不定期でこの旅のTV番組もありましたね。
何回か見ました。
この本は相模原市で小児科の医院をやっている男が僕に送ってくれたもの。彼は自分の医院で講演会を催しているが、関野吉晴氏も講演に呼ばれた一人であった。 この関野吉晴という人物、なかなかに興味ある経歴の持ち主である。1949年の東京生まれで、一橋大学在学中に探検部を創設し、アマゾンを下った。その後、横浜市大医学部に入学して医師となった。だが探検熱はさめず、1993年、チリのナパリーノ島から人類の移動を逆にたどる逆グレート・ジャーニーに挑み、2002年にアフリカ、タンザニアでゴールした。移動手段は動力手段を使わず、自転車、徒歩、馬、カヌーであった。2003年にこの本を書いた。植村直己冒険賞を受賞。著書多数。現在武蔵野美術大学教授。 原始生活を続けている部族に溶け込んで何ヶ月も生活し、日本で数ヶ月を過ごし、また原始生活にもどっていく、この繰り返しを20年以上続けてきて、医師ではあるのだが、彼の魂のすみかは冒険である。 この本では何が書かれているか、いくつかの記述をあげてみよう。 「地球に残された数少ない楽園」-ペルーのマチゲンガという原始部落 「世界の人口の2割の人々が全エネルギーの8割を使っている」 「地球に優しくない人々が、地球に優しくと合唱している」-先住民のクジラ漁を批判するアメリカ人のこと。 「富を集中させないための知恵の数々」 思うに、関野氏は心やさしい人だが、人の心がすぐに見えてしまう才気の持ち主でもあった。彼には今の競争社会の自己中心的で、浅はかで、醜い面ばかりが見えてしまい、嫌になったんじゃないだろうか。同時に彼は適応能力が旺盛で、原始生活が肌に合っていたんだと思う。冒険は言ってみれば窮乏生活の連続であり、彼の冒険は求道の旅になっていたと言っていいだろう。 おもしろい男が居たもんだ。やりたい事に人生の大半をつぎ込むことができた男。なみの人間にできることではない。一度会ってみたいものだ。 |