中日ドラゴンズ、53年ぶり日本一!! 実に半世紀超、待ちに待った歓喜の瞬間だった。 幼少時の昭和53年2月、 掛川キャンプでドラゴンズ、いやプロ野球の選手を初めて目にして以来、 ドラキチ一筋で各地の球場に足を運んでは応援を続けてきた。 もちろん初めて味わう日本一、その感動は計り知れないものがあった。 2007年11月1日、 地元ナゴヤで王手をかけて挑んだ日本シリーズ第5戦、 この日自分は、静岡市内のSportsBarで、 たくさんの竜党とともに、ビールとメガホンを握り締め、世紀の一戦に食い入っていた。 試合展開は圧巻だった。 先発山井が日ハム打線を8回打者24人で仕留め、パーフェクト目前。 さぁ9回表、いよいよ史上初、完全試合で優勝決定か?! ・・・と日本中が色めき立ったその瞬間、 おもむろに落合監督がベンチから出てきた。 まさか? 盛り上がっていた周囲の竜党もカタズを飲んだその前で、 球審に投手交代を告げる。 この時、TVの画面を通じて、 球審の口元がはっきりこう言ったのがわかった。 “山井を代えますか??” もし録画されている方がいたら確認していただきたい。まちがいなくこう言っていた。 私情を挟めない球審でさえ思わず聞き返してしまう交代劇。 しかし、オレ竜采配の真髄がここにあった。 賛否両論を呼んだこの場面、 今シーズンの闘い方のパターンからすれば不思議はない。 この日は地元ナゴヤでの最終戦、 様々な波及効果を生む地元優勝を決めるためにはここで勝つ以外ない。 また、竜に傾いている勢いは、移動日を一日挟んだ第6戦以降の札幌ドームでは、 もはや発揮できない可能性は十分ある。 つまり、あの場面で絶対的に勝利するための戦略を選択したといえよう。 それがこれまでのオレ竜采配であり、それを貫いたに過ぎず、 ベンチも驚いた様子はなかった。 完全ピッチング山井の後を受けた磐石ストッパー岩瀬、 のちのインタビューで “あんなに緊張した登板はない” と語ったように、 その表情は見たことがないほど強張っていた。 とはいえ、当然のように9回をピシャリと3人で打ち取り、 「山井-岩瀬」の見事すぎるパーフェクトリレーで、オレ竜監督胴上げの瞬間を迎えた。 賢明なるドラゴンズファンなら、 皆納得のクライマックスであった。 |