>現代ビジネス >中国を「世界の中心」とする「華夷思想」とはなにか…「日本の幕末」を知るための最重要概念 >学術文庫&選書メチエ編集部の意見・ >4時間・ >幕末を知るうえで重要な概念 >日本とは、いったいどんな国なのか。 >日本社会が混乱しているように見えるなか、こうした問題について考える機会が増えたという人も多いかもしれません。 >現在の日本をとらえるために、近代日本の起源と位置付けられることの多い、明治維新や幕末史について知っておくことにはおおいに意味があることでしょう。 >幕末史については、さまざまなアクターが入り乱れる複雑怪奇な時代というイメージを持っている人も多いかもしれません。 >しかし、そんな時代を驚くほどクリアに解説してくれ、数多くのあらたな知見を授けてくれる本があります。 >『 攘夷の幕末史 』という本です。 >著者の町田明広さんは、幕末史を専門とする歴史学者で、神田外語大学教授。 >本書は、「攘夷」という考え方に焦点を当てながら幕末史を見ていくというものです。 >特徴的なのは、江戸時代にさかのぼりつつ、攘夷思想が生まれてきた背景をたどっている点。 >なぜ攘夷という思想が幕末に生まれてきたのかを深く理解することができます。 >たとえば、攘夷思想について深く知るためには、中国を中心とする「華夷思想」について知識を得る必要がありますが、本書はそれについてもくわしく解説しています。 >同書より引用します(読みやすさのため、改行などを一部編集しています)。 >*** >東アジアにおいては、中国(中華)を世界の中心に据える考え方が、古代より存在する。 >簡単に言えば、中国が一番優れているとする考え方であり、これが華夷思想そのものだ。 >最初にその考えを示したのは孔子とされているが、すでに六世紀以降の隋・唐時代には、東アジア全体に、その華夷思想が浸透していたと言われている。 >そして、その最盛期は明・清時代であり、近代までその思想に支配されていた。 >まさに、二十世紀になっても中国は華夷思想の国であったのだ。 >華夷思想の中心となる考え方に、さらに踏み込んでみよう。 >中国が一番優れているとするのは、物質的な面ではなく、むしろ文化・思想といった、精神的なものである。 >中国の文明が、もっとも価値あるものと規定されており、中国を支配して王朝を建国した漢民族や蒙古・満洲などの北方民族以外を夷狄とみなし、その独自性を認めず、教化の対象と捉える思想と言える。 >日本も、夷狄の一つであり、中国から文化・思想を学ばなければならなかった。
当時の日本は後進国でしたからね。
>それを具現化する体制は、「冊封」と呼ばれている。 >冊封とは、中国王朝の皇帝が、東アジアの夷狄君主に王や侯といった中国の爵号を授け、君臣関係を結ぶことによって形成される国際秩序のことである。 >この冊封によって、中国皇帝の臣下となった君主の国のことを冊封国と言う。 >この冊封体制においては、独自の交易方法である「朝貢」を伴った。
我が国の琉球も冊封国の一つでしたね。
>朝貢とは、中国を中心とした貿易の形態であり、中国の皇帝に対して、冊封された夷狄の国王らが貢物を捧げ、これに対して皇帝側がその何十倍もの恩賜を与えるという形式をもって成立していた。 >今日の感覚から言うと、貿易というより物々交換レベルの交渉に見えてしまうが、これも立派な貿易行為であった。 >なお、現実問題として、周辺国は中国と軍事的に敵対することは、経済的にも政治的にもリスクが大きく、かつ、朝貢によって得られる莫大な利益を失うことを意味した。 >そのため、自ら冊封体制に置かれることを望むものが多かった。
現在のアメリカ合衆国の様なものですね。
>しかし、このような冊封関係が成立したからといって、冊封された夷狄諸国が、中華帝国である歴代の中国帝国の領土に組み込まれるということでは決してなかった。 >つまり、冊封国も独立国であることには相違なかったのだ。 >たしかに、冊封国には毎年の朝貢、中国の元号や正朔と呼ばれる暦を使用することなどが義務づけられることがあった。 >時には、皇帝から出兵を命じられることもあった。 >一方で、冊封国が攻撃を受けた場合、中国に対して救援を求めることも可能であった。 >***
中国は中原 (ちゅうげん) に鹿を逐 (お) う伝統的な覇者の国である。だから、覇者の物語 '三国志' は、中国人の愛読書となっている。覇者は周辺諸国に覇権を打ち立てようとして傍若無人のふるまいをし、多大な迷惑をかけている。これは皇帝の時代も国家主席の時代も漢民族のメンタリティが同じであるから変わらない。漢民族は、自分たちの考えを示すために漢字を作った。しかし、彼らは外国人の考えを示すための漢字は作らなかった。だから、外国人に対して自己の内容を発信はできるが、外国人からの内容を受信することは難しい。独断専行に陥りやすい。印欧語族のインド哲学を経文 (漢文) に表すことが至難の業であることがわかる。経文など漢文の書物をいくら読んでも外国人の考えは出てこない。だから、中華思想を堅持し自己中心的にならざるを得ない。周辺諸国を中国化することに専心してやまない。中国人が外国人の影響を受けて発想の転換 (paradigm shift) をすることは期待薄である。 ・・・・・ 中華 (ちゅうか) [外国との交渉が少なかった時代に] 自国を、世界の中心にある、一番優れた国とみなしたこと。[狭義では、漢民族のそれを指し、またその呼称としても用いられる] 東夷 (とうい) [東方の野蛮人の意] 昔、中国から見た東方諸国の称。[広義では朝鮮・沖縄を含み、狭義では日本を指した] 南蛮 (なんばん) [南方の野蛮人の意] 昔、中国で、インドシナなど南海地方の諸民族の称。 西戎 (せいじゅう) [西方の野蛮人の意] 昔、中国で、チベット族やトルコ族など西方の異民族の称。北狄 (ほくてき) [北方の野蛮人の意] 昔、中国で、匈奴 (きょうど)・韃靼 (だったん) などの遊牧民族の称。
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