渓流釣りは多くの河川で10月1日から禁漁となる。だから9月末には今年の渓流釣りの名残を惜しんで「納竿の釣り」に行くことになる。ところがこれが釣れないことが多いのだ。9月はまだ水温が高く釣りにくい事に加えて釣り人がドッと渓流に押し寄せるからである。
9月20日(土)、納竿のために八ヶ岳にイワナ釣りに行くのが僕の毎年の慣例だ。清泉寮のコテッジに泊まって、暖炉の火を眺めながら今年の釣りを振り返り、杯を重ねる、というわけだ。今年は静岡からTさん、N君、S君の3人が加わってにぎやかな釣行になった。行く途中、「森ぴか」という蕎麦屋で旨い蕎麦を食べた。
この日は僕だけ早く着いたので大門川に入った。
フライには2回出たが、フッキングはしなかった。魚の活性が低い感じだった。
夕方にはみんなと合流。ステーキコースの夕食を食べ、コテッジに戻って、暖炉の前で宴会となった。リッチな雰囲気である。詳細略。
翌朝、コテッジは霧に包まれていた。気温は19℃。ここの標高は約1300メートルである。朝食はバイキングで、なかなかに旨い。N君の食うこと食うこと!3-4回はおかわりを取りに行っていたな。
問題はこの日どこに釣りに行くかだった。雨だし、川は濁っている可能性が高い。こんな事もあろうかと、逃げ場としてある「池」を考えていた。会員制の釣り堀で蓼科にある。会員に紹介してもらえば釣りは可能で、そこにはレインボウとブラウンが居て、魚体も綺麗で、しかも大きいそうだ。相談の結果、結局、そこに行ってみようということになった。こんな時でもなければその池に行くチャンスは無いだろうから、というのが大方の意見だった。で、僕は友人のY城さんに電話して紹介の電話を入れてもらうことにした。
21日の日曜日、ずっと雨に降られたが、その池で十分に釣りを楽しむことができた。釣れたのはレインボウばかりだったが、フィッシュコンディションはパーフェクトであり、サイズは40-50センチメートルが多かった。大物も掛けたが、バッキングまで出され逃げられてしまった。ここの魚はけっこう学習していて、5Xのティペットではなかなかドライフライに出ない。6Xに落とすと出るが、魚が大きいので6Xでは時に切られる。その辺が面白かった。
僕は魚体の見事さに驚き、会員になることを考えてみようかなと思った。近くには温泉もあり、食べ物屋もあるし。
夕方には納竿し、帰路についた。これで終わったなと思いながら、精進湖まで戻ってきたときに、ある男が中央道の双葉S.A.の食堂に財布を忘れてきたと言う。財布には金、クレジットカード、車のキーも入っているそうだ。で、静岡3人組は1台の車で来ていたので双葉まで急遽引き返すことになった。僕は彼らと別れて山中湖経由、道志道で相模原に帰った。ちょうど僕がクリニックに着いたとき、携帯が鳴って
「ありました。どうもすみません、ご心配をかけて」
と連絡が入った。
「良かったね、ほんとうに」
と答える。
と、こんな具合で、納竿釣行にオマケが付いたが、無事に財布が見つかってめでたしめでたし。
ともあれ、全体としては楽しい釣行だったのでヨシとしなければなるまい。ただ、川では結局釣れなかったわけで、もう一回、納竿釣行をしなければいけないなあ、とも感じている。