2007Jリーグ、鹿島アントラーズ 奇跡の大逆転優勝。 選手・サポーター狂喜乱舞のカシマスタジアム、 その一方で、 このドラマの裏にあった、横浜FCの “意地” を見逃すわけにはいかない。 リーグ最終節、“勝てば優勝”の首位浦和レッズは、 早々と来季のJ2落ちが決している最下位横浜FCとの一戦を残すのみ。 横浜FCのホームであるはずの日産スタジアムも、 そのスタンドの四方は真っ赤に染まり、波打っている。 浦和優勝を迎える大舞台は完全に整っていた。 誰もが “浦和圧勝・万全優勝” をイメージする中、 既に来季J2での戦いを強いられている横浜FCの選手達は、 これまで厳しいJ1を戦ってきたことの誇り、 そして、プロとしての意地を決して忘れてはいなかった。 前半17分、左サイドを激しく突破したKAZUがゴール前に入れたパスを、 根占が浦和ゴールへ蹴りこみGOAL!! なんと横浜FCが1点を先制、 鉄壁の浦和DF陣が見せた一瞬の隙だった。 ホームであるはずの日産スタジアムが静まりかえる -。 とはいえ、勝つための手の内を十分持ち合わせる浦和に、この時点でまだ余裕はあった。 後半、攻撃的に仕掛け、勝ちにいく浦和、 しかし、これに応戦する横浜FCの気合はそれを上回っていた。 打てど止められるシュートに焦りの色が見え始める浦和FW陣、 そして、時計はそのまま90分を刻みタイムアップ -。 このほんの数分前、 カシマスタジアムで3-0と清水を下した鹿島の頭上に栄冠は輝き、 浦和の優勝は消滅した。 カシマスタジアムでは、 大型ビジョンで浦和の結果を確認した鹿島の選手達と 10冠達成を称える満員のスタンドが一緒になり、 この奇跡としかいいようのない逆転優勝に酔いしれた -。 2007Jリーグの優勝の行方を最後に左右した1つのプレー、 それは、40歳のキングKAZUがゴール前に蹴り入れた“1本のパス”だった、といえよう。 鹿島の果たした“リーグ新9連勝”“10冠達成” という華々しい記録ばかりがTV・新聞に報じられる陰で、 これまでJリーグを盛り上げ続けてきた男が、 J1最後の舞台で見せた華麗なる意地だった。 |