>プレジデントオンライン >決して働く人の能力や意欲が低いからではない…日本の企業から画期的な新規事業が生まれない根本的理由 >三木 雄信 によるストーリー • >2 日 >なぜ日本経済は停滞しているのか。 >元ソフトバンク社長室長の三木雄信さんは「日本の企業の組織構造に問題がある。 >多くの企業は、仕事の責任を上司が持たず、現場にリスクだけ負わせる。 >これでは、誰も新規事業をやりたがらないし、プロジェクトがうまくいくはずがない」という――。 >(第2回)>※本稿は、三木雄信『仕事が速いチームのすごい仕組み』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。 (略) >プロジェクトチームの士気が一気に下がる「あるひと言」 >たいていのプロジェクトは、メンバー同士で明確な役割分担もしないまま、「とりあえず、やれることから始めよう」と各自が思いつくまま何となく作業を開始します。 >しばらくはそのまま活動レベルが上がっていきますが、あるA地点まで来ると、誰かが「このやり方のままでいいのかな」「前のプロジェクトではこんなことはしなかった」などと言い出します。 >すると他のメンバーも不安に思い始め、「確かにそうだな。進め方を見直そう」と再検討が始まり、いったん活動レベルが停滞します。 >その後、メンバー同士で仕事の進め方について合意がなされると、再び作業が開始されます。 >ところがB地点に来ると、今度は会社の上層部やクライアントから「ちょっと待て。 >自分が考えていた方向性と違うから、やり直してくれ」と想定外の注文が飛び出します。 >いわゆる“鶴の一声”です。 >ここで活動レベルは限りなくゼロに近いところまで落ち込み、仕事は振り出しに戻ります。 >納期を守るためなら何でもやる >こうして一からやり直している間にも、納期はどんどん迫ってきます。 >突然の軌道修正に悪戦苦闘しているうちにやって来るのが「Point of No Return」、つまり「最終期限から逆算して、もう軌道修正も後戻りもできない段階」です。 >ここをこえると、あとは期限に間に合わせるために、深夜残業や徹夜を続けてでも大量の作業を突貫工事でやるしかなくなります。 >時には、本来この仕事とは関係のない人まで駆り出して、人海戦術を繰り広げます。 >その時の活動レベルをグラフで確認してください。 >本来の上限値を完全にこえています。 >これが俗にいう「デスマーチ」の状態です。 >こうして修羅場をかいくぐり、死力を尽くして何とか期限までに納品すると、活動レベルは一気にゼロになります。 >その少し後にちょっとだけ活動レベルが上がっているのは「打ち上げ」です。 >ここでメンバーたちがお互いの苦労をねぎらい、プロジェクトは解散となります。 >これが日本の職場における典型的なプロジェクトの失敗パターンです。 >皆さんの中にも、まったく同じ経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。 >会社にとっても個人にとっても不幸 >このパターンで何が問題かといえば、プロジェクトが本来目指していた目標を達成できずに終わってしまうことです。 >Point of No Returnをこえてからは、「納期を守るためなら何でもやる」という状態になってしまい、プロジェクトで本来目指していたはずの「品質」はなおざりにされます。 >また、余計な「コスト」もかかります。 >例えば資材を発注するのも、「2週間後の納品なら10万円だが、3日後の納品だと特急料金として20万円かかる」と割増料金を要求されることが多くなります。 >スケジュールに余裕があれば、コンペをして複数の取引先を比較検討し、最も安い価格の資材を選ぶこともできますが、スピード最優先の見切り発車ではそれも不可能です。 >また、突貫工事が続いてメンバーの残業や休日出勤が増えれば、その分だけ人件費もかさみます。 >会社のコストが増大するだけでなく、連日の徹夜を強いるような働き方は個人にとっても幸せではないでしょう。 >なぜ同じ失敗を繰り返すのか >たとえ納期は守れたとしても、品質もコストも目標を達成できなかったとすれば、そのプロジェクトは失敗と言わざるを得ません。 >納期後の活動が、打ち上げだけというのも問題です。 >ただお酒を飲んで「お疲れさま」と言い合うだけでは、プロジェクトを通して得た資産や知見が組織の中に蓄積されません。 >これだけ苦労してプロジェクトをやり遂げたのですから、メンバーはそこから多くのことを学び取っているはずです。 >その貴重な財産をノウハウとして以降のプロジェクトに生かすことができれば、こんな失敗パターンを繰り返さずに済みます。 >しかし実際は、特に反省や振り返りをする機会は設けられず、せっかく得た知見も忘れ去られてしまっているのです。 >目標を達成できず、あとに何も残らない。 >こんな失敗プロジェクトを繰り返しているうちは、日本の企業が高い成果を出し、ビジネスを成長させることはできないでしょう。 >孫正義でも従業員に逃げられる >プロジェクトを実行するたびにデスマーチに陥っていたら、誰もプロジェクトに関わりたくないと考えるようになります。 >私が在籍していた頃のソフトバンクも、同じ状況でした。 >「Yahoo!BB」のプロジェクトを立ち上げた時、孫社長は人事部に「今日の夕方5時までに、社員を100人集めろ!」と指示しました。 >そして本社やグループ会社から集められた100人の前で、孫社長は「ソフトバンクは第2の創業のつもりで、このプロジェクトに社運をかけて取り組む。 >ここに集まった人たちはメンバーとして参加してもらうので、全員名刺を置いていけ!」と熱く語りかけたのです。 >ところが、名刺を置いていったのは数十人で、多くの社員は名乗らないままその場から立ち去りました。 >うち10人ほどは、孫社長の目を盗み、非常階段から走って逃げたほどです。 >その様子を見ていた私は、まるでマンガみたいだと笑ってしまったくらいでした。 >この頃のソフトバンクは、新しく立ち上げたものの結局事業として成立せず終わってしまったプロジェクトが相次いでいて、「孫社長のプロジェクトには参加したくない」と考える社員が増えていた時期でした。 >孫社長ほどのリーダーであっても、成功率が下がれば人に逃げられてしまうということです。 >プロジェクトのメンバーになることさえ嫌がられるのですから、ましてや現場の責任を背負うことになるプロマネなど、誰も引き受けたがらなくて当然です。 >決して能力や意欲が低いからではない >私も多くの日本企業から、「うちの会社では誰もプロマネを志望しないし、人材も育たない」と相談を受けてきました。 >それは決して日本のビジネスパーソンの能力や意欲が低いからではありません。 >権限がないのにリスクだけ負わされるプロマネというポジションが、貧乏くじでしかないからです。 >つまり日本の会社の大半は、プロマネが本来の職責を果たせない組織構造になっているところに問題があるのです。
そうですね。個人の意思の自由が無くて目的達成の義務だけがある。これでは牛馬の苦しみと同じですね。 日本人には意思が無い。だから責任 (responsibility) にも意思の自由が無くて義務だけがある。恣意 (私意・我儘・身勝手) はあるが認められていない。これは昔からある残酷物語の筋書きですね。 肥田喜左衛門の著した <下田の歴史と史跡> には、責任に関する下のような事柄が記されています。 徳川5代将軍の治世、佐土原藩の御手船・日向丸は、江戸城西本丸の普請用として献上の栂 (つが) 材を積んで江戸に向かった。遠州灘で台風のため遭難、家臣の宰領達は自ら責を負って船と船員達を助けようと決意し、やむをえず御用材を海に投げ捨て、危うく船は転覆を免れ、下田港に漂着した。島津家の宰領河越太兵衛、河越久兵衛、成田小左衛は荷打ちの責を負い切腹する。これを知って船頭の権三郎も追腹を切り、ついで乗員の一同も、生きて帰るわけにはいかないと全員腹をかき切って果てた。この中には僅か15歳の見習い乗子も加わっている。鮮血に染まった真紅の遺体がつぎつぎに陸揚げされたときは、町の人々も顔色を失ったという。16人の遺体は、下田奉行所によって大安寺裏山で火葬され、同寺に手厚く葬られた。遺族の人たちにはこの切腹に免じて咎めはなかったが、切腹した乗組員の死後の帰葬は許されなかった。(引用終り)
>新規事業のプロジェクトの成功率が低いワケ >新規事業のプロジェクトも、日本企業における成功率は極めて低いのが現状です。 >大企業でよくあるのが、社内のコンペやビジネスプランコンテストで選ばれたテーマをプロジェクト化し、アイデアの提案者にプロマネを任せるケースです。 >この場合、スタート時には役員レベルが何人も後ろ盾について応援してくれます。 >ところが、途中からプロジェクトの雲行きが怪しくなったり、自分が管轄する部門に不利益となる事態が発生した途端、役員たちはさっさと手を引いて逃げ出します。
そうですね。日本人には英米流の責任観念がない。 ‘誰も責任を取りたがらず、誰も自分に責任があると言わなかった。・・・・・ 一般国民が軍部や文民官僚の責任と同等の責任を負っていると心から考えている人はほとんどいなかった。’ (ジョン・ダワー 増補版 敗北を抱きしめて 下)
>支援者を失ったプロマネは、必要な人材や予算などのリソースを失い、プロジェクトは完全に頓挫します。 >メンバーからは突き上げをくらい、チーム内は混乱に陥ったまま、最終的に中途半端な状態でプロジェクトは解散に至ってしまう……。 >これが典型的な失敗パターンです。 >さらにひどいのは、プロマネ一人が失敗の責任を負うことになり、プロジェクトが終わってからも周囲からの評価は下がったままになってしまうことです。 >スタートの時点で、後ろ盾についた役員が「もし失敗しても責任は自分がとる」と明確にしていれば、この事態は回避できるはずです。 >ところが日本のプロジェクトは、権限や責任の所在が曖昧なまま進むので、いざ問題が起こった時に結局プロマネが泥をかぶることになります。
日本人には意思が無い。意思の無い人には責任もない。これはちょうど死刑執行人の立場のようなものである。彼らは人が死んでも殺人罪には問われない。彼らには殺意という意思がないからである。 我々日本人は日本語と英語の両言語を良く学び、思考における時制の大切さを十分に理解する必要がありますね。英語にある時制 (tense) を使った考え方を会得すれば、我々は自己の意思 (will) を明らかにすることも可能になるし、自分自身の世界観 (world view) を持つことも出来ます。さすれば我々は国際社会において相手の理解も得られ、未来社会の建設に協力することも可能になります。かくして、我々日本人は、人類の進歩に一層の貢献が可能になるでしょう。
>---------- 三木 雄信(みき・たけのぶ) トライオン代表取締役 1972年福岡生まれ。 >東京大学経済学部卒業後、三菱地所を経てソフトバンクに入社。 >2000年、ソフトバンク社長室長。 >マイクロソフトとのジョイントベンチャーや、ナスダック・ジャパン、日本債券信用銀行買収、およびソフトバンクの通信事業参入のベースとなったブロードバンド事業のプロジェクトマネージャーを務める。 >2006年にトライオン株式会社を設立、2015年に英語コーチング・プログラム『TORAIZ(トライズ)』を開始。 >日本の英語教育を抜本的に変え、グローバルな活躍ができる人材の育成を目指している。 >『【新書版】孫社長にたたきこまれた「数値化」仕事術』(PHP研究所)など著書多数。 > ----------
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