今月いっぱいで今年の釣りシーズンが終わるなと思っていたところに袋井のK松さんから
「遠山川に行きませんか。いいポイントへ案内しますよ」
とお誘いがきた。飛んで火にいるナントヤラで、”いいポイント”という釣り人の殺し文句にもコロリとオトされて、大井川釣行の翌週だというのに行くことになってしまった。ま、最後だし、がんばらにゃあ、と思ったわけだ。
12日(土)、午前中は働き、午後から新幹線で掛川へ。定宿になりつつある「くれたけイン」にチェックイン。ここはね、ネットで予約すると朝食付きで4300円也と安い。部屋は狭いが、快適だし、朝食も旨い。コーヒーもアメリカン、ブレンド、エスプレッソが選べて飲み放題だ。
夕食はこれも行きつけになりつつある「沖縄料理せっせ」。メニューを見るとサンマの塩焼きがあった!僕の家でサンマの塩焼きが食べられなくなってもう10年以上になるだろう。あの煙と脂で、後始末が大変なのだそうだ。相模原の食堂でもサンマの塩焼きをメニューに載せているところは少ない。久しぶりのサンマはプリプリと太っていて脂がのって、旨かったナア!涙が出るくらいに旨いと思った。日本人に生まれ良かったとさえ思ったものだ。泡盛を飲んでイッチョウアガリとなった。
僕は魚を食べるのが好きだが、沿岸・近海の汚染、養殖魚の氾濫で、食べる魚が少なくなっている。安心して食べられるのはイワシとサンマだけくらいだと思っている。遠洋のマグロも一応問題ないだろう。
その後、一度ホテルに帰ったのだが、ケイタイが鳴り、S藤君たちが飲んでいるから来てくれと言う。飲み屋の場所は近いし飲み直しに出て、ホテルに帰ればバタンキューだった。
13日(日)朝8時、K松さんの車で北に走り兵越峠を越えて遠山郷へ向かう。遠山郷は山深く、遠山川沿いでは切り立った崖に民家があり、九州の五家の荘によく似ている。まさしく秘境と呼ぶにふさわしい。遠山川の本流には見事なアマゴが育ち、上流部にはヤマトイワナが棲み、釣り人憧れの地となっている。
釣り場で釣りの準備をしていて、予期せぬ事が判明した。それは、今日の釣りで使おうと持ってきた古いハーディ・パーフェクト・左手巻きのリール・フットが厚すぎて竿のリールシートに装着できないことが分かったのだった。
皆さんも古いリールを買ったときには御用心。
仕方なく、K松さんのリールを借りることになった。ラインもリーダーも竿と番手が違うのだが、仕方がない。釣りのほうはとてもいい釣りになった。ここぞという場所からは決まってイワナが出た。カタは8寸止まりだが、3時間ほどの釣りで僕は8匹、K松さんは10匹を釣った。道具が使い慣れた物ならもっと釣れただろう。禁漁前の釣りは”釣れないモノ”とされているが、これだけ釣れればオンの字である。
彼とは前になり、後になりして釣ったが、ダブル・ヒットが二度もあったことは特筆にあたいするだろう。
5時には脱渓し、発電所前でウェーダーを脱いだ。橋から下の遠山川を見下ろすとテンカラ師が釣りをしているのが見えた。初秋の早まった夕暮れの中で、川に同化したような釣り人の姿が印象的だった。
掛川に帰ってきたのは8時半ごろになっていただろう。のんびり二人で夕食を食べ、駅に行って聞くと最終の新幹線の上りは9時58分とのこと!時計を見たら9時50分であった。危ういところだった。ナイス・ガイドをしてくれたK松さんに礼と別れを告げ、あわただしくホームに向かった。
K松さん、ありがとう。
いい釣りだったよ。