日々の静岡通勤を有効活用すべく、
【銭湯巡り~昭和体感Project】は粛々と遂行されている。
ここでいう「銭湯」とは、
昔ながらの館構えで、番頭さんがいて・・・のスタイルを貫徹している、
いわゆる “町のお風呂屋” さんを指し、
近年乱立ぎみの日帰り温泉施設とは、カテゴリーを異にする。(自分の中では)
そんな銭湯も、
掛川周辺では菊川市内に1軒を残すのみで(2/23日記参照)、
今やめったにお目にかかれない。
“これも時代だろう” と納得を強いられる。
しかし、そんな時代にこそ、
駿府城下の歴史街ならきっと残っているはず・・・!と徹底リサーチの結果、
2軒もの「銭湯」の存在を静岡市内に突き止めた!
銭湯フリークとしてはかなり期待が高まる。
機を見て、まず静岡市浅間町にある『天神湯』へ -。
一方通行の入り組んだ細い路地街の一角にその館はあった。
近くには静岡高校もある。
ぼんやり灯った看板と夕風に揺れる「ゆ」の暖簾がなんともいえずホッとする。
男女別に並んだ入口をガラっと開けると,番頭のおばちゃんが座っている。
「いくら?」「350円です」。
一歩足を踏み入れた瞬間からもう、どっぷり昭和ワールドに包み込まれた。
古めかしい木箱に履物を納めると、目の前は間続きですぐ脱衣場。
完全に番頭のおばちゃんの視界内で着替える構造がまさに銭湯ならではだが、
そんなことはもはやお互いどうってことはない。
さっさと脱いで、これまた渋い木棚に衣類を放り込み、異様にデカい平鍵を抜き取ると、
いよいよ浴室内へ。
平鍵には腕に付けるためのゴム輪が付いているのだが、
すでにちぎれそうな糸状態で、なおかつ、やはり鍵自体がデカすぎるので、
やむなく外して置いておくことに。
銭湯では石鹸類の備品は一切なく、必ず持参するのが基本。
常連衆は、脱衣場にキープボトルの如くシャンプー等を常備している。
10箇所足らずの洗い場に、おっちゃんが2人程度。
ガランとした空間で身体を洗ってから、湯船に浸かってみる。
1間×2間程の湯船は、真中で普通の湯と薬用湯に区切られている。
大型入浴施設とは違い、露天風呂もないし、小ぢんまりしているが、のんびり感はひとしお。
湯加減絶妙!う~ん気持ちイイ~♪
これで湯船から眺める壁に大きな富士山の絵があれば・・・
と期待したが、ここでもそれはなかった。
富士壁画探しも銭湯巡りの1つのポイントなのだが、
今のところ目にしたことがない。
銭湯の定番のように思われがちだが、実は超レアで、
見つけた時は、きっと感動するに違いない。
ひとしきり湯ったりし、ぼちぼち脱衣場へ上がると、
おもしろいモノが目に付いた。
まず、初めて見る昭和初期風のゴツい体重計、乗って壊れたらエライことなんでやめておく。
そして昭和感満載のドライヤー、消えそうな字で「10円」って書いてあるけど、何分使えるんだろ??
さらになんと洗濯機が・・・こちらは「200円」だそうな。
壁の貼り紙も、昔の仮名遣いのまんまだし・・・。
飲み屋にあるような冷蔵ケースから自分で牛乳を取り出し、
番頭に代金を渡して飲み干すおっちゃんの姿が、妙にカッコイイ。
建物の佇まい、置いてある品々、空気感・・・
どこをどうとっても、ココではリアルな昭和がまだまだ続いている。
「お世話さま~」「ありがとね~」
番頭のおばちゃんと言葉を交わしつつ、出口を開けると、平成の世へとくぐり出た-。