>SPA! >日本人の大半がウクライナ侵略を「予測できなかった」理由 >日刊SPA!の意見 >・5時間 > 昨年2月に始まったロシアによるウクライナ侵略はいまも戦闘が続き、世界を大きく揺さぶっている。 > ロシアがいまのようなロシアになり、21世紀のこんにち戦争を起こした理由、動機を知るには、日本人である私たちの“世界認識”をアップデートすることから始めるべきーーと、歴史学者・宮脇淳子氏の新刊『ロシアとは何か』で提案されている。 > 地理的には国境を接しながらも、大多数の日本人にとって縁遠い国であるロシア。 >彼の国の動きを予測できないのは何故なのか、同書より一部抜粋してお届けする。 >◆日本人がロシアの動きを「予測できなかった」理由 > ロシアがクリミアを占領し、傀儡(かいらい)国家のようなクリミア共和国を宣言させ、ウクライナから引き剥はがしてロシア連邦に編入したことを、またG8からロシアが排除されたことを、私たちはどう受け取るべきだったのでしょうか。 > それから8年後、2022年の年明け早々、ロシア軍は十数万人規模の兵力をウクライナとの国境へ集結させました。 > 当初ロシアは「演習」と言ったり、「ウクライナ東部ドンバス地方でネオナチに虐殺されているロシア系住民を保護する行動」と言ったりしましたが、2月24日、ロシア軍は国境を越えて首都キーウ(当時は日本でもロシア語読みのキエフでした)ほかウクライナ各地へ侵攻を開始しました。 > 陸軍の大部隊と大量の兵站物資が国境に集結・集積された時点で侵攻はもはや間違いなかったのですが、日本では「ウクライナのNATO加盟を諦めさせるブラフだろう」「いま戦争を起こしても損しかない。 >プーチンは理性的な判断をするはず」「ロシアには核兵器があるのだから実際の戦闘なんかする気はない」などなど、希望的観測や根拠のない平和論に基づいて「何も起きないはず」という予測が飛び交いました。
賢い人は ‘純粋によく観察する’ が、そうでない人は ‘自分の期待したもの’ しか見ようとしない。成功体験が邪魔をして失敗体験から貴重な教訓を学び取ることができない。
> それらの予測はすべてはずれたのです。 > なぜ私たちは「恐ろしいことは起きないはず」と思ってしまうのでしょう。 > なぜ日本人は世界の国ぐにの動きをきちんと予測できないのでしょう。 >◆“台湾危機”もきちんと理解できていない日本人 > 2023年6月、アメリカのブリンケン国務長官が訪中し、「アメリカは台湾独立を支持しない」と述べました。 > 前年来、中国は台湾にさまざまな圧力をかけ、とくに軍事的な圧迫を強めていました。 > ロシアがウクライナに侵攻したように、中国も台湾に侵攻するのではないか、との“台湾危機”の不安が、台湾だけでなく日本を含めた周辺国に広がっていた矢先でした。 >「アメリカは台湾独立を支持しない」発言を受けて、日本の一部には「アメリカは台湾を見捨てた。 >中国は台湾を独立させないために侵攻しようとしていたのだから、これで台湾危機はなくなった!」と大喜びする人たちが現れました。 > でもちょっと待ってください。 >アメリカは1972年のニクソン訪中から、‘79年には台湾(中華民国)との国交を断絶し、中華人民共和国と国交樹立して以来、一度として「台湾独立」を支持したことはありません。 > また、中華民国政府も「独立」と言ったことは一度もないのです。 > これは「匪賊(ゲリラ)が“中華人民共和国”を名乗っているだけで、われわれ中華民国が正統な政権なのだ」、つまり独立どころかわれわれこそが中国の主だ、という従来からのたてまえ的主張をまったく変えていないのと同じです。 > アメリカの国務長官が、昔からのたてまえを口にした。 >それだけなのに、なぜ日本には「アメリカが中国に屈した。 >これで危機は去った」と思う人たちが出てくるのでしょうか。 > 歴史的にはたかだか数十年のいきさつなのに、なぜ正確に理解できないのでしょうか。 >◆日本人が陥りがちな「正常化バイアス」の危険度 > 震災や原発事故、またコロナ禍を経て、「正常性バイアス」という言葉が有名になりました。 > 危機の徴候が現れていても、ちょっとした変化なら「たいしたことない」「誤報だろう」「安心なはずだ」と無視してしまう認知的な悪いくせ(バイアス)を指すそうです。 > さしずめ2022年の2月には、多くの日本人が「自分は間違っていた」「私にはバイアスがある」「未来を見通す力がない」と思い知らされ、いやな気持ちにさせられたのではないでしょうか。 > いやな気持ちになったのなら、二度とこうした間違いは犯さないぞと奮起して、それをバネにして勉強し直せばよいのですが、ふつうの人はなかなかそんなことはできません。 > まず努力ができません。 >また、それまでの自分を否定することができません。 >自分の間違いを直視するという、しんどいことができません。
‘治に居て乱を忘れず’ ですね。
