現在の「Sky PerfecTV」が「PerfecTV」だった時代から スポーツ・音楽chを中心に視聴している。 (・・・それはどーでもいいけど) その音楽chでは、各局とも各ジャンル新旧アーチストのプロモーションビデオ(PV) の放映が大きなウェートを占める。 このPV、多種多様に観ているうちに、おもしろい一面に気付く。 どのアーチストも、作曲段階で、 その詞やメロディーに様々な想いやメッセージを込め、作品となり、晴れてリリースに至る。 そして最大のメディア広告媒体であるPVにおいては、 当然、その楽曲のコンセプトや世界観を最大限に引き出すイメージやストーリーなどを駆使し、映像化している。 しかしながら、中には、 楽曲に表現されたメッセージ世界とはまるで異なる 独自の映像観を以って創り上げているものもあるのだ。 数々あれど、それが顕著なものとして思い出すのは、 例えば Mr.children 『くるみ』 PV がおもしろい。 歌詞自体は、若い男女間で揺れ動く日々の様々な想いが緩やかに描かれている・・・ というのが一見の印象だが、 実際のPV映像はまったくテイストが違う。 ~ ~ ~ まさに団塊の世代とおぼしき一人のしがないオヤジが、 楽器屋の前でギターを目にし、今まで押さえられてきたなにかがはじける。 勢いに任せギターを購入し、すぐさま曲の創作に没頭、 完成した曲を行きつけの飲み屋(?)のオヤジの前で弾き語ってみせる。 感動した飲み屋のオヤジは、八百屋のオヤジなどにも声を掛け、バンド編成を持ちかける。 しかし、熱い想いはあれど、現実の生活環境がそれを許さない者も・・・。 バンド始動の日、集合し、最後の1名を待つメンバーたち。 ひたすら待ち続け、ついに深夜1時を過ぎた頃、彼は現れる。 一度寝床に入ったもののくすぶる思いに寝付けず、思い切って決心し飛び出してきたのだ。 そんな彼を迎え入れ、抱き合って歓喜する全メンバー、 そこから彼らのバンド活動は始まる。「Mr.ADULT」として-。 ~ ~ ~ こんな、ひとつのハートウォーミングなヒューマンドラマが、 『くるみ』の歌詞から自然に受けるイメージ世界とはまったく別なところで、 曲に乗って展開し、完結している。 とはいえ、先入観を除いて歌詞を深くたどってみると、 実はこの映像ストーリー、必ずしも別次元物とは言い切れないのも事実・・・。 しかし、いずれにしても、 あえて強烈なギャップを取り込んだこの表現手法はなんなのだろうか? 単に楽曲そのものをイメージ化するに留まらず “遊び心” を感じるこの手法、 いうなれば、相応の地位と自信を確立したアーチストのPVに多く見受けられるように思う。 つまり、PVを単なる販促媒体ではなく、 そこに意外な付加価値とメッセージまでも含む一つの作品として世に送り出す、 そんな試みと挑戦のできる環境があってこそ、はじめて可能となる手法なのだろう。 |