危険な勘違い |
>AERA DIGITAL >「多くの日本人は騙されてしまうんでしょうね」 内田樹が懸念する日本政治をむしばむ“危険な勘違い” >7時間・ > 外交や安全保障をめぐる議論で、私たちは何を見落としているのか。 >支持率や選挙結果ばかりを追う政治の危うさを、内田樹氏が鋭く指摘する。 >常識を覆すスパイ論から浮かび上がる、日本の未来への警鐘とは。 >内田樹氏と望月衣塑子記者による新刊『常識なき世界を生き延びるために』(朝日新書)から、一部抜粋してお届けする。 >* * * >■日本をつぶすドメスティックな国家経営 >望月 高市内閣は国家情報局を創設してスパイ防止法を制定しようとしています。 >自民党の小林鷹之政調会長は、日本でロビー活動や宣伝活動などを行う外国勢力の代理人に届け出を義務付ける制度を先行させると言っています。 >要はスパイを登録制にするという話でしょうが、表に出てこないからこそスパイなのであって、届け出るわけがない。 >まったく意味がないと思います。 >内田 外国政府から頼まれなくても、個人的に「この政府はだめだ。 >政権交代が必要だ」と思ったら、政府中枢にある人間でも、外国政府に情報を提供するかも知れない。 >そもそも優秀なスパイは必ず相手政府部内にカウンターパートがいる。 >スパイというのは本質的にダブル・エージェントなんです。 > 彼らはお互いに自分たちの政府の機密情報を渡す代わりに向こうの機密情報をもらう。 >敵国の良質の機密情報を獲ってこれるわけですから、当然情報部局内で出世する。 >出世するほどに提供できる機密情報のレベルが上がる。 >さらに出世する。 >スパイ業界では、ダブル・エージェントが一番早く出世するんです。 >彼らは別に国を裏切る気はない。 >そうじゃなくて、「自分のような優秀な人間がインテリジェンスのトップにいる方が祖国は安全だ」と思っている。 >実際にそうなんです。 >それぞれ相手国内の重要な政策決定過程を知っているなら、偶発的な軍事衝突が戦争に拡大するというようなリスクは回避できる。 >相手政府部内にカウンターパートを持っていないで、ただ金をつかませたり、ハニー・トラップではめたりして使うスパイでは、トップ・シークレットには近づけないし、ましてやトップレベルでの政策決定過程なんか知りようがない。 >007みたいな肉体労働型のスパイでは、アクセスできる機密情報のレベルは知れているんです。 > 後に「ケンブリッジ・ファイブ」と呼ばれることになる英国情報部のダブル・エージェントたちの一人、キム・フィルビーは対ソ連情報部のトップでした。 >ソ連のスパイなんですから、ソ連からいくらでも情報が入ってくる。 >それを少しずつ流す。 >当然、英国情報部内では「優秀なスパイだ」ということで、出世する。 >フィルビーは最終的にダブル・エージェントであったことが露見して、ソ連に亡命して客死しますが、彼らは英国の上流階級の人たちですから、別に国を裏切る気なんかなかったと思います。 >自分たちのような賢い人間がインテリジェンスのトップにいなければソ連との偶発的な核戦争が起きるかも知れない……という危機意識があったから、戦争を止めるためには、まず自分が情報部で出世しなければならないと考え、情報部で出世するためにはダブル・エージェントになるのが捷径(しょうけい)と考えた……ということじゃないかなと僕は思います。 >愛国的であり、自分の優秀さに自信がある情報部員ほどダブル・エージェントになりやすい。 > たぶん、スパイの世界にはそういう法則があるんだと思います。 >実際に、両方の国の情報部内にダブル・エージェントがうじゃうじゃいるという状態になったら、両国とも政府の機密は筒抜けですから、誤解やヒューマンエラーから戦争が始まるということは起こらない。 >変な話なんですけれども、両国政府部内にスパイが多いほど偶発的に戦争が起きるリスクは逓減(ていげん)する。 >日本の情報機関も、基本的にはアメリカのエージェントだと思いますよ。 >だって、アメリカから良質の情報が獲ってこれない人が日本の情報機関で出世できるはずがない。 >アメリカから質の高い情報を獲るためには、日本政府の機密情報を流すか、あるいは在日米軍のために便宜を図るくらいしかこちらには提供できるものがない。 >望月 今の話にしても、先ほどの日本に核武装させるという話にしても、そういうアメリカと向き合っているのに、「世界で最も偉大な日米同盟」とか「最強タッグ」とか、能天気なことを言って何になるんだ、とあきれ返りますよね。 >内田 いい加減に気がついて欲しいです。 >望月 台湾有事にしてもトランプ氏はあからさまに「オレは干渉しないから勝手にやってくれ」と言っているわけですよね。 >それでも高市氏が反中発信をやめようとしないのは、なぜなのでしょうか。 >「多くの日本人は騙されてしまうんでしょうね」 内田樹が懸念する日本政治をむしばむ“危険な勘違い” >内田 反中的な態度を誇示すると支持率が上がるからです。 >だから、あれは「外交」じゃないんです。 >「国内的な人気投票の票を集めるための「パフォーマンス」なんです。 >自分の人気が上がることの方が、日本の安全保障環境にマイナスの影響が出ることより優先している。 > 安倍政権の時代から言っていることですが、日本の支配層はすべての組織を株式会社のように組織化しようとしてきました。 >株式会社の場合は、トップが経営判断を独断することが許される。 >別に、従業員を含んだ社内全体での合意が形成されなければ経営判断が下せないというようなことはない。 >株式会社は独裁制で構わないんです。 >経営判断を誤ったら、売り上げが減り、収益が減り、株価が下がるからです。 >経営判断の適否はマーケットが下す。 >そして、「マーケットは間違えない」というのはビジネスマンの信仰です。 >ですから、いくら独裁的な経営者でも、経営判断を誤ったとマーケットに判定されたら、すぐに株主総会で馘首(かくしゅ)される。 >それが短期的には独裁的であることを正当化している。 >それが営利企業なら、どれほど独善的な経営をしようが、マーケットが評価してくれるならOKなんです。
そうですね。
>どんなに非民主的な会社組織であっても、トップが人間的に問題のある人物でも、商品がじゃんじゃん売れて、株価がぐんぐん上がるなら、その経営者は正しい判断をしたということになる。 > ただ、問題は「政治にとってのマーケットとは何か」について、国民的合意がないことです。 >自民党の政治家が考えている「マーケット」とは、支持率のことです。 >獲得議席数のことです。 >どれほど失政を重ねても、選挙で勝ったら「民意を得た」で、これまでの政策決定は正しかったという話になる。
それは選択肢がないからでしょうね。
>これは論理的にはあり得ない話です。 >それは株式会社の経営者が、経営判断に失敗したせいで、現に収益が減り、株価が暴落しているのだが、社内の人気投票ではトップなので、引き続き経営者にとどまる……という話だからです。 >それは違うでしょう。 > 政治の場合、その政策判断の適否を決めるのは「国際社会」のはずです。 >その為政者が統治を任された間に、どれくらい国富が増したのか、どれくらい国力が向上したのか、どれくらい国際社会におけるプレゼンスが高まったのか、「民主主義」や「女性の地位」や「報道の自由」などのさまざまな指標で高い順位にランクされているか、それを見るべきでしょう。
そうですね。
>国富が失われ、国力が衰退し、国際社会で侮られているけれども、「国内での人気が高いので、政治的には成功した」というふうに判断するのは、どう考えても非論理的ですよ。
そうですね。
>でも、日本はある時期からずっとそうなっています。 >直近の選挙の結果が、政策判断の適否の唯一の「ものさし」になっている。 >どれほど失政を重ねて、どれほど国民生活が窮乏しても、選挙やったら勝ったので、「これまでこの統治者のやってきたことは正しかったと国民が認めた」という結論をみんなが受け入れてしまっている。 >この非論理的な推論を過去25年くらい怪しむことなく続けてきている。
そうですね。勝てば官軍ですね。
>国際社会が日本をどう評価しているかということを日本のメディアはまず報道しません。
日本のメディアは井の中の蛙ですからね。
>でも、それは企業の「社内人気投票」の結果だけ見て、株式市況を見ないで投資しているようなものです。 >そんな会社はいずれつぶれる。
それは残念なことですね。
>望月 生半可に『Foreign Affairs Report』を読んで「ほら、アメリカも日本の核武装を後押ししている。 >やっぱり日本は核武装しなきゃダメだ」などという人たちが出てくるかも知れません。
そうですね。アメリカ人は日本人の先輩ですからね。
>内田 たぶん、多くの日本人はそういうやつらに騙されてしまうんでしょうね。
そうですね。騙されるよりほかに日本人には道はないですね。
>*朝日新書『常識なき世界を生き延びるために』 > 第1章「高市政権とは何か」から一部抜粋
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