> このままでは近い将来、かりに日本のすぐ近くで戦争が始まったとして、あわてずに、冷静な世論を形成し、有効な政策立案や必要な国際貢献ができるでしょうか。 > あわてるあまり、とんちんかんなことを言ったりして、いたずらに社会を混乱させないといいのですけど。 > というのも、いまだってこんなに侵略行為を見せつけられているのに、「ウクライナはネオナチだ、というロシアの主張は正しい」「この戦争はアメリカやイギリスがウクライナをけしかけて起こした」「プーチンは欧米の軍産複合体を操る影の国家と戦っているのだ」といった言説にとらわれる人がたくさん出ているからです。 > 勉強する努力を怠ったり、しんどいことを回避し続けていると、このような安易な言説に引き寄せられてしまうようです。
そうですね。
>◆SNSで瞬く間に「言説」が広がる時代 > こうした理屈を信じる人はけっして少なくありません。 > YouTubeの暴露系チャンネルの視聴数や、SNSでのこうした言説のシェア数は実際多いです。 > また、SNSの影響力は閲覧数以上に大きいものです。 >最近、4、50代の人が実家に帰ると「7、80代の親が陰謀論に染まっていた」と驚くことが多いそうですね。 > ネットで自分なりに勉強した結果とはいえ、なぜこんなことになるのでしょうか。 >◆ネット上の「情報」は「学問」ではない > ネットの動画や、SNSでシェアされてきた発言は、「情報」であっても、まだ「学問」ではありません。 > また、テレビや新聞のように、しっかりした情報源があり、大組織の正社員記者がレポートし、何重ものチェックをくぐった情報も、必ずしも正確ではありません。 > むしろ、もっともらしい外見に惑わされて、事実を把握する妨げになることもあるでしょう。 >◆日本人の「意志力のなさ」が露呈されたウクライナ侵略 > ロシアがウクライナ侵略を準備しているのを刻一刻と目にしていても、明日何が起きるか予測できませんでした。 >これは私たちの能力のなさを証明してしまいました。
そうですね。思考停止の恐ろしさですね。
> あるいは、「大丈夫だろう」と高をくくり、真剣に予測する気もなかったことを暴露したのかもしれません。 >意志力のなさが露呈されたのです。
そうですね。日本人には意思が無い。日本語文法には時制 (tense) がないので、未来を内容とする文章は作成できない。だから未来の内容は日本人の頭の中でまとまらない。
> 私たちが少しでも歴史を勉強して、学問として身に沁ませていれば、あのときロシアがどう動くかは容易に見通せたかもしれません。
そうですね。 我々日本人は日本語と英語の両言語を良く学び、思考における時制の大切さを十分に理解する必要がありますね。英語にある時制 (tense) を使った考え方を会得すれば、我々は自己の意思 (will) を明らかにすることも可能になるし、自分自身の世界観 (world view) を持つことも出来ます。さすれば我々は国際社会において相手の理解も得られ、未来社会の建設に協力することも可能になります。かくして、我々日本人は、人類の進歩に一層の貢献が可能になるでしょう。
> いえ、2014年のクリミア併合にきちんと意見していれば、2022年のウクライナ侵略を防げたかもしれません。
そうですね。自己の意思を表明すれば当事者・関係者となる。表明しなければ傍観者にとどまる。日本人には意思が無い。だから、常に傍観者にとどまる。わが国は世界の中にあって、世界に属していない。非常に残念です。
> あるいは、予測がはずれたとしても、なぜはずれたか考え、反省し、次の機会に生かすことができたはずです。
そうですね。思考を停止していたのでは、あたり外れは問題になりませんね。無哲学・能天気による危険ですね。
> 予測しようと努力し、間違うことは、何もしないのとはまったく違います。
そうですね。間違いは考える人のすることですね。
>問題が見つかれば、それを修正する機会が見つかったということだからです。
そうですね。進歩の機会が与えられたこと何なりますね。
>文/宮脇淳子 構成/日刊SPA!編集部 >【宮脇淳子】 >東洋史家。 >1952(昭和27)年、和歌山県生まれ。 >京都大学文学部卒、大阪大学大学院博士課程満期退学。博士(学術)。 >専攻は東洋史。 >故・岡田英弘(東京外国語大学名誉教授)からモンゴル語・満洲語・シナ史を、山口瑞鳳(東京大学名誉教授)からチベット語・チベット史を学ぶ。 >東京外国語大学、常磐大学、国士館大学、東京大学などの非常勤講師を歴任。 >『真実の中国史[1840‐1949]』『真実の満洲史[1894‐1956]』(ビジネス社)、『モンゴルの歴史』(刀水書房)、『最後の遊牧帝国』(講談社選書メチエ)、『世界史のなかの満洲帝国と日本』『中国・韓国の正体』(ともにWAC)、『満洲国から見た近現代史の真実』『皇帝たちの中国史』(ともに徳間書店)、『世界史のなかの蒙古襲来』、『日本人が知らない満洲国の真実』『朝鮮半島をめぐる歴史歪曲の舞台裏』
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