>寡黙を日本の伝統として褒めそやすのは、もう止めにしませんか。(松尾潔) >日刊ゲンダイDIGITAL によるストーリー • 昨日 6:30 >最初に告白しよう。 >この件で本連載の貴重なスペースを費やすことを、ぼくは不本意だと感じている。 >正直なところ、この件についてはもう何も言いたくない、書きたくない気持ちが強い。 >実際そんな選択肢もあるはずなのだ。 >では、なぜ口を開き続けるのか。 >SNSやヤフコメで心ない罵倒を浴びると分かっていても、言葉を尽くしてしまうのはなぜか。 >英雄的に振る舞いたいのではない。 >ましてやマゾヒスティックな快感に酔いたいわけでもない。 >自分は穏やかな生活を好むタイプだし、正義感なんて爪の垢ほどしか持ち合わせていない。 >とめどない愚痴や陰口で家族や友人を失望させてきた卑小な人間だ。 >そんなぼくが口を開くにはいくつかの理由がある。 >だが最大の理由はと訊かれたら、迷わずこう答える。 >「見て見ぬふりは気分が悪いから」 >そう、いつも人を動かしてきたのは正義より生理ではなかったか。 >前置きが長くなった。 >「この件」については詳しく述べるまでもないだろう。 >さきの日曜(5月14日)の夜9時、ジャニーズ事務所公式サイトで、藤島ジュリー景子社長が謝罪し、見解が発表された。 >故ジャニー喜多川氏への度重なる性加害告発に対し、動画と文書で応えたかたちである。 >ぼくはSMAP、NEWS、ジャニーズWESTといった同社のグループに曲提供したことがあるが、ジュリーさんに会ったのは一度きりだ。 >20年ほど前、NEWSデビューに際してのミーティングだったと記憶している。 >そのかぎりにおいて忌憚なく言うなら、上品で聡明な同世代の業界人という印象。 >巷で喧伝される悪いイメージからはほど遠い。 >ドラマ『3年B組金八先生』等に出演していた元俳優とはいえ、現社長の彼女が顔を出して謝罪したのにはたいへん驚いた。 >同社トップだった叔父のジャニーさんも母親のメリーさんも、表に顔を出さない裏方という姿勢を終生にわたり貫いたからだ。 >遅くはあったが、老舗の社是を変えて顔出しに臨んだ決断は、現トップが事態を深刻に捉えていることを証明するには十分だった。 >ジャニーズファン有志が性加害の検証を求める1万6000筆の署名を事務所に提出したことが、決定的に彼女の背中を押したのではと個人的には思っている。 >アイドルビジネスを主業務とする芸能事務所にとって、ファンダムの崩壊は最大の悪夢だから。 >動画と文書の要点は、4つの「しません」。 >①記者会見しません②事実認定しません③第三者委員会設置しません④引責辞任しません。
うやむやは伝統的に日本人の好むところですね。ああ無常。 照りもせず曇りもはてぬ春の夜のおぼろ月夜(づきよ)にしく物ぞなき (大江千里)
>さすがにこれで納得できるファンなんていないよとぼくも微苦笑を禁じ得なかったのだが、ネットを見ると実際には沢山いるんですねぇ。 >それどころか「ジュリーちゃんよく頑張った」という同情の声まで散見されるのだった。 >困った親や上司を持つ人が彼女に親近感を抱くのは頷けるとしても、これ、毒親論じゃなくて企業ガバナンスの話なんだけど。 >そんな心理を誘発するための謝罪動画だとしたら、まさに狙い通りで罪深いですよ、ジュリー社長。 >ぼくが抱いたのは、タレント最優先の原則を死守しなければこの国のこの業界は滅びるという危機感。 >芸能界の裏方としての本能、それこそ生理だった。 >矢も盾もたまらず、日付も変わらぬうちにツイートした。 >全文は以下の通り。 >「まずは記者会見を。 >企業の不祥事は数あれど、文書と自社動画だけで謝罪を済ませた例はどれくらいあるのか。 >『エンタテインメント業界という世界が特殊であるという甘えを捨て』る覚悟がおありなら、ジュリーさん、これを機に膿を出しきりませんか。 >才能ある所属タレントの未来を守るためにも」 >自社や仕事先の企業トップの困った行状にどう向き合うか。 >無論どの業界でも現場には現場の現実があるだろう。 >だがリアリズムにかこつけた黙認と忖度の蓄積は、「口は禍の門」「雉も鳴かずば撃たれまい」といった服従性を肯定するカビの生えた訓戒をさらに強固にするだけ。 >寡黙を日本の伝統として褒めそやすのは、もう止めにしませんか。
そうですね。我々日本人には、あっけらかんとした世界の中でドライに割り切るセンス (判断力) が必要ですね。
>そんなのは伝統にあらず、たんなる悪習なんだから。 >ああ、今日も気分が悪い!
日本人には意識改革が必要ですね。
>(松尾潔/音楽プロデューサー)
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