>ABEMA TIMES >日本は核を持つべきか…緊迫する世界情勢で“核の傘”の意味は「抑止はものすごく心理的なゲーム。信じるか、信じないか」一橋大教授・秋山信将に聞く >ABEMA TIMES (Microsoft)の意見・ >14時間・ >アメリカが仲介に入ることで、ウクライナとロシアの停戦協議が進められている。 >11日、アメリカが提案した30日間の停戦案に、ウクライナは受け入れる用意があると表明。 >トランプ大統領は、停戦はロシア次第との見解を示した。 >一方、EUは6日に125兆円規模の「ヨーロッパ再軍備計画」を首脳会議で合意。 >フランス・マクロン大統領が、ロシアの脅威を念頭に、アメリカに代わって自国が保有する核兵器の抑止力、いわゆる「核の傘」をヨーロッパの同盟国に広げる議論を始めるとした。 >唯一の被爆国である日本では批判の声もあがるが、日本は戦後、アメリカの核の傘の中にいることも事実。 >周辺国であり核を保有する北朝鮮、中国といった脅威に対して、安倍晋三元総理は3年前、ロシアがウクライナ侵攻を始めた直後に、アメリカとの「核共有」について議論すべきだと述べていた。 >「ABEMA Prime」では、安全保障・核軍縮に詳しい一橋大学教授・秋山信将氏とともに、日本が核とどう向き合うべきかを議論した。 >■ヨーロッパに走る緊張 >フランス・マクロン大統領が「アメリカが味方であり続けると信じたいが、そうでなくなった場合に備える必要がある」と発言したことは、ヨーロッパの中で緊張感が高まっていることを意味している。 >専門家は、どう捉えたのか。 >秋山氏「やはりヨーロッパの各国がロシアに対して感じる脅威は本物だ。 >ロシアは核を持つ国で、特にウクライナの紛争の中で、ロシアが核を使うことを示唆しながら恫喝を繰り返し、さらに自分たちに有利な戦局を展開しようとしていることに、本当に自分たちのこととしてヨーロッパは受け止めている。 >その中でアメリカとの同盟が信用できなくなってきていて、核の役割を考えていくということは論理的だと思う。 >ただ一方で、本当にフランスが核の傘を提供するといった時に、例えば意思決定はどうするのか。 >ロシアが持っている核は、今配備されているだけで1550あると言われているが、フランスは250くらいで、イギリスと合わせて500ほど。 >単なる数の計算だと、割に合わない。 >だとすると、どんな抑止なのか。 >あるいは核を使うといった時に、どこで使うのか。 >いろいろ考えてみると、オペレーション的にはかなり難しい」。 >各国の核弾頭保有数を比較してみると、ロシアは5580。イギリスの225とフランスの290を足しても515で、ここにアメリカの5044を足して、ようやく帳尻が合う。 >つまり、ヨーロッパだけで足し上げても、数の上ではロシアに遠く及ばないことになる。 >それでも核の傘を広げることが、抑止につながるのか。 >秋山氏「ヨーロッパ全土で、例えば500発の核が爆発したらどうなるかと考えると、たぶん『オーバーキル』、つまり破滅の状態になる。 >抑止というのはすごく心理的なゲームで、ある意味では信じるか、信じないか。 >あるいは相手が言っていることをどれくらい真に受けるのか、受けないのか。 >数字だけ見てもダメ。 >『抑止』というのは、能力があり、それを使う意図があり、これを相手が認識した時に初めて『抑止』になる。 >どれが欠けてもダメで、そういうコミュニケーションをロシアとイギリス、フランス、あるいはアメリカがやっていくことが大事。 >今、実際のところ、そういう習慣がないので、単に核を持ったから抑止が成り立つという話には、なかなかならない」。 >■日本が核を持ったら抑止になるのか >現在、日本は核を持たない。 >もし「持つ」という選択をした際、それが抑止になるのか。 >また「持たない」ということも抑止につながることはないのか。 >秋山氏「持つだけだったら難しくないと思うが、それが抑止になるかというと、ものすごくギャップがある。 >(持たない抑止は)理論的には、ないわけではない。 >例えば、日本に対する潜在的な敵国が、日本に核兵器を使う意味は何かと考えた時、核兵器を使ったら当面、その土地は使えない。 >さらに言うと、日本が持っている経済的なアセットも失われる。 >そうすると、メリットはこの日本という土地を超えた先の何か。 >日本を核で滅亡させることが本来の目的ではないとすると、日本にとって抑止を効かせるというのは、むしろ日本に侵略されないため。 >日本を後でどこかの国が使おうと思ったならば、核よりはむしろ地上で侵略してくる国々の活動を許さないことの方が、より信憑性の高い抑止になり得る」。 >また秋山氏は、仮に日本が核を自ら保有したとしても、隣国である中国に対して、どこまで抑止になりうるかという点には、疑問符をつけ「保有国」ではなく「共有国」に留まる方が安全だという。 >秋山氏「相手がどう受け止めるかだ。 >私が最近好きな例えが『抑止はチキンゲーム』だということ。 >チキンゲームは(向かい合った)車が同じ軌道上を走っていって、どちらかが先にハンドルを切ったら負けというもの。 >今、日本がもし一発このゲームを中国とやろうとしたら、軽トラでダンプカーとゲームをやるようなものだ。 >そうしたら、ダンプカーはハンドルを切る必要がない。 >なので我々としては、ダンプカーのドライバーにはなれないけれども、助手席に乗っけてもらう方が個人的には安全だなと思う」。 >■核以外が抑止になる可能性は >広島・長崎に原子爆弾が投下されてから80年が経つ。 >日本は核保有をしない一方、世界では以降も核による抑止が続く。 >各国に抑止を働かせる他の方法はないのか。 >秋山氏「たとえば生物兵器だと、核とどう違うのか。 >本当にものすごい毒性の高い生物兵器があって、滅亡できるかもしれない。 >生物剤は死滅させることができるからクリーンかもしれない。 >ただ『生物剤があるぞ』と見せることができず、アピールにならない。 >抑止は相手との心理ゲームなので、相手にどういう風に心理的な影響を与えて、意思決定や行動の変容を促すか。 >生物剤は可視化できないので怖くない。 >核実験は、核の性能を確認するということと併せて、デモンストレーションでもある。 >生物剤では、どこでデモンストレーションをするのか。 >サイバー攻撃も同じで、なかなかそのインパクトが見えにくい。 >私も本当は、そういう兵器で抑止するのがいい気はするが。 >相手のコマンドアンドコントロールのシステムにサイバー攻撃できればいいなと思うが、逆に攻撃された側からすると、自分たちの核戦力が無力化されてしまうと困るので、『無力化される前に使ってしまおう』とか、あるいは使えなくなるのならば、思い切って大規模に反撃するしかないとか、報復を招く可能性もある。 >だとすると、核を使わないで攻撃したつもりが、核で報復を受けることになりかねない。 >核兵器はないに越したことはなくて、我々はそのゴールを諦めてはいけない。
そうですね。
>ゆくゆくは、核兵器なんか使わなくてもいい、あるいは核の抑止に頼らなくてもいいような、国家間の関係を築いていく必要がある。 >ただ、日本と韓国がなんでこんなに核の議論が盛り上がったかといえば、中国が核戦力を増強した背景があるけれど、やはりロシアという近くにある核兵器国が、隣の非核兵器国に核の威嚇を用いながら攻め込んだことを目の当たりにしたからだ。
そうですね。 ウクライナはソ連崩壊により核兵器を放棄した。しかし、プーチン大統領は非核国ウクライナに侵攻し核兵器使用をちらつかせて恫喝した。 これにより我が国の非核三原則に依拠した安全神話は消滅した。非核三原則とは 核兵器を「持たない、つくらない、持ち込ませない」の三原則を指すものと1967年 (S42) 12月に佐藤栄作首相は説明した。日本人のお花畑はもうない。自分に都合の良い解釈ばかり続けていても相手には通じませんね。何事も相手との相談の上ですね。 「世界大戦を含むあらゆる戦争はすぐ終わらせられる。講和条約を結んだ場合、あるいは1945年の米国による広島と長崎への原爆投下と同じことをした場合だ」 (ロシアのメドベージェフ前大統領) ‘ウクライナでの戦争の教訓は、抑止力によって未然に戦争を防ぐ方が、侵攻してきた敵を後退させることよりも遥かに望ましいということだ。’ (マシュー・ポッティンジャー) ‘ロシアが力による現状変更を行っている国はG7(主要7カ国)では日本だけだ。北方領土だ。だから、ウクライナ問題で、ロシアを一番強く批判しなければいけないのは日本だ。’ (小野寺元防衛相)
>そういう状況の中で、目の前にあるリスクや脅威にどう対処していくのかを考えるのも必要だ。 >将来目指していくゴールは忘れてはいけないけれど、それは今目の前にあるリスクに対処することが矛盾ではないし、逆にリスクに対処する抑止だけ強化しているだけだと、絶対に脅威のレベルも下がらない。 >どうやってお互いにその脅威を相互に避けていくのかだ」。
それは、協定により相互に核弾頭の数を減らしてゆくこと(START)ですね。 だが、核弾頭を持たない国にはそのカード (決め手) がない。
>(『ABEMA Prime』より)
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