。
多感な時期に抱いた夢と希望は後に残りますね。
>とすれば、今後、既成政党が地盤沈下しつつ、新興政党がその間隙を突いて政治が流動化する傾向は、おそらく続いていくであろう。 >「憲法9条を守る」を軸とする政党を支持するインセンティブは薄い > これからの政党政治の行方は未知数である。 >そこにあってあえて展望を探れば、日本政治には「外交安全保障・憲法」と「社会保障・行財政改革」という二つの争点軸があり、これからの政党対立の構図はこの二つの争点軸のどちらが前景化するかに一定程度依存するであろう。 >「外交安全保障・憲法」は55年体制から継続された争点軸であり、伝統的な「改憲vs護憲」などの対立軸を作り出してきた。 >高市政権はこの間、安保関連三文書の改訂、武器輸出をめぐる制限の緩和、非核三原則の見直しなどを進めており、「外交安全保障・憲法」の争点軸で再び政党対立の線が引かれる可能性はある。 > これは、憲法や防衛問題で「戦前回帰」した自民党に対し、左傾化した野党が対峙するという点で、境家史郎の指摘する「ネオ55年体制」に重なるものであろう。 > しかし、米国覇権の衰退、中国の軍事的脅威の実態化という国際環境の変化を前に、現役世代のなかで憲法9条を軸として政党を支持するインセンティブは薄く、かつての「革新」の代替物が再来するとは思えない。 > また保革対立の再来は、経済的利害から乖離した観念的なイデオロギー対立によって政党再編が行われることになりかねず、これらの点からして「ネオ55年体制」は非現実的であり、望ましくもない。 >「社会保障・行財政改革」めぐる争点軸は独自色を出しにくい > むしろ、人口減少と少子高齢化はこれからの日本が直面する本質的課題であり、きたるべき政党再編は「社会保障・行財政改革」の争点軸に沿って行われることが望ましい。 > ここにおいて直面すべき事実は、「社会保障・行財政改革」の争点軸においては、与野党が採用できる政策の幅は極めて限られているということである。 > 人口減少を見れば、2050年まで日本の人口は年間100万人単位で減少し、学校の統廃合、公共インフラの維持、空き家対策などが不可避となる。 >これらは誰が政権を担おうが万能薬はなく、地道に縮小社会のコンセンサスを築きあげていくしかない。
移民政策を採れば拡大社会もあり得ますね。
> 財政政策に際しても、頻繁な国政選挙に直面する日本において、各党は否応なく減税や補助金などを唱えて歳出拡大への圧力にさらされるが、122兆円に上る2026年度予算のうち、国債費や地方交付税交付金などは固定費であり、無制限な国債発行を抑制するとすれば、各政権がかろうじて独自色を出せる財源の余地は30兆円ほどでしかない。 > 与野党で政策の裁量が限られる最たるものは金融政策であろう。 >円安や物価高を抑制するため日銀による政策金利の利上げは必須だが、それは国債の利払い費の増大を招き、深刻な財政問題を引き起こしかねない。 >それらの両端を見ながらバランスをとって段階的に「金利のある世界」へと軟着陸する以外になく、ここに政争が入り込む余地は乏しい。 >リベラルは抜き差しならない課題を回避し、「平和」に逃避していないか >「社会保障・行財政改革」の争点軸では、政治に求められるのはコストの分配であり、不便やリスクを誰が最も緩和できるかという「負の合意争点」といえる。 > ここにあって、野党やリベラル派は明確な答えを提示できていない。 >「社会保障・行財政改革」に関わる政策論争は、与党との差異化を示す範囲が狭く、誰が担っても「悪さ加減の選択」であり、政治はどう転んでも嫌われ役になる。 >そこにあって野党は、自らは行政を担わず、与党にこの困難な仕事をさせてその失政をあげつらうイメージが定着している。
野党は不毛の活動ですね。
>その意味で野党は、自ら打席に立たず、打席に立っている打者の好打を無視して凡打を責めているに等しい。 > それに反し、「外交安全保障・憲法」の争点軸はいわば既存の価値観対立によって構成され、憲法やジェンダーは自民党との違いを示すには容易な論点であり、時代が大きく変化しているにもかかわらず、リベラル派はそれに惰性的に頼ってしまう。 >憲法の大事さを認めるに私も人後に落ちないが、リベラル派やその応援団である大学知識人たちが春夏秋冬を問わずそればかり唱えるのを見ると、むしろ「社会保障・行財政改革」をめぐる抜き差しならない課題への責任を回避するために「平和」に逃避していないかとさえ感じる。
そうですね。‘憲法’ はリベラル派のありがたいお題目ですね。
> きたるべき政党対立の構図は、野党が有権者の世代交代に順応できるか、人口減少がもたらす「負の合意争点」を引き受ける覚悟を持てるか、そして縮小社会のコンセンサス形成という困難な課題に正面から向きあえるかにかかっているのである。
いずれにしても無哲学・能天気ではどうにもならないですね。
